表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

36/59

地球のバイトはブラックなんだよ

マユリ「地球で使うお金を稼ぐんだよ」


カリン「まあ普通のバイトなわけないんだけどね」




 ブラックブラックブラックバイト♪


 異世界転生者監理局からお仕事をもらうんだけどどう考えても一人がする仕事量じゃないんだよ。例えば異世界から侵食してきたダンジョンを数人で潰してこいとか。普通なら無理なんだけど? まあ一回に一千万円くらいもらえるから悪くはないんだけどね? えっ? 無理か。


 うーん、例によって一発でなかったことにできるんだけど普通に攻略するのも面白そうだよねえ。


「私らは地道に潰すしかないのに……神ってやつは……」


「もう少し崇めてもいいんだよ?!」


 まあ神さまにしてみると人間に恨まれる筋合いないんだけどね。崇められる必要もないしね。みんなが努力してるのに神さまにお願いしてなんでもできる、とかズルでしょ。それで叶わなかったら恨むってひどくない?


 頑張るしかないんだよ。私は病気だったから神さまに祈らないとどうにもならなかったけど、それでも神さまに祈ろうとは思わなかったよ? 迷惑じゃん。神さまに。


「とにかくダンジョンはゴブリンみたいに生えてくるから」


「日本侵食されすぎなんだよ?!」


 ダンジョンの侵食度も恐ろしいけどそれをなにごともなく解決する異世界転生者監理局がすごすぎるんだよ。一個一個ダンジョン潰してるとしたらとてつもないブラック企業だよ!


「無限に世界が存在するんだからそれに対応する組織もそれなりに大きくなるわよ。隣接してる世界はそこまで多くないけど」


「知ってはいけない真実も全知全能だから知ってしまうんだよ」


「神さまも悲しいねぇ」


「カリンお姉ちゃんの蔵書に染みが着いてるのとか知りたくもない情報も知ってしまうのが全知全能なんだよ。普通に制限がないとキツイ能力なんだよ」


「プライバシー! 神相手に無駄だけど! さすがにそこは覗くな!」


「調整はできるよ。というかしないと面白くないからね。私も覗きたくなかった深淵なんだよ」


 まあカリンお姉ちゃんの性癖は突っ込んだら危険なんだよ。お仕事をしよう。さっそくダンジョンの侵食を見つけたので二人でワープするよ。


「いつもは電車移動なのに……」


「めんどくさいんだもん。見つかったら見られなかったことにすればいいし」


「便利ね、神」


「道具じゃないんだよ?」


 ここには地面に直径五メートルくらいの大きな穴が開いている。階段はないね。一応配信してみよう。


「さあこれから日本にできたダンジョンに挑むよ! 場所は秘密です」


「配信するなら言いなさいよ!」


(ハツネ:若くていいわねカリン)


(コメント:発言がなぁ)


(ハツネ:なに?(睨むアイコン))


(コメント:ひいっ)


(カレー:なんでそんな怖いアイコン持ってんの)


(ハツネ:年寄りとか言われたことがあったからその時用に描いた)


(仰ぐ:絵、上手くない? プロじゃん。仰ぐわ)


(コメント:女神を仰げ)


 ハツネお姉ちゃんに仰ぐさんを取られたんだよ?!


 き、気を取り直してダンジョン、行きま~す♪ おばあちゃんがよく「アフロ、行きま~す」とか言ってたんだよ。おばあちゃんきれいなストレートだったけど。


「このダンジョン、やな気配するわ」


「人間を消波ブロックみたいにくっつけたような気持ち悪いモンスターがわんさか居るんだよ。消しとくね『消え去れ』」


「……いやさ、それならダンジョン消しても良くね? 動画どうするの?」


「大丈夫だよ。入ってみたら分かるから」


 穴から飛び降りる。カリンお姉ちゃんも普通についてきたよ。神気を持ってるとこれくらいはなんでもないからねえ。


 五十メートルくらい落下してすとん、と着地。


(レニー:音が静かですわね)


(バット:あんな高さ落ちたら普通に死ぬわ)


(ユノ:見えた……)


(セリエ:王子がセクハラしてるよ女神)


 うっかりしてたよ。カリンお姉ちゃんは慣れてるらしくてしっかり魔力でスカート押さえてたらしい。


(ラッド:か、可愛い……)


(カレー:おねえ、顔真っ赤)


 うう……神でも恥ずかしいんだよ。なかったことにしたいけど乱発する技じゃないし……。


 おっと、床から槍が飛び出してきたよ。全部砕け散ったけど。神に危害を加えるほどじゃないね。


(ミリアム:アブねぇ)


(ハーミス:罠の気配なんかなかったっスよ?)


(ダグラス:斥候でも見抜けない罠か。魔法が必要だな)


(ハツネ:なるほどぉ、モンスターがいなくても楽しめそうね)


 横から尖った岩が飛び出してきた。折ったけど。床が開いて落とし穴。


(カレー:普通に空中歩いてんじゃん)


(バット:ダンジョン作ったやつが可哀想になるな)


 落とし穴に落ちて神とか言える? 次は天井から大岩が降ってきたんだよ。私が掌を向けたらすごすごと帰っていって動かなくなった。


(仰ぐ:ダンジョン作ったやつ速く逃げて)


(ウィニー:仰がないの? でも同意)


(ミリアム:今頃泣いてんじゃねぇの?)


 次は岩が転がってきた。面白いから拳で殴ってみるよ。正拳突きぃ。


(ミリアム:一撃じゃねぇか。誰かダンマスにタオル持ってって涙拭いてやれ)


(セリエ:何枚いるかなぁ。涙で体液枯れそうだよ?)


 ギロチンが降ってきたけど私のところだけなくなった。カリンお姉ちゃんもあとをついてきてるよ。


「今回の仕事楽でいいわぁ」


「もぉ、デザートとか奢ってもらうからね?」


「はいよ」


(カレー:この姉ちゃんも聖女らしくねぇな)


(ユノ:聖女らしい聖女がいなすぎて正常がわからない)


「聖女だけに~♪」


「中身お婆ちゃんじゃないよね?」


「違うよ?!」


 なんでみんなにお婆ちゃん扱いされるのかなぁ。あ、宝箱発見! がちゃり。


「ちょっとためらえー!!」


「なんで?」


(仰ぐ:我が神に言っても仕方ないだろ)


(ウィニー:仰ぐ、とは?)


 仰ぐさんに仰がれた記憶ないよぉ。嘘仰ぎはあったけど。嘘仰ぎ。宝箱も中身は空っぽだったよお。壊れた罠はあったけど。爆発する罠だね。


 次は銃弾がアラレのように飛んできたんだよ。掌を前にやって「無駄だよぉ」ってやってみたかったんだ。


(カレー:また古いのを……)


(ハツネ:古いの?!)


「ハツネも生まれてないでしょうが! あ、再放送か!」


(仰ぐ:カレーが知ってるのが驚きだけどな)


(カレー:うちの家族映画オタクばっかなんだよ)


(ヨミ:だからカレーばかりなんですねえ)


(カレー:一回作ったら三日くらい食わされる。好きだからいいけど)


 みんなダンジョンに飽きてきたんだよ。クリアしちゃおうか。床をコツン、と蹴ったら最下層まで穴が開いたから飛び降りる。


 コアルームには変な宇宙人がいるんだよ。タオル一杯の中でゴム製の丸太みたいな形で、たくさんある目から水が溢れてるよ。泣いてるの? 変なの。たぶんダンマス。えい、と殴ってミンチにしたらダンジョンが潰れ始めたのでカリンお姉ちゃんとテレポートで脱出したよ。


(ダグラス:不憫な……)


(ハツネ:ダメだ、ダグがなに言っても面白い)


「今回の仕事楽だったわ~」






カリン「ただ飯美味しいですwww」


マユリ「次回、ちょっとおごってもらうんだよ」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ