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アンナ:旅立ちの少女

マユリ「女神さまだから異世界転生手伝うんだよ」


ハツネ「優しい女神様だけどなんでもありな転生はしてくれないよ」




 私が死んだ話は簡単にしておこう。崖に落ちそうな弟を助けたら自分が落ちた。間抜けだ。弟が立ち直ってくれるといいんだけど。


 私は……もうすぐ生き返るしアンナでいいや。女神様と出会った話をしよう。




「やっほーアンナちゃん! マユリだよ! 今ねえ、異世界で女神をやってるんだ!」


「ハイテンション!?」


 中学生くらいの女の子がやたらテンション高く話しかけてきた。身長は高いけどそのノリはほぼ小学生だった。見た目は間違いなく女神級だ。黒髪がつやつや、大きい瞳は輝いているようだ。いや、日本人を女神にしたらこんな感じだなって見た目をしている。なぜかパレオつきのビキニだし髪にオレンジの大きなハイビスカスの花飾り着けてるけど。バカンス中?


「ん、マユリちゃんだっけ? この白い空間って?」


「異世界転生って言ったら白い部屋かなって!」


「ああ、うん、そういうものだね。違うケースもあるけどね」


「違うのが良かった? やり直す?」


「いや、いーよいーよ、悪いから!」


 うーん、本当に中身は小さい子だね。申し訳なさそうな顔をされたが他のパターンでも困るから。でも女神様か。あんまり怒らせたりしない方がいいのかな?


「嫌って言われたらノーチートで記憶も消して輪廻に送り返すだけ~。他の人にする~。まあ断らない人を選んだんだよ!」


「そっか、うん。異世界、異世界か~。チート次第と言いたいとこだけど実際に記憶だけでもありがたいよね」


「その辺は残しといた方が楽しめるでしょ? 私も趣味でやってるだけだしね~」


「趣味?! 動機が雑じゃない?! 世界救うとかは??」


「え、興味ないけど。世界は現地の人が救えばいいんだよ。だって冒険のない世界はつまらなくない?」


「冒険したくない人もいると思うな~」


「そうだね~。でも至れり尽くせりする理由ある? やっぱりフラット過ぎると人生って拷問じゃない?」


「私は同意する」


「そういう人選んだからね~」


 ハーレムとかって疲れそうじゃない? でも冒険なら憧れる。ゲームみたいに畑を作ったりも良いけどね。


「そしておまちかねのチート! ずるいよずるいよ~♪」


「おお、ワクワクしてきた」


「それがこちら、マユポンになります!」


『こちら普通のスマートフォンに見えますよね? どんな機能なんですか?』


 なにかもう一人女神様みたいに美しい人が出てきた。こっちも日本人を天使にした感じの美女だ。かたわらにはなんかドラゴンっぽい見た目の女の子が立っている。そしてなぜか通販ノリが始まったぞ?


「はーい、こちらのマユポン、収納、翻訳、鑑定の三大機能が普通に搭載されていまして、いろいろ便利なアプリも落とせてゲームもできます。武器も買える通販機能やマッピング機能、独自の通話、メール、チャット、撮影機能、動画サイトや掲示板も異世界独自のものになっています。使えるのはマユポンを持った人だけですけどね!」


『過疎りそうでぜんぜん過疎らないんだよね。みんなカラフルダンジョンの情報とかを呟くんだけど、メールやチャットもあるのに掲示板も使いまくってるよ』


「ジャンルが少ないですからねぇ~。ダンジョン、冒険者、ネタ情報、意見の四つしかないよぉ~」


『通販ノリ飽きてきた?! あとね、カラフルダンジョンにはマユポンを持ってたら入れるからいつか来てね! この時代にはまだないけどね! 十年後にオープンだよ!』


「そ、そうですか」


 不思議と二人の説明は頭に入ってきた。ここがそういう空間なんだろう。さらには機能説明とか使い方はダイレクトに脳にインストールされる。買い物機能、買い取り機能を備えたサイトの[くりむぞん]、あとは神気というのが便利そうだ。神様の力らしい。ポイントみたいに貯まるのか。自動回復もあるけど……高額のスキルが必要ね。


「最後にね、グロがダメな人みたいだから[くりむぞん]で販売する武器や銃器はカラフル仕様、レベリングシステムも搭載しておくね!」


 カラフル仕様、つまり銃で撃とうが剣で斬ろうが着色されるだけ。衝撃やノックバックはある。普通に使えば人は死ぬしモンスターはドロップを残して消えるらしい。ダメージをセーフティで変えられるから気絶とか麻痺で済ませるのも良し。モンスターは倒さないと駄目だけど命を取りたくないならどこかで再生されるから心配はないらしい。悪いモンスターは普通に倒せる。どういう理屈かはわからないけどマユポン由来の武器なら神器だから融通が利くらしい。助かるなぁ。


「戦争もそれでゲームみたいにできるならいいのにね」


「ゲームの戦争なら戦争反対とは言わないかもしれないけど、ルールのある戦争は得られるものが少ないからみんなやらないんだよねえ。スポーツに戦争を持ち出すのも嫌だしやらないよ」


「子供かもしれないけど理想的なのかもね」


「私は大人だもん!」


「はいはい、ありがとうマユリちゃん」


「もっとたたえていいんだよ~!」


「たたえなくても怒らないし友達がいいんだよね?」


「なぜばれた! まさか読心術だな!」


 ないない。少し話しただけでも優しい子なのがわかったし。安心だ。それにこのマユポン、思ったよりヤバいチートだ。入れた物を換金したり加工したりできる。さらに加工して売ると高く買い取られる。まあ人件費とか店舗を構えるとかはないから実際に買い取る時の三分の一が売値、と。スキルとか高いのは百億なんてのもあるらしい。現地のお金なので日本円だとその数十倍。誰が買うんだ……。


「私長い話し苦手! もう送っていい?」


「あ、うん、ありがとうね」


『マユポンは他人には使えないし喪失しても呼べば出てくるからね。自分は死ぬこともあるんだから十分に気をつけて! じゃあ気をつけていってらっしゃい!』


 ありがたいなぁ、至れり尽くせりだ。善行はした覚えがないから調子に乗らないようにしよう。死ぬかもしれないしね。


 異世界生活、今から楽しみだ!


 ……赤ちゃんプレイは記憶オフにしてもらうんだった!






マユリ「ちなみにこの閑話は三話だけだよぉ」


ハツネ「これでお話一本書けそうだけどね」




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