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第四話 黒の聖女は転生を思い返す

全く何も見えない白い空間であった。


冬の寒い朝に一面霧に覆われ手を伸ばした先さえ霞むような濃密な白


「櫻野川有栖さん、ですね」


突如誰かに呼ばれる


同時にまるで霧が一気に晴れたように目の前の白が薄くなり目の前に美しい女性が現れる

銀髪の西洋系の顔立ちだが肌は白くきめ細やかで東洋人の肌のようである。

そして何より大きい。スレンダーなウエストから下品にはみ出さずしかも上品さギリギリいっぱいのメロンが二つ桃が一つであった


「魂の状態でそのような獣欲のこもった目で見られるのはいささか経験がありませんね」


あ、ほんとに神様だ。そこまで見抜かれるなんて。まあ若さゆえの過ちと見逃してください


「まあよろしいですけれど。それだけの魂の器の方だからこそお呼びしたのです」


お呼び?どういうことです?


「まず最初に。貴方は事故で亡くなりました。それは純粋にそちらの世界の因果でわたくしが手を出したわけではありません」


ああ、このパターンだとトラックにひかれそうな子供か猫かを庇いだてしてってやつですね


「いいえ、スマホを見ながら自転車に乗っていてわき見で側溝にはまり運悪く電柱に頭を打ってお亡くなりに」


何それ!かっこわる!


「ですがそれがあなたの最後の善行ポイントとなったようです」


どゆことです?みっともないってお笑いになったとか?


「あまりにもみっともないという事で大々的にニュースになり道路交通法で自転車運転中にスマホを見るのは罰金一万円の厳罰化、あと免許更新の講習ビデオにも顔写真付きで新聞の切り抜きが載るようになりました」


みっともないを通り越して、もうあの世界に生き返りたくない!


「結果アカシックアーカイブによればその後20年の間のスマホ事故を800件以上減少させのべ580人の命を救ったとあります。ですので無事異世界転生迄のポイントをためることが可能となりました。」


異世界転生ってポイント制だったの?


「ある程度のポイント持ちでなければ神の世界の壁を超えることができませんからね」


そう言うものなんですね、よくわからんけど


「それでですね。貴方には私の管轄する世界の一つニールヴァーナの世界の歪みを修正していただきたいのです」


世界の歪み?どうやって修正するんです?そんなん


「こちらで肉体を用意いたします。貴方はその肉体で500年ほど善行を行っていただければよろしいです」


500年て長すぎません?老人になってからでも430年ほど働くんですか?


「ああ、老いません。ご心配なく肉体は魔導人形ですから半不老ですよ」


半不老の魔導人形ってなんです?そんなのあるならそれに天使でも入れて行かせればいいんじゃないですか?


「実を言いますとこの魔導人形が世界の歪みの原因なのです」


どういうことです?


「これから行く貴方には詳しくお話ししましょう。とある別世界の科学者が高次元跳躍航法を開発したのです」


ワープってやつですか?


「貴方のイメージではせいぜい三次元の一つ上にもいかないレベル3.2次元当たりを使う航法ですね。ですがその科学者は魔導、化学を用いて我ら神の次元である10次元にまで跳躍をしてきました」


すごい話ですね

三次元的に考えると小さな一点がいきなり広がって宇宙が出てくるようなもんだもんなぁ


ってビッグバン並み?


「三次元観点でみるとそんなイメージでよろしいです。問題はそんな下位の者が上位神階を荒らすように現れたという事。結果私のニールヴァーナの因果律が大きく崩れてしまったのです」


はあ、具体的には?


「魔法はある世界でしたが魔物、魔獣、超魔獣、そして魔人までが生まれてしまいました。」


魔人ね。それを滅ぼせばいいんですか?


「いいえ、魔人以外は基本的に共存でお願いできますか?」


なんでです?魔人だけやっつけるの?


「詳しくは現地で説明させますが、魔人抜きでいきますと魔物や魔獣等との小競り合いなどが起きて国がなくなったりしてますね」


小競り合いのスケールでっかくない?


「対処療法として勇者を送り込んでみたりもしましたがやはり根本解決に至ることはなかったのです。むしろ悪化してしまいました。」


はあ、未来の因果が変わらなかったと。


「そうですね。そこで因果を変えるために手を尽くした結果そもそもの原因である魔導人形を使うことに行きついたのです」


なんでまた。


「件の科学者ですが通常人間が10次元に神の加護なく上ることはできませんゆえに魂は消滅してしまったのですがその刹那の残滓がアカシックに触れてしまったのです。あまりにも小さな残滓であるため我々の手で取り除くことは不可能。ですのでこの魔導人形と各界のリセッターたちの協力を仰いでいるのです」


なるほどなんとなくわかりました。原因の体であるその魔導人形こそが一番世界の歪みをただす因果を持っているってことですね。


「こちらから話を振ってなんですけれど理解が早くて助かります」


いえ、あまり理解もしてないんですけどね

まあどっちにしても異世界転生など心の踊るものなのは少年のハートを持っている証拠でしょうし


「貴方享年36歳でしたよね?」


その辺の記憶は抹消しといてください。知識だけ残して前世の個人情報だけない方が何かと都合よくありません?


「そんなこともありませんがまあ確かに言わんとすることも一理あります。そうですね。では年齢に関する部分だけ15くらいにしておきますか?」


ああ、それでお願い、いや、その魔導人形の外見年齢くらいでいいですよ。さすがに中年ってことはないでしょうし


「そうですね。およそハイティーンという感じですね。じゃあ二十歳くらいにしておきましょう。あとは何か要望はございます?


要望っていうか魔物や魔人なんかにすぐに殺られないように強さをいただけると


「その辺りは大丈夫です、その魔導人形は一番戦闘力が高いとマニュアルにありましたから」


マニュアルあるんですか?


「中に入っていますので転生したらすぐに理解して使えると思いますよ?」


ああ、インストール済みってやつね。じゃあ問題ないか。あ、あと向こうの仲間の情報なんかも入れといてくださいね。


「それも大丈夫です。皆に一斉送信が可能ですからあなたの転生と同時に向こうの仲間十二人に情報が届くようになっています」


ありがとうございます。じゃあ何もないかな。あとはその向こうの仲間がいい人だといいね


「・・・・・」


女神様?何で顔そらすんです?


「ソンナコトナイデスヨ」


思いっきり片言じゃないですか


「いい人なのは問題ありません。仮にも神が因果修正のために選んだ人材ですから」


じゃあなんで目をそらすんです?


「性格に少し差異がでてくるようです。おそらく魔導人形との紐付け時にどこかに魂のストレスがかかるようで予期せぬ性格趣味嗜好が現れるようですね」


ミッションに影響は?


「アカシックには問題は出ていませんが」


ならいいですね。さっさと行きますか


「さばさばしてますね。地球の方ってみんなそうなんですか?」


さあ?異世界転移ってシチュエーションに慣れ親しんでるからじゃないんですかね?


「あの人もそうだったみたいですね」


アノヒト?俺以外に地球からの異世界転生者がいるんですか?


「はい、一人いますよ。それは後のお楽しみという事で。ではお送りいたします。向こうに着いたらまずはアイナを訪ねてくださいね」


アイナって‥


その質問は伝わることなく世界はホワイトアウトした

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