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私の世界のその先の…  作者: 黒江紫音
なんか分からないけど転生しました
4/6

ラノベ作家と朝の攻防戦

チュンチュン、と鳥の囀りが聞こえてくる。


寝返りをうつと…うっ、カーテンから漏れ出た光が眩しい。


これは堪らない、と布団を深く被る。



お母様は…?昨夜、一緒に寝たはずだけど…と、布団の中を弄るが、気配を感じない。


ああ、あの人普段から早起きだった。と気づいた時にはもうかなり頭が覚醒していた。


まだ寝たい。そんな欲望が私を支配する。


うん。まだ子供だから。6歳だから。子供は寝ることも仕事だから。と、二度寝を決め込もうとしたが、そうも行かなかった。


コンコンッ、と、小気味よく扉がノックされる。


グッ…来てしまったか…


せめてもの抵抗に、返事はしない。


しばらくの沈黙が続く。


そして、再び扉がノックされた。


「おじょうさま…あの、シータです。はいっても…その、よろしいでしょうか…?」


絶対に返事はしない。私は寝るんだから。


返事しなければ、入ってはこれま————


ガチャっ「し、しつれいします。」


はい。知ってた。知ってたよ。だって、毎日返事してないのに来てるから。


だけど、私は抵抗する。起きない。


「おじょうさま。おきてください。その…そらがきれいですよ。」


ジャーーッ、ガチャって音が何度もする。


あ、あの子は…


音から察するに、カーテンと窓を開けたらしい。


「くうきもおいし……おじょうさま、おきてください。おきているのは…その、わかってますから…」


な、なぜバレた…


「ねる…わたしはねるの…」


「だめです…そろそろあさごはんのおじかんなので…おきがえのじかんも、あります、から…」


「やだ…」


「な、なら……ちからずくで、いかせてもらいます…」


直後、布団を剥ぎ取られそうな感覚。


ま、まさかこの子…


慌てて内側から布団を握りしめる。


そこからは私とシータの全力の攻防戦が始まった。


「ぐ、ぐぬぬぬ…お、おじょう…さま……おき、て……」


「ね…る……の‼︎」


布団を引っ張られ、引き戻し、引っ張られ、引き戻し。


まさに一進一退。


そして、数分が経つ。



勝負を制したのはーー


「えぃっ‼︎これ、で‼︎」


「ぐぬぬ…あぁ…‼︎ぐあぁぁぁぁぁ…」


シータだった。


眩しい。眩しすぎる。


こんなの、人間が耐えれるわけがない。


こんな陽の光を浴びたら、灰になってしまう…


ただでさえ朝は弱かったのに、前世の超夜型生活を思い出してしまった状態ではなおさらだ。


陽の光が容赦なく目に…


「その、おはようござい、ます…」


「シータ…うらむわよ……」


「いや、です…きょひ、します。」


額に汗を薄っすらと浮かべたシータは、私からの不満を聞く気が無い模様。


というか、この子。いつも思うけど、気弱なのか大胆なのかがわからなくなる…


「はぁ...おはよう、シータ。」


「はい、おじょうさま…おはよう、ござい、ます」


シータがにっこりとほほ笑んでくる。


ぐはぁっ...めっちゃ可愛い...


毎日見慣れたこの笑顔だけど、前世の記憶を取り戻した今だからこそ、余計に痛感する。


なにこの子可愛すぎるでしょう‼⁉︎


私と同じ6歳でありながらメイド見習い。毎日起こしに来てくれるし、色々と私を助けようとしてくれる。『おじょうさま』って言ってずっと後ろについてきてくれる。しっかりしようと日々頑張ってる…



やばいです可愛すぎです死ぬほどかわいいです本当に可愛すぎてつらいです




現在では肉体的には同い年といえども、、精神的だと(前世享年18歳と合わせて)24歳のお姉さんにはあり得ないレベルでダメージが入ります。


なんだろう…シータって、すごく年下の妹、って感じなんだよね。


前世でも、妹が欲しいと思っていたことは多々あったし、シータすごく可愛くていい子だから、最高すぎる…


え?シスコン?好きなだけ言いなさい。構わないから。


思わずシータのことを抱きしめ、そのままシータの黒髪ショートカットに顔を埋める。子供特有のあったかい体温。仄かに香る優しい香り。最高‼︎


しかし、抱きしめられたシータは、突然の事に少し驚いている。


「ふぇ…おじょう、さま…?」


可愛い。


そして


「えいっ‼︎」


グイッと、そのままベットに引き込む‼︎


「ふぇぁっ⁉︎」


足も絡ませてがっちりホールド。


ふふっ、残念だったね、シータ。最後に勝ったものが本当の勝者なのだよ。


布団をかけて、さあ、おやすみなさい…


「おじょう、さま‼︎‼︎おき、ないと…‼︎」


シータが何か言ってるけど、聞く耳は持たない。


あぁ、二度寝最高…



その後、着替えなどを手伝いに来たメイド達が私達の現状を見てなのか吐血していた、という話を、私達をいつも通り迎えに来たお姉様から聞いた。


私、何かやったっけ?


シータ(6歳)

気弱だけど、とても心優しく、とても頑張り屋さんな少女。訳あってこの年齢でメイド見習いをしている。(理由はそのうち明かされます)


アリスのことを心から慕っています。

アリスとの朝の攻防戦はフィーリア家の名物。

いつもは抱きしめられたりとかは無かった為、今回は少しびっくり。



フィーリア家メイド隊

なかなか個性の強い方達。

今回着替えの手伝いに来た人達は、普段あまり見ないような尊すぎる光景を見た為、吐血。

これからも沢山登場しますよ‼︎

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