表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異なる世界の近代戦争記  作者: 我滝 基博
第4章 ヒルデブラント要塞攻防戦
74/450

4-2 開戦

 午前10時30分、帝国軍別働隊と共和国軍塹壕部隊の衝突、"ラウ会戦"は1つの号令から始まった。



「突撃ぃいっ‼︎」



 その号令と同時に、帝国軍別働隊各所で笛が鳴り響き、それを合図に帝国魔術兵およそ1万人が一斉に雄叫びを上げながら駆け出した。



「「「ウォオオオオオオオオオオオッ‼︎」」」



 遠くから聞こえる帝国兵達の雄叫びを耳にした共和国軍は、双眼鏡で敵が迫ってくるのを確認し、各軍団長が号令を下す。



「撃てぇえっ‼︎」



 軍団長の号令と共に40門の重砲が火を噴き、放たれた砲弾は曲射を描きながら帝国魔術兵達を襲う。


 40発の砲弾は帝国魔術兵達の周りで次々と地面に触れ、炸裂し、地面をえぐっていき、40個ものクレーターを作り上げる。


 しかし、帝国魔術兵に死者はほとんど出なかった。


 魔術兵は身体強化により防御力を上げている為、重砲の砲弾が直撃でもしない限り、大抵は擦り傷程度にしかならないのだ。


 それでもほとんどであり、死者は出ていた。


 身体強化が弱かった者が砲弾の炸裂に巻き込まれ、致命傷を負い命を落としていったのだ。


 中には、強力な身体強化をしていたにも関わらず、運悪く砲弾が直撃し、見るも無残な姿になった者も存在した。


 共和国軍による重砲の第1斉射が行われて直ぐ、帝国軍はおよそ2万人の通常歩兵への突撃命令を下す。


 身体強化の使える魔術兵を盾に、通常歩兵が後方で、魔術兵を射撃援護しながら突撃する。この世界における基本戦術である。


 合わせておよそ3万の帝国兵が共和国軍塹壕に迫る中、共和国軍は重砲の斉射を続けた。


 重砲の砲弾が降ってくる中、3万の兵士達は、少しずつだが着々と共和国軍に迫る。


 しかし、敵に近付くにつれ、敵軽砲による斉射、敵重機関銃の無数の弾丸、敵兵による銃弾の応酬が加わり、敵の攻撃は激しさを増していく。


 共和国軍に近付くにつれ、帝国兵は次々と凶弾に倒れ、戦場には帝国兵の屍が転がっていった。


 更に、身体強化の性質上、魔術発動中の身体への衝撃で術者魔力はかなり減らされる為、共和国軍の苛烈な砲火により、魔術兵達の魔力が底をつき始めていた。

 そして、身体強化が切れる者達が続出していき、敵塹壕制圧が不可能となり始め、多大な犠牲を払いやっとの事で敵塹壕目前に迫る中、帝国兵達は後退を余儀なくされてしまう。


 撤退を開始する帝国軍だったが、共和国軍の攻撃は止む事無く続き、帝国兵が撤退した時には、突撃時の死者も合わせて3千人近くの帝国兵士が戦死していた。


 一方共和国軍は、帝国兵の銃撃を受け100人程の戦死を出したが、帝国軍より圧倒的に少ないと言える。


 結果、ラウ会戦初戦は共和国軍の勝利という結果に終わった。




 一方、ヒルデブラント要塞でも戦闘が行われた。

 共和国軍要塞攻略部隊がヒルデブラント要塞への総攻撃を行なったのだ。


 しかし、 ヒルデブラント要塞は、やはり難攻不落であった。


 要塞との間に張り巡らされた有刺鉄線の柵が行く手を阻み、足下の無数の地雷の恐怖が襲い、要塞防衛陣地からの魔導兵による魔法攻撃と通常兵による銃弾、要塞からの砲弾の雨が降り注ぐ。


 死神が空から、地面から、正面から迫る地獄を、共和国兵達は一歩一歩進んで行き、進む毎に兵士達は次々と死んでいく。


 ヒルデブラント要塞各防御陣地からの苛烈極まる攻撃に進軍の足は段々と遅くなっていき、そして等々、敵の第1次防衛線に足をかけることすら叶わず、共和国軍は後退せざるを得なくなった。


 共和国軍による第1次要塞総攻撃は、帝国軍死者およそ600名、共和国軍死者およそ5千名と、共和国軍の死者が帝国軍の約10倍も出す型で、共和国軍の惨敗として終結する。


 最初の砲火が交えられてたった3時間の間に、両軍合わせて、およそ9千人もの屍の山が、戦場に積まれたのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ