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異なる世界の近代戦争記  作者: 我滝 基博
第2章 エルヴィン・フライブルクという男
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2-7 異世界にて

 異世界の歴史を調べ始めたエルヴィンは、先ず前世には無かった物に触れる事となった。


 この世界には"魔力"という物が存在し、魔力は全ての人類が持っている。そして、魔力を利用した、"魔法"と"魔術"という技術がある。


 魔法は、魔力を術式などに経由させ、現象を発生させる技術。

 魔術は、魔力を自分の身体に干渉させ、体の機能に変化を与える技術。

 魔法は自然現象を操る事に長け、魔術は身体能力を上げる事に長けている。


 他にも、この世界には前世同様の技術も存在した、


 世界3大発明である、羅針盤、火薬、活版印刷である。しかし、それ以降の技術には必ず魔力が関わっていた。魔導機関、通信装置がその例である。


 亜人族やドラゴン、魔獣などが存在する事も判明した。


 ドラゴンは空軍として帝国では戦闘機の代わりに軍に配備されており、帝国の空を度々飛行する姿を見る事が出来る。


 前世には空想、お伽話の世界の産物されていた技術、歴史、文化が目の前に存在するという事実に、エルヴィンは心震わせながらこの世界の知識を脳に刻み込んでいった。




 世暦(せいれき)1899年5月12日


 ズィーボルト病院にて、フライブルク一家の下に、もう1人の子供が生まれた。


 子供は可愛い女の子であり、テレジアと名付けられる。


 オイゲンはエルヴィンの時同様。いや、それ以上にオドオドし、その横でエルヴィンは、テレジアが産まれた事で不思議な感覚に襲われていた。

 前世では兄弟が居らず、一人っ子だった為、生命の誕生に立ち会った事がなかったからである。


 オイゲンはその時、陸軍准将になっていた。




 世暦(せいれき)1903年


 オイゲンは陸軍少将になった。そして、前の戦いで多大な功績を立てた事により、領地が与えられる事となる。


 しかし、そこは領地とは名ばかりの僅かな広さで、更に街や村々は荒れ放題という始末であった。


 その領地は魔獣が多く生息しているが故に魔獣の森と呼ばれる森の側にあり、前の領主は面倒だからと言って、その地を放置していた。その為、領地の1番大きな町ですら魔獣被害でボロボロで、住民も500人程しか居なかったのだ。


 実は、褒美の領地というのは建前で、統治困難な地を任せる事により、オイゲンを軍での出世から遠ざける、という貴族の裏の思惑があったのである。


 普通ならば投げ出したくなる土地。しかし、それを見たオイゲンの表情は笑っていた。



「ボロボロでも、領地は領地だ!」



 オイゲンは(こた)える事なく前向きに考え、早速、町の修繕を開始しする。


 まず、魔獣被害を抑える為、城壁の修繕から始めるのは必然であった。


 度々、森から来る魔獣を追い払いながら、その面倒臭さに苦心されながも、職人と労働力を集め、少しずつ城壁を修復させていく。


 当初は、魔獣の脅威に怯えながらの作業を恐れるあまり、町の人々は渋り、家に篭って傍観を決め込んでいた。

 しかし、「見ず知らずの貴族が頑張ってくれている」という事で、参加してくれる人数も着々と増えていく事になる。


 更に、途中からオイゲンの正規軍での部下達も修繕に参加し、歴戦の兵達に魔獣退治が頼める様になった事で、城壁の修繕はあっという間に終わった。


 次に、(ようや)く町の家々の修繕に取り掛かる事っなるのだが、その時にはエルヴィンも、前世の記憶とちょっとの欲を活かして少しアイデアを出した。


 町の修繕を進めると共に、この気に内政についても考える事になり、エルヴィンはそこでも意見を出し、最初に種族や身分を問わずに無料で学べる学校を作ることを提案する。

 帝国のほとんどの学校では、亜人差別の影響で人間以外の種族は学べないようになっていたのだ。


 言う事には一理あったのだが、エルヴィンは当初この意見に対する父親の反応を危惧した。「オイゲンも人間(ヒューマン)至上主義者(スプレマシスト)なのではないのか?」という不安があったからだ。


 しかし、それは杞憂だった。オイゲンはそれを全く反対せず、むしろ歓迎した。


 オイゲンは種族を問わずに平等に接する人で、部下の獣人族達が学び舎に通えないことを不憫(ふびん)に思っていたのだ。


 この時、エルヴィンは改めて、この父を尊敬する事が出来た。


 その後、エルヴィンは当分の間、税を軽くすることも提案した。

 復興も進んでない町から毟り取っても、大した金にはならないし、領民からも恨まれるのみだからである。

 この意見も、オイゲンは納得して聞き入れてくれた。




 世暦(せいれき)1905年


 遂に町の修繕が終わり、そこには1つの町が復活したのだが、いつの間にか既に町は人で溢れていた。

 身分、種族を問わない無料の学校や税が軽いという噂を聞き付け、獣人族や貧しい者達が修繕完了前に沢山移住して来ていたのである。


 修繕完了から3ヶ月足らずで、人口はたちまち3万人にまで膨れ上がり、街は活気に満ち始めて行った。


 この光景を見たかつての町の惨状を知る者達は、この街の事を奇跡の街、"ヴンダー"と呼ぶようになる。


 そしてこの街はフライブルク男爵領領都"ヴンダー"となったのである。

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