表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異なる世界の近代戦争記  作者: 我滝 基博
第5章 ライヒスバーン事件
219/450

5-8 囚人

 列車後方、4両の貨物車の後ろから2番目。その中で、ヴッパタール大将暗殺の罪人、オッフェンブルク元大佐は、椅子に繋がれ、後ろで両手に手錠を()められながら、20人の帝国軍憲兵に囲まれ、帝都まで輸送される最中だった。



「あ〜っ、腹減ったなぁ…………飯は未だなのか?」


「黙れ! 罪人が軽々しく口を開くな‼︎」


「ヘイヘイ……」



 憲兵隊長に叱責され、オッフェンブルクは苦笑を浮かべた。




 エドガー・オッフェンブルク、30代後半の男で、服は帝国正規軍の物だが、長年牢に繋がれ、新たな服も与えられず過ごしていた為ボロボロであり、髪も切らずに肩まで伸び、口髭と顎髭も整えられる事なく小汚く付属されている。



「まったく……身嗜みぐらい整えさせて貰いたいものだ。服も囚人服でも構わんから、洗濯された綺麗なものを着たい。やれやれ……これじゃあ共和国の捕虜になった方が何倍かマシだぜ?」


「だから口を開くなっ‼︎ しかも、帝国の不敬に当たる発言をするなど、元帝国軍人として恥を知れ‼︎」


「何を言うか……帝国に愛想が尽きたから、暗殺事件なんか起こしたんだろうが…………」



 その瞬間、オッフェンブルクの頭蓋に強烈な衝撃が走り、頭から血が流れ落ちた。

 憲兵の1人が、小銃で彼の頭を殴ったのだ。



「貴様、身の程を弁えろ! 貴様は罪人だ! 殺す事は許されていないが、手足を引きちぎる許可は得ているのだぞ? それを行使して欲しくなければ大人しくする事だな……」



 憲兵隊長はニタリと見下す様な笑みを浮かべる。



「もっとも……帝都に着き次第、処刑される貴様には関係ないか……」



 憲兵隊長の嘲笑混じりの笑いに始まり、それに吊られ、20人の憲兵全員がオッフェンブルクに嘲笑の笑いを向けた。



「胸糞わりぃ……」



 自分に向けられる笑いに、オッフェンブルクは不快感のあまり唾を床に飛ばし、その後、更なる暴力を、彼は味わう事となった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ