4-59 恋する2人
取り敢えず、様々な事が1段落着き、エルヴィンは仕事に戻ろうとしたが、アンナは立ち止まったままだった。
「エルヴィン……私は後から行きます。メールス二等兵と少し話したい事があるので……」
「そうかい? 別に構わないけど……さっきも言った通り、逃げるかもしれないよ?」
「逃げても良いですけど……その場合、今日も徹夜になるだけです」
「そうかぁ……善処します…………」
徹夜になる。それを聞いたエルヴィンは、走らずとも速足で、自分のテントへと戻っていった。
エルヴィンが居なくなり、その背中すら見えなくなった後、アンナはシャルへと視線を向けた。
「あの、メールス二等兵。1つ尋ねても良いですか?」
「はい、何でしょう?」
「貴女、"エルヴィンの事が好き"ですよね?」
アンナの突然の看破に、シャルは動揺し、顔を赤く着色させた。
「どどどどど、どうして……どうして気付いたんですか⁉︎」
「貴女のエルヴィンを見る瞳を見れば分かります。私も、好きな人が居ますから……」
「それって……」
「はい、あの人……エルヴィンです!」
アンナから告げられた想い人の名前。自分が好きな人と同じ名前。それを聞き、シャルは動揺を治めると、ふと、アンナに笑みを向けた。
「そうですか……やっぱり、少尉も大隊長が好きなんですね」
そう問われたアンナも、シャルに笑みを向けた。
「ええ……貴女よりも前から」
互いに笑みを見せ合う2人。和やかな雰囲気を醸し出す彼女達だったが、その瞳には、静かに戦意の炎が燃えていた。
「負けませんよ?」
「私もです!」
想い人を同じとする2人。彼女達に生まれた関係を、アンナとシャルは自覚していたのだ。
"ライバル"という関係を。




