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異なる世界の近代戦争記  作者: 我滝 基博
第4章 ヒルデブラント要塞攻防戦
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4-35 小賢しき策

 ラヴァル少佐達がエルヴィン達と相対していた時、陣地後方から、敵の援軍による、予想外の強襲を受けた共和国軍は、動揺しながら1部兵士達による抵抗が行われていた。



「クソッ‼︎ これじゃあ挟み撃ちじゃねぇか‼︎」



 敵援軍の攻撃は激しかった。

 [ファイヤーボム]による破壊、[ファイヤーレイン]による拠点の炎上、そして的確な銃撃。


 森の中に隠れて攻撃している為、敵兵力を把握する事は出来なかったが、間髪入れずの魔法の応酬、個人の魔力量の平均と換算し、かなりの兵力だと考えられた。


 共和国兵達は、何とか森への突入を敢行しようとしたが、その度に敵の狙撃に会い、失敗し続ける。

 味方兵力のほとんどが陣地の反対側に集結している上、只でさえ少ない戦力を、炎上した拠点の消火作業にも割かざるを得ないのだ。十分な戦力もなく、散文的な反撃しか出来ないのが主な原因であった。


 なかなか反撃に移れず、ただ苦々しくも敵の攻撃の応酬を受け続けていた共和国軍だったが、(ようや)く、ラヴァル少佐が兵士達を連れて応援に駆けつける。



「皆の衆、待たせたな!」



 意気揚々とやって来たラヴァル少佐を、兵士達は歓迎し、安堵した。一騎当千の彼さえ居れば、この戦局が容易にひっくり返せると高を括っていたのだ。


 そして、ラヴァル少佐が全軍に反撃を命じ、兵士達は次々と銃や剣を構え、足を一歩踏み出した。


 しかし、



「ん?」



 突然、敵の攻撃が止んだ。


 当初、何かの罠だと思い、様子を伺った共和国兵達だったが、直ぐに状況を打開する為、敵が潜む森への突撃を敢行した。


 何かしらの反撃を覚悟していた共和国兵達だったが、呆気ない程、何の抵抗も受けずに、敵が居たであろう地点に到着する。


 そして、彼等が見たのは誰も居なくなった敵攻撃地点である静かな森の中であった。



「逃がしたのか……」



 兵士達は当初、全員が《武神》の存在を目の当たりにし、敵が勝算なしと判断したのだろうと考え、そう予想した。


 しかし、その予想を覆す証拠を見付けた共和国兵達は、強烈な屈辱感と、激しい怒りを湧き上がらされる羽目となる。



「これは、どういう事だ‼︎」



 彼らは地面を見て怒りを露わにしていた。


 そこには敵の援軍の物と思われる複数の足跡が確かにあり、少なくとも敵兵士が居たのは明らかである。


 しかし、彼等が見た足跡。それが"数人程度分しかなかった"のだ。


 そう、帝国軍の援軍など来てはおらず、交戦していたガンリュウの部隊、その()()()()()()()()を理由に、まんまと敵本隊を逃してしまったのである。



「別働隊を大暴れさせ、我々に帝国軍の援軍が来たと思わせるとは……クソッ‼︎」



 よく思い返せば直ぐに気付けた事だった。魔法攻撃と的確な狙撃に目を奪われ見過ごしてしまっていたのだ。


 "敵の銃撃の少なさ"を。


 魔導兵は希少だ。その為、魔導兵の護衛も兼ねて多数の通常、魔術兵も同行させるのが鉄則だった。


 しかし、敵はその固定概念を突いて、魔導兵数人とそれを誤魔化す為の狙撃兵数人のみで、共和国兵達に多数の敵の援軍が来たと思わせたのである。


 共和国兵達は小賢しい策にしてやられた屈辱感と、それを見破れなかった自分達への怒りに震え、それ発散するように、多くの者が軍帽や銃を地面に叩きつけるのだった。

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