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憂鬱な13No.s  作者: EBIFURAI9
【第三章】彼女の愛したセカイに葬送曲を【上】
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探す者の話E

 炎の中に居た。

 焦げと、血と鉄と、肉の焼ける匂いが漂う。

 聞こえるのは悲鳴。私の悲鳴。

 私はただ、揺れる炎を見つめていて、気が付くと地に堕ちる。

 私の両足は無くなっていて、私は何もわからずに生きたまま炎に呑まれていく。


 そうしてまた、目が覚める。

 何度も見た天井。

 何度も見た悪夢。

 傍らには、座ったまま眠る親友の姿。

 ネネッシュが私の手を握ってくれているのを確かめて、私はもう一度目を閉じる。


 私はまた、生き残った。

 ネネッシュと、サスティバンと、アイルフィールの主従と、街に住む多くの者たちによって助けられた。

 あれからどのくらいの時間が経ったのだろう?

 あいつらは、逃げ延びたのだろうか?

 それとも、捕まったのだろうか?

 状況を確認しなくちゃ。捕まっていないのなら、アイツらを探さなくちゃ。手掛かりは掴んだんだ。私は、アイツの名前を…………――――――


 ああ、そうだった。

 あれは、夢じゃなかったんだ。


 腰から下の感覚が無い。あるのは鈍い痛みだけ。

 薬で感覚が麻痺しているのだろう。本来ならきっと、こんな風に思考する余裕すらないだろう。

 震えてしまう。怖くて、恐ろしくて。

 女が私を解体する様子が、今でもはっきりと思い出せる。

 吐き出しそうになって、自分を抑え込む。


 あぁ……最悪の気分だ。

 どうして自分は、ああも生き急いだのだろう。

 何からだって逃げだせる事が、私の長所だったのに。

 きっと死が近すぎて、私は怖かったのだろう。迫って来る死の気配に、焦っていたんだ。

 それを消し去りたくて、私はまだあの姿を追いかけているのか。

 あの治癒士の姿を、生き様を、私はまだ後悔しているのか。

 私は、ああなりたかったのか?

 分からない。おそらくそうじゃない。

 だから失敗した。私がすべきだったのは、戦う事ではなく逃げる事だったのに。


 ……眠ろう。

 どうせ私にできる事はもう、何も無いのだから。

 私は、あの人にはなれなかったのだから。

 きっと、そういう役割なのだろう。奪われるだけの、敗者なんだ。

 暮らしも、家族も、尊厳も、純潔も、最後には身体さえも奪って。世界はこれ以上、私から何を取ろうと言うのか。

 もう、嫌だ。

 生きたくない。生きていたくなんか、ない。

 どうかこのまま、朝なんか来ないで。

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