人でなしの物語
この物語はフィクションです。実在の人物、団体、名称等は一切関係ありません。また、特定の思想、行動を肯定する物ではありません。
不幸な話をいたしましょう。
誰も幸せにならない話。誰一人救われない話にございます。
人の心を持たぬ者たちの話。人の形をしているだけの者たちの話。それを本当にヒトガタである私が語るのは滑稽と思われるでしょうが、その点はご了承ください。
人の心は解しておりますが、なにぶん人ではございませんから多少の齟齬がございます。私の語る事は真実かもしれないし、偽りかもしれない。想像は想像であるからして正しくはなく、真実は真実であっても正しいとは限りません。
まあ、これを言い始めてしまえば切りがありませんから、その辺は貴方様の判断にお任せしましょう。もちろん、貴方の印象によって認識された時点で真に正しい物語とは言えなくなると、付け加えるのを忘れる私ではございませんが。
おやおや、怒らないでくださいまし。私はこの通り捻くれております故、この程度の軽口はご容赦くださいませ。
さて、それでは始めましょうか。我が主人の物語を。
全ての始まりは一人の少女の、悪意と憎悪から。
世界を越えたはるか遠くの場所から、この物語は始まるのです。