【000】その夢は、現か正夢か
「いやっ...助けて...」
じりじりと踏み寄る音。
「やめて...お願い...」
狂気に染まったその表情の”そいつ”に、そんな声は通用しなかった。
「な、なんであなた...私と...同じ顔をしてるの同じ顔をしてるのよっ...!やっ、やめて!!私はまだ死にたくない!!死にたくな」
言い切る前に”そいつ”は、鉈のような刃物でその女を斬り捨てた。
「違う...まだ見つからないなァ...くひひひ...あはは...はははははははは」
「あぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」
隣の部屋まで聞こえそうな程の断末魔。身体中からあふれる嫌な汗。整理が追い付かない思考。そして、夢だと分かった瞬間、脱力し、冷静になる。
冷蔵庫から食材を取り出し、いつものように朝ごはんの用意。
ベーコンエッグ、キャベツとアボカドとトマトのサラダ、コンソメスープ、そして、フレンチトースト。
「おー、いい香り。やっぱ秋也の朝ごはんはいつも楽しみだよ。」
一人しかいないはずの部屋に響く声。青年は窓側見つめ少し不機嫌そうな表情で誰もいない方向を向く。
「...少しくらい手伝ってくれたって罰は当たらねぇと思うぞ、ニーナ。」
何もない空間から現れる白いワンピース姿の女性。ニーナと呼ばれているその人物は、ニコニコ笑みを浮かべ、椅子に乗って頬杖を突いた。
「ボクは食べる専門だからー、頑張ってねー。」
大きなため息一つ、二人分の食事をテーブルに置き、秋也も椅子に座りテレビをつけた。
「いただきまーす。」
ニーナはニコニコとした表情を維持したまま朝ごはんを食べる。
「女神族のお前との食事、未だに慣れないんだが。」
「そう?ボクは気にしたことないけど。」
そんな”いつも通り”の朝。テレビからふと聞こえた声。
「続いてのニュースです。また痛ましいあの事件が起こりました。」
巷を騒がせる連続無差別殺人事件。いつも通りのニュースと思っていた。その時、食事をしていた秋也の動きが止まる。
そのニュースに映った女性の顔写真は、昨夜見た夢に出てきていたのだ。
どうも、初めまして。鏡石と申します。
普段はpixivで小説活動をしているのですが、詩乃さんが小説を書いてるということで
「外伝みたいなの作ってもいいですか」
と聞いてみて、OKが降りたのでアカウント作って書かせていただきました!
まだまだ未熟もので、至らぬ点はありますが、僕の物語も、ぜひ見てくれたらなと思っています。
そして、作品と世界観を貸してくれた比那名居 詩乃さん、本当にありがとうございました!
最後に、
「Repeated Vampire」もよろしくです。