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Regret  作者: イサナ
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たった3年の切ない物語

自分の夢にみたことを軽く書き起こした

 今年は例年通りに雨は多く降らず、早梅雨ひでりつゆとなった6月中旬であった。まさかあんなことが起こったとは誰も思わないだろう。


 僕、飯坂いいさか 弘毅ひろきは静岡から出てきた、東京の大学に通う18歳だ。しかし僕は決して金持ちではない。もちろん両親もだ。そのため23区内に住むことさえ危うい。やっとのことさで安アパートで生活を繋いでいる。この生活にも段々と慣れてきたが、まだ人混みには慣れない。静岡という、どっちかというと田舎寄りの場所で生まれ育ったからだろうか。それか両親のせいだからだろうか。言うまでもなく前者であろう。こんな人があまり好きでない僕が生活を繋ぎ止めるためにやっているバイトが、意外にも大人数を相手にする塾講師。子供は苦手ではないが、流石に4・50人を相手にするとなると多少手足が緊張で震えてしまう。こんな僕で塾講師は成り立つのだろうか。そんなことを思いながら過ごす東京での毎日であった。


 そんな僕に転機が訪れたのは、この生活に慣れてきた二年の梅雨の時期であった。


 何気ない生活を送っている中、近所で変な噂が立った。夜な夜な少女が泊めてほしいと家々へ頼みに来るとい噂だ。巷の人々は幽霊だの見間違いだの言っているが、僕はそんなものには流されない主義だ。昔からそうだ。小学校では七不思議が、中学校、高校では心霊スポットや都市伝説が流行ったものだ。特に静岡では明治のトンネル、大崩海岸が有名だが、よく友達に行かないかと誘われたが、そんなものには興味はない。東京に来てもそうだ。例えそんな噂が流れても、今の生活が送れればいいのだ。そんな感じに考えていた僕はそれには興味は持たなかった。


 ある日、いつも通り僕は大学を終え、バイトをし、安アパートに帰ってきた。課題を終わらせ、夕食を食べ、何もない一日が終わろうとしていた。その時であった。インターフォンが鳴る。安アパートなため、モニターやマイクはない。よってドアを開けなければ外を確認できない。僕はドアに向かった。


「どなたでしょうか?」

 僕がドアの前にいる誰かに質問する。 しかし返答はない。ドアを開けてみた。そこには少女が立っていた。一目見て分かった。あの噂の少女だ。流石の僕でもこれは信じるしかない。


 少女が消えそうな声で言った。

「とめてください、」

 予想通りであるが、流石の僕でも驚くものだ。何故僕の部屋なのだ、隣に行けばいいのに。と思いながら僕は考えた。もしこの少女が幽霊や疫病神だったら、自分には不利益しか被らないのではないかと。それに泊めたとしても、自分で精いっぱいなのに、この子を短期間だとしても養えるだろうか。まあ、試しに泊めてこの子が幽霊といった類でないことを証明するのもいい。

「いいよ、泊っていくといいよ。」 僕は軽く答えた。

「ありがとうございます、」 少女が涙目で先程よりも消えそうな声で答える。


 僕は少女を快く部屋に入れた。 さすが家賃月1万2500円なだけはある。僕と少女だけで大分窮屈に感じる。少女を僕のいつも座っている座布団に座らせ、これも実家から送られてくる静岡特産の緑茶を自分と少女の分、2杯を、少女のものだけ茶托を付けて出した。 さあ、本題に入るとしよう。

「僕は飯坂 弘毅って言います、大学一年生です。」

 なんとも普通の自己紹介だ。僕は少女に質問をする。

「何処から来たの? 名前は?」

 何処かで聞いたことのあるようなフレーズだが、これを聞かないと次に進まない。

「、、、、」

 少女は沈黙を続ける。

 そんな中僕が話を切り出す。

「ちゃんと自己紹介してくれな、、」僕が話していた時、少女がいきなり話し始める。

「3ねんかぞくになってください、、、」

 その少女の言葉に僕は驚愕した。そして少女の言葉は、そんな僕に追い打ちをかけた。


「あと3ねんしかいきれないんです、」



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