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体力バカ


 俺たちはレイモンドさんにうながされて、謁見の間に入っていった。謁見の間ではこの国、オースティンの王と王妃、そして第一王女エリス様と第一王子レオナルド様がいた。


 王は茶髪で体が大きく威厳があった。王子のレオナルド様は王を小さく、細くしたような男だった。王妃と王女も似ており、王妃は銀髪の体の細い妙齢の女性で、王女のエリス様は銀髪で胸が大きくスタイルの良い絶世の美女だった。俺たちは皆、彼女に見惚れていた。



「良く参られた、勇者の方々よ。...............いや、先に言うべきはこのような言葉ではないな。......すまなかった。」



 王はそう言って、王妃と第一王子と共に頭を下げた。



「いえ、悪いのはお父様ではありません。私が勝手にやったことです。勇者様方、本当に申し訳ございませんでした。」



 今度は王女が頭を下げた。王たちは頭を上げ彼女を見ていた。俺たちはどうすればいいのか迷っていたが、オタク共をはじめとした男たちが口を出し始めた。



「いえ、どうか頭をお上げください。王女様は国を思っての行動だったのでしょう?正直に申しますと、私はここに呼ばれたことは嫌ではありませんでした。」


「俺も同じです。」


「僕もです。」



 この3人はここに来て性格変わったな。それがいいのか悪いのか知らんけど。



「そ、そうだよな、困ってる人がいたら助けてあげないといけないもんな。」


「おう、何たってこの世界では俺ら強いらしいからな。」


「王女様、心配なさらないでください。俺たちが守ってあげますよ。」



 他の男子たちも同意した。おいおい、あからさますぎると女子たちに睨まれるぞ。しかしそれでも王女様は頭を上げようとはしなかった。だから俺も一言言ってやるとした。ようは頭を上げさせればいいんだろ。



「まぁ、王女様が俺らを召喚した事を後悔しているんだとしたら頭は上げなくていいですよ。」



 すると王女様は頭を上げて、こちらを見た。



「............いえ、皆様には申し訳ないと本当に思っています。けれど、後悔はしていません。」



 彼女は俺の目を見てはっきりと言った。こういうやつは嫌いじゃない。俺はそう思った。



「王女様、そろそろ本題に入ってもよろしいでしょうか?勇者様方、これから皆様の今後についての話をします。」



 レイモンドさんが王女様に許可を取り、今後の話を始めた。話の内容は、俺らの衣食住は全てこの国が責任を取るということ。そして、この国を守るための戦いの参加、不参加。この国に非があるのでどちらを選んでも面倒は見続けるということだった。


 そして俺らの返事はというと、先生を含む男子全員と女子何名かが戦いに参加。残りの女子何名かが考えるということだった。俺たちは残った女子達には何も言わなかった。戦いたくないのは当たり前だからな。



「皆様、ありがとうございます。よかった、本当によかった。」



 王女様は涙を流しながらお礼を言っていた。



「では、これから皆様のスキルを教えてもらうと思っています。陛下も皆様のスキルには期待しており、お聞きしたいそうです。」



 レイモンドさんがそう言った後、俺らはスキルを教えた。すると王様たちは皆、驚愕していた。



「さすがは勇者殿であるな。」



 王様たちは俺たちを絶賛していた。けれどレイモンドさんは少し渋い顔をしていた。そしてその後、謁見の間を出て昨日の広い部屋に移動していた。



「えー、では勇者様方。これからスキルと魔法について説明いたします。皆様はこちらの言葉は喋れますが、文字は書けないと思います。記録では前の勇者の方々はそのようでした。」



 するとレイモンドさんは、壁についていた黒板の様なものに何か書き始めた。俺たちは何が書いてあるのかわからなかった。



「やはりそうですか。では口頭だけで説明いたします。もちろん今後、知りたいならば文字もお教えします。」



 そう言ってレイモンドさんは説明を始めた。説明の内容は、スキルの使い方は本人が一番分かっているということだった。

 実際に俺たちは自分のスキルを認識した瞬間、スキルの発動の仕方がまるで最初から知っていたかのように分かった。

 そしてLvが表示されているものは、発動に体力を使うとのことだった。Lvが表示されていないものは、常時発動しておりこちらは体力は必要ないとのことだった。

 そしてスキルの有能さ、強さによっては使用する体力が非常に多くなったりするらしい。

 


「ですので、体力がない状態でスキルを使用すると動けなくなってしまうことがあります。皆様はの中で一番体力を使用するスキルはおそらく【無力化】Lv.1だと思われます。このスキルは非常に強力ですので。」



 まぁだろうな。てかレイモンドさんはこれに渋い顔をしてたのか?今も【無力化】Lv.1のスキル名をいう時、若干顔をしかめたからな。



「実際に説明が全て終わった後、皆様がどれほどスキルを使用できるのかを確認します。」



 次に魔法の説明に入った。魔力はそれぞれ適正属性というものがあり、その属性の魔法しか使えない。

 そして魔法は体力とは別にある魔力というものを使用して発動するらしい。

 魔力総量も個人差があるという。そして魔力を発動するには詠唱というものが必要なのだという。

 魔法にもLvがあり、使用回数や、経験によって上がっていくらしい。これはスキルも同様。Lvが上がると、スキルは効果が追加されたり威力が上がったらして、魔法は詠唱が短くなり、威力が上がったりするという。


 そして特殊魔法というものがあり、これは属性魔法とはまた別の魔法で後天的に手に入るという。どんなものかは個人によって違うらしい。ほとんどの人は特殊魔法を取得することはないという。


 説明が終わった後、変な水晶みたいな道具で魔法適正を調べた。皆、2属性以上の適性があった。こちらも規格外だそうだ。


 俺はなんと、適正属性がなかった。なんで俺だけ.........。すると西山が近づいてきた。



「やっぱお前はお前だな。魔法と使えず、スキルも諸刃のつるぎじゃねぇか。役にたたねぇ奴は黙って見てろよ。」



 西山は俺の隠していた姿を見た時から何かしら文句を言いたかったのかもしれないな。まぁ見下せるのも今のうちだけだ。言い返さずに黙っていよう。



「...............」


「ふんっ、何も言い返せねぇか。これにこりたら、あんま調子乗んなよ。この世界に慣れてきたらお前は前みたいに奴隷にしてやるからな。」



 西山はそう言って元の場所に戻って行った。



 その後、訓練場みたいな場所に連れてこられた。そう言えばみんなもらった服を着ているな。俺だけ道着ってなんかういてるな。.........でもまぁ動きやすいし、いいか。



「では、これから皆様には1人ずつスキルを使用してもらいます。きつくなったらやめてもらって構いません。」



 レイモンドさんに順番を決められて、【無力化】持ちは最後になった。

 皆、スキルを使い始めると息が上がったらしていた。使い過ぎて倒れる奴もいた。

 そしていよいよ【無力化】持ちの番となった。先にオタクの野郎がスキルを使用した。するといきなり体が崩れ落ち、そのまま動かなくなった。確かめてみるとどうやら気絶しただけだった。

 俺が最後となった。



「では、龍さんスキルを使用してください。」



 俺はレイモンドさんにうながされて、スキルを使用した。



「使用しました。」


「えっ?だ、大丈夫ですか?」


「えぇ、まだいけますよ。.........今、2回使用しました。」


「えっ?............すいません、今から私の周りに防御壁を張ります。それを無力化してもらっていいですか?」


「はい、構いませんよ。」



 するとレイモンドさんは自分の周りを囲むように防御壁を張り始めた。



「いきますよ。はいっ。」



 俺は掛け声と一緒に防御壁を無力化にして破壊した。



「............まだ使用できますか?」


「えぇ、まだ全然いけそうですよ。俺、体力は割と自信あるんで。」



 その後、レイモンドさんが魔力枯渇になるまで俺は防御壁を無力化し続けた。魔法が使えなく体力バカの俺にとっては最高のスキルじゃないか。諸刃のつるぎじゃなくて残念だったな西山くん。







 どうやら、このスキルと俺の相性は最高らしい。






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