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エルフの森


 俺はその女性をしばし見ていた。この女性は魔族ではないのかと思っていたからだ。



「敵意はないんだな?じゃあお前は一体なんなんだ?」


「わ、わたしはこの森に住んでいるリーシャと言います。」


「魔族じゃないのか?」


「ち、違います。私の種族はエルフです。」


「エルフ?」



 聞いたことあるな。耳が長くて美男美女の種族なんだっけ?



「まぁなんだっていい。この森から出る最短距離の道を教えてくれ。できれば早く、今すぐにでも出たいんだ。」


「ご、ごめんなさい。私は知らないんです。」


「はぁ?ずっとここに住んでるんだろ?なんでわかんないんだよ。」


「族長からのいいつけで.........森の外に出ていい人が決まっているんです。そのほかは出る方法すら教えてもらっていません。」



 森から出られる人が決まっている?どういうことだ?そもそもこの森を出るのに方法なんてあるのか?



「............まぁいい、いろいろと思う所はあるがとりあえずその族長とやらに会わせてくれないか?」


「そ、その前にあなたは何者ですか?」


「名前は小山 龍。オースティンで召喚された勇者だ。」



 嘘をつく必要が感じられず正直に言った。



「ゆ、勇者、やっぱり人間なんですね.........ど、どうしよう......」


「何か問題でもあるのか?というか人間を見たことがないのか?


「はい、獣人や魔族は何度かお見かけしたことがあるのですが......人間は初めてです。」



 おかしいな、人間なんてバカみたいにいるだろ。そう思ったが、俺はこの世界のことを知らなすぎる。自分の考えが通用しないと思うべきだと判断した。

 今はとりあえずオースティンに戻らなけれふばならない。そう思い、俺は話を進めた。



「それでどうなんだ、族長には会えるのか?」


「私たちの住処まで案内することはできますが.........身の安全までは保障できません。」


「それでいいいから連れて行ってくれ。」


「分かりました。ではついてきてください。」


「あぁ助かる。」


 

 そうして俺はリーシャさんとともにエルフの住処へ向かった。

 道中、リーシャさんは俺にいろいろと聞いてきた。



「リュウさんは何故魔族とたたかっていたんですか。」


「オースティンの城にあいつが攻め込んできたんだよ。そして勝ったと思った所でこの森にとばされた。」


「なるほど。この森は魔族を活性化される魔素が濃い場所ですので、ここにリュウさんを転移させて再戦ということですね。」


「まぁ、返り討ちにしたがな。」


「.........それなんですが、私は人間は基本的に弱い種族だと聞いていました。けれど、中には恐ろしく強い人もいるということも聞いていました。リュウさんはその中の一人なのでしょう。しかし、たとえ勇者ほど強いと言っても一人でヘルゴールさんを倒せるほどの人間もいるなんて知りませんでした。」


「ヘルゴール?俺が戦っていたあの魔族か?」


「えぇ、そうです、何度か見たことがあります。族長とお会いになっていたとき、一緒に来ていた魔族の方がそう呼んでいました。」


「魔族とエルフは仲がいいのか?」


「いえ、そういうわけではないと思いますけど......少なくとも人間よりかは魔族って感じだと思います。」


「でも、リーシャさんは俺と普通に会話してるじゃないか。」


「リーシャでいいですよ。......リュウさんにはぜひ族長に会ってもらいたい理由があるのです。今でも少し怖いですよ、あんな戦いを見せられたのですから。族長から人間はろくな奴がいないと聞いていますし。けれど、その会ってもらいたい理由の方が上回るのです。」



 理由か......厄介ごとじゃなければいいが。俺はそんなことを願いながら、族長にどう話そうと考えていた。



 そして、あれこれ考えているうちにエルフの住処についた。俺は少し離れた場所でリーシャの帰りを待っていた。

 すると、さっき来た森の方から5人の人の気配がした。そしてそこからものすごい勢いの矢が放たれてきた。



「ったく、なんだよ。」



 俺は矢を全て素手で掴んで地面に捨てた。

 すると、5人とも俺の前に出てきた。思っていた通り皆エルフだった。そして全員が男だった。



「お前、何者だ?」


「小山 龍.........人間だ。」


 俺はリーシャの気配を確認しながら名乗った。

 そしてエルフの男達は俺が名乗った瞬間、襲いかかってきた。


「人間、悪く思うなよ。森に入った人間はどんな奴であろうが殺す。」


「まぁこうなるか。でも今のうちに強さを見せとくか。」


 俺は5人全員に無力化を発動した。すると後ろで詠唱していた奴は突然魔法が使えなくなり、接近してきた奴は急にスピードが遅くなったりしていた。

 そして俺は最速最短の動作で5人を制圧した。接近してきた3人はあごや首の後ろを叩き気絶させ、後ろの2人はこめかみの辺りを小突き気絶させて終わった。

 その時、リーシャが戻ってきた。



「リュウさん、お待たせしました。族長がお待ち......って何してるんですか⁈」




 森にリーシャの叫び声が響き渡った。

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