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力不足


 魔族の男と小山君が消えた後、私たちはただ呆然としていた。しかし、時間が経つにつれて皆、口を開き始めた。



「魔族のやつは逃げたのか?」


「なんか急にいなくなったな...」


「た、助かったのよね。」


「よかったぁ〜」



 皆、それぞれの思いを口にして安堵していた。

 そんな中、一人叫ぶ者がいた。



「ねぇ、小山は?小山はどこに行ったの?なんで?皆、よかったって何!私たちを守ってくれた小山がいなくなっちゃったんだよ!心配じゃないの⁉︎」



 橘さんだった。



「そ、そんなことはないぞ。でも今は皆と王女様が助かったのを喜んでもいいだろ。」


「そうだ、小山はあの男に圧倒的だったじゃないか。あいつ一人でも大丈夫なんじゃないか?」



 皆、小山君の事など気にかけていなかった。でも、この人たちから見たら小山君はただのいじめられっ子だったのだ。こういう反応でもおかしくはないだろう。



「くそっ、私がバカだった。早く、早く探しに行かないと。」



 橘さんはそう言って何処かに行こうとしていた。私はそんな彼女を引き止めた。



「橘さん、何処に行くの?」


「神崎............小山を探しに行くんだよ。早く行かないと。」


「少し落ち着きなさい。小山君の居場所を知っているの?それに探しに行った橘さんに何かあったら小山君はきっと自分を相当責めるわよ。」


「で、でも...」


「その方の言う通りです。私も助けてもらったのですから、あの方を助けたいという気持ちは同じです。あの方を探し行くには、情報も力も足りません。とりあえず私たちに出来ることを考えましょう。」



 王女様が会話に入ってきて、そう言った。橘さんはしぶしぶといった表情で皆と広い部屋に戻っていった。




 その部屋に戻って王女様が最初に、皆の名前を聞いてなかったと言うことで一人一人名乗っていった。クラスの男達は、王女様を守ると言っていたにもかかわらず何もできなかったからか自己紹介は控えめにしていた。



「あと、私を助けて下さったあの方の名前を教えてもらえますか?」


「あぁ、小山ですか?小山 龍です。」


「リュウ様ですね。リュウ様......」



 王女様が小山君の名前を呟いていた。私はその光景を見てあまりいい気がしなかった。



「王女様、それで私達は何もすれば良いのですか?」



 私は王女様に聞いた。



「...あぁすみません。私のことは名前で呼んでもらえると嬉しいです。......では、今後皆様がどうされるかは皆様次第です。しかし何をするにしても、今皆様に足りないものは力です。外には魔獣など危険が多いです。ですから、皆様に鍛えてもらおうと思います。」


「具体的には?」


「スキルを使用するには体力が必要です。なので最初に皆様にしてもらいたいのは体力の向上です。そして同時進行で魔法を覚えてもらいます。スキルの使い方は体力がある程度ついてからです。この計画でよろしいですか?」



 皆、異論はなかった。



「その方向で今後進めて行こうと思います。では皆様、今日はお疲れでしょうからここで解散にしたいと思います。お疲れ様でした。......あっユリ様とリナ様はこの後は少しよろしいですか?」



 王女様がそう言って、私達は別室に移動した。



「わざわざすみません。お二人をお呼びした理由はリュウ様の事についてです。」


「小山がどうなったか分かるの?」


「いえ......申し訳ございません。正直、何処かに転移したこと以外何もわかりません。ユリ様はどうでしょうか?あの時リュウ様に何か叫んでおられましたよね?」


「あぁそのことですね。私は【魔力視】というスキルを持ってます。これで小山君と魔族の男を包んでいた魔力の流れが見えました。何かわからなかったのですが、離れた方が良いのではと考え叫びました。」


「そうだったのですね......」


「じゃあ、結局何もわかんないってこと?」



 私達は橘さんのその言葉を聞き、渋い顔をした。



「えぇですが、リュウ様はきっと何処かで生きておられます。それを信じましょう。私達にできることはリュウ様を探しに行けるほどの力をつけるか、リュウ様の帰りを待つだけです。」



 私達は頷いた。きっと小山君は何処かで生きているそう信じて。








 

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