第二話:輪廻
白い光に包まれた直後、僕の体は砂漠のきめ細かい砂が風で飛ばされていくかのように、さらさらと消えていった。
体が消えていく中、僕の意識(魂とでもいうのだろうか)は白い光の中に投げ出された。
身動きはできなかったが、羽毛布団に優しく包まれているかのような心地よさに思わず寝てしまいそうになる。
この光は僕を、眠らせようとしてくる
この空間で寝てしまったら、僕はどうなってしまうのだろうか。
...このまま僕は消滅してしまうのだろうか
死ぬことがが怖いだなんてまったく思わなかった
けど
僕自身の消滅、僕が生きていた証の消滅、僕のあの世界での記憶の消滅
そんなことを考えていたら
僕が無の存在になってしまうことが怖くなった
僕という存在がなくなってしまうことがとても怖くなってしまった
消えてしまうのは
怖い
「嫌だ...消えてしまうのは...」
「嫌だ........今まで蓄えてきた知識がなくなってしまうのは.....あれは....あれは平凡な僕が生きていたことを...あの世界で生きていたことを、存在していたことを...証明できる唯一のものだから...」
必死に眠気に対抗しながらもそれもかなわず、僕はそのまま深い眠りへと落ちていった。
無の世界へと、落ちていった
(意識がある....?)
目を開けると(もちろん体はないのでなんとなくの感覚だ)
周りには、何もなった
どこまでも続く闇
いや、闇ですらない。そこに有って、そこに無い。無の世界
意識がのこっているのは(いつ消えてしまうのかはわからないが)、幸運であったが、このまま無の世界に存在し続けるというのはとてつもない苦行だろう
果てしなく続く未来、時間という概念があるかすら分からないが、それに思いをはせていると
突然、
光
爆発
「無」から「有」の世界へと変わった