どうやら、「まだ」プロローグは終わらないらしい
「何を言ってるんだ。。少しは考えろよ。。。あれは“気づく”だろ。」
不意についた“おもい”に、自分でも“答え”が出てない“気持ち”に、言葉が違えど“告白”したと、伝わってしまった。自分の“偽り”のない言葉でもあるが、相手を見ずに“話した”事に後悔をした。
僕は抱える頭を離しては、ゆっくりと体を起こし、背もたれに寄りかかるように天井を見ては深くため息をついた。
「ふー。。。」
天井を眺め見渡しながら息をはき、口を一文字に頬に力を入れては顎をさげた。顔を斜めに振っては鼻で一つ息をはく。
「絶対“伝わった”よな、、、」
真っ白になっていく頭に、何も言い出せない気持ち。僕はどうするべきか今更ながら後悔していく。目の前の席は“ガラン”と誰もいなく、隣の席では近藤が書類を確認しては何かを探すように机の上の書類をバサバサとめくっている。
「あっ、そうだ。なぁ、さっきの書類終わってる?」
悩ませる胸に土足で入ってくるように、何かを探す近藤が話しかけてきた。
「え?あ、、あー、さっきのね。。。」
僕は聞こえる声に悩む頭で返事をし、書類を取っては近藤の差し出す手に置くように渡した。近藤は左手で書類を掴んでは横目で僕を流し見て言葉を継いだ。
「ん?どうした?なんかあった?」
「ん?。。あー、なんでもないよ、、」
「そぉうか?ま、それならいいんだけどよ、それよりもサンキュー」
近藤は僕が渡す書類を手にしては軽い言葉を返し、何もなかったかのように仕事に戻っていく。僕はその姿を見ては「う、うん」と生気のない声をだしてはパソコンの前に体を向けた。
パソコンの画面に映る自分の影に何とも言えない気持ちに唇を噛んだ。。顔をクシャクシャに、ひきつる頬を強張らせては力強く机の上に手をかけた。
「あ、ちょっと“昼”行ってくるわ」
いたたまれない自分の“空気”に、僕は“誰”かに伝えるように言葉を発し、机に手を置いては体を支えるように立ち上がった。勢いよく立つ僕の足は座っていた椅子にぶつかり、少し後ろにさがっていった。僕はやりかけの仕事をそのままに、椅子を戻さず走り去るように歩きだした。椅子はクルっと一回転しては止まっている。
「あーもう、何やってんだよ。。あずみにしてもそうだけど、、、」
僕は早歩きに、“怒って”いるように眉間にシワをよせ、左手で髪をかきあげては“その場”を離れるように部屋の出口へと向かった。周りの人達が黙々と仕事をこなしているのをよそに、出口付近まで歩を進めると、仕事をしながら振り返るよし乃が目に入ってきた。僕は映る目線をさげては“見えてない”ふりをして部屋を出ていった。
「、、なんでこんなにも“噂”がひろまってるんだよ。。。それがなければ、“こう”なってなかったのに」
自分の“蒔いた”種を“誰か”のせいにしようと“黒い”思考が自分全体を襲ってきていた。
「。。。っち」
僕は“黒い”自分に舌打ちをしては、休憩所に向かい、コーヒーを買っては屋上へとむかった。
「。。くそ、、、いや、でも“勘違い”してるかも、、、ってのはないか。。。って、何でこんなにも“悩ま”なきゃいけないんだよ、もう“言って”しまったんだから仕方ないだろ?今更“何”言ったってどうにもならないだろ。。。それよりも、これからどうするかだろ。。席だって目の前だし」
僕は屋上へと続く階段を上っては、外に出るドアに手をかけた。
ドアを開け屋上に足を踏み入れると白い雲に覆われた太陽の光が目に入ってきた。額に手をかざし、眩しく入る光を遮っては、屋上を囲うフェンスまで体を動かした。
「不意に“言って”しまったからか?それとも何かを“期待”していたのか?「私もです」とかって、言われるとでも思ってたのか?、、」
フェンスに勢いよく手を置き、少しずつ冷静になる頭に、今一度“さっきの場面”を思い出しては、コーヒーのふたを開け一気に飲み干した。
「。。。うん。仕方ない。言ってしまったのは仕方がない。。」
飲み干したコーヒーの缶を左手で握りしめ、目をつぶり下に顔を向けては自分に問い始めた。実際“誰”が“好き”なのか。誰を“おもう”のか。見え隠れする“逃げる”自分に、自分で追いかけた。
「うん。好きになるのは仕方ない。例え誰を好きになろうとも。どんな状況であろうとも、だけど、、、、」
僕はあずみのことが“好き”なのかもしれない。“よし乃”のことも、“気になる”のかもしれない。他人から見れば、よもや“わかりきってる”ことなんだろう。けど、自分自身、“割りきれない”心に悩みがついばんでくる。
「あずみは、なんとなく“支えて”いきたいと思ったし、自分を“強く”支えていけると感じた。。よし乃にしても、一緒にいて、“癒される”感じがするし、心が“踊る”ようなおもいがあった。」
今まで“好き”という感情をださずに接してきた時間が、“好き”という感情に“支配”されていく。僕の頭はどんどんと渦にのまれていく。
「考えるな、感じろ、、、」
僕は目を閉じたまま頭をふり、“へた”な考えをふり消すように揺らした。
悩みは悩みであり答えはでない。考えはどうにかすれば答えがでる。けど、悩みも考えもしたところで、感情には答えがない。ならば、一つしかない。
“悩みも考えも思考を止めて、有るべき感情に、直感に委ね頼るしかない”
僕はゆっくりと目を開き、顔をあげては深く息をはいた。
「。。。。。」
何も変わらない見える景色に目を落とし、“偽り”のない感情に一息頷いた。
「何も“無理”して隠しても仕方がない。ならば、“開きなおる”しかない」
改めて自分の“おもい”に問いただしては、少し落ち着きを取り戻した。“開きなおる”ことが今の答えなのであれば、そのまま行動した方が良いのだろう。ただ、また同じように“やってしまう”ことがあるかもしれない。けど、“それ”を含め“開きなおる”ことが、自分を“出す”一つの答えなのかもしれない。
僕は悩む“おもい”に考えを、直感という“開きなおり”を胸に落とし、心落ち着かせるように息をはいた。手をかけるフェンスから体を離し、“昼”を終わりに屋上を後にした。
「、、、そーなんスよ。えー、たぶん、平気っス。“イケる”と思うっスよ。」
階段を降りる僕の耳に声が聞こえてきた。携帯で話をしているのか、相手の声は聞こえてこない。“何か”を確認してるような口調で話をしているみたいだった。
「その辺は、ビミョーッスけど、なんとかやってみますよ。はい。大丈夫ッス。。。」
階段を降りる足音に、話す声が近づいてくる。階段のへりを掴んでは踊り場で体を回転させ、下へと下がっていく。
「はい。はい。了解ッス。また、連絡します。はいッス」
携帯で話す男が話をやめ、携帯を閉じては足音のする僕の方を見上げてきた。
「あ、お疲れっス。何してんスか?」
「。。。お疲れって、お前?!」
「何スかいきなり。やっぱ、面白いっスね」
携帯で話をしていたのは、“一度”会ったことのある“山下”だった。
「お前、、山下!?」
「そっスよ、なんすか改まって、そっス。山下ッス。あざッス」
「山下、、お前」
「なんすか?山下ッスよ。何回も言わなくても、山下ッスよ あはは」
山下は強ばる僕の言葉に何度も切り返しては笑っている。
僕は降りる階段の途中で足を止め、見下げるように山下を見ていた。
「もしかして、サボりッスか?」
「違うよ、昼“取れなかった”から今とってるんだよ」
「そうなんスか?でも、サボりッスよね?」
山下は“昼休憩”と伝えているのにもかかわらず、“サボり”と受け取ってくる。僕は少しムッとしては、顔を横にふり、気持ちを抑えては山下に話しかけた。
「それよりも、山下。お前柏田の“後輩”って、違うじゃないか」
「え?なんスかそれ。柏田さんは同じ部署の先輩で、自分は後輩ッスよ?なんか勘違いしてないッスか?イヤだなぁ。ちゃんと聞いてくださいよー」
山下の言う言葉に肩透かしを食らった感覚に、無情にも笑ってしまった。
「それはそうと、今の“電話”聞こえちゃいました?」
山下は一瞬“ギラつく”目を向けては笑顔に目を細めて僕に聞いてきた。僕は「聞こえたけど、内容は全くきこえてないよ」と笑う山下に答えた。
「あ、そっスか。それならいいーんスけど。。。ま、いずれはわかることッスけどね」
「え?なんだよそれ?いずれってなんだよ?」
「はい?なんスか?俺、そんなこと言いました?空耳じゃないッスか?あはは。」
山下はおちゃらけるように言葉を繋げては、僕の顔を見て真面目な顔を見せてきた。
「あ、そうだ、一応言っときますけど、俺、あんたと会うのこれで、“三回目”ッス。ま、厳密には“会った”のは二回目っすけどね。あはは。ま、そんなことで、俺行きますねー。今後も、“何か”と会うと思うんで、そんときは、お願いしまーす」
山下は言葉を伝えると背中を向けて、右手を高くあげては、ヒラヒラと手を振り歩き去っていった。僕は後を追うように階段をかけ降りていったが、山下はもう何処かに入っていっていた。
「どういう意味だよ。。。」
最後の階段を降りては、消えていく山下の影を見るように通路を見つめた。
僕は“意味深”な言葉を頭に、さっきまで“悩んで”いたことも、忘れ去りそうだった。
“昼”をとり仕事部屋へと戻っていくと、いつもと同じようにあずみも席について仕事をしている。僕は、そんな光景を見ては黙って椅子に手をかけ腰をおろした。
「お?戻ってきたか。さっきの書類だけど、もう“送った”?」
席に腰をつけると同時に近藤が話しかけてきた。
「え?あー、まだだけど、どうしたの?」
「よかったー。。いやな、訂正箇所があってよ、打ち直しなんだわ」
「え?そうなの?」
僕は近藤から書類を受け取っては、間違っている箇所を探し打ち直した。目の前で仕事をするあずみに“意識”をしないように、パソコンと書類に目を向けては仕事をこなしていく。
いつもと変わらぬ仕事の空気。部屋全体が、僕を見ているような錯覚に“過剰”にも反応をしてしまう。誰もが一度は経験している“自意識過剰”な思いに、自分が落とされていくとは思ってもいなかった。
その日の仕事はいつもより効率の良い速さだった。良くも悪くも“開きなおる”ことが、幸いと化したのかもしれない。まだ、“何”も、始まっても、終わってもいない。山下の言う“今後”も、僕の中で“さらに”渦をまいている。
就業時間も終わりに差し掛かり、僕は誰にも目を合わさずに帰り仕度をやり始めた。
目の前ではカタカタとパソコンをうつあずみが座っている。
僕は流すようにあずみを見ては、ポケットから携帯を取り出し時間を見た。“17時01分”僕は椅子から腰をあげ、周りに一言「お先です」と言葉をはいては、タイムカードを押して部屋を出ていった。
何とも言えない思いに、言葉のでない感情に、“開きなおる”ことによって“わからなく”なっていく。
僕は鞄を手首にかけては、最寄り駅まで歩いていく。歩く道には、騒がしく話すサラリーマンや学生達がワイワイと楽しげに話している。僕はそれをよそに、少し“おちる”感情を抱えては駅で電車に乗り、家のある最寄り駅まで運ばれていった。
家の最寄り駅の改札を抜けると、何やら袋に詰めた品物を両手に抱えては僕を見てくる人がいる。
「あー、やっぱりそうだ。お疲れさまです。今帰りですか?」
そう言ってくる人を見ては、「あー」と思いだし、声を返した。
「どうもです。はい。今帰りです」
僕は話かけてくる貸しレンタル店の店長に手をかざしては切り返した。
「その節は、連絡すいません。僕の“言葉”が足りなくて、、、」
前に連絡をしてくれた“落とし主”の件で、言葉の入れ違いをしてしまったことに頭を下げた。
貸しレンタル店の店長は、接客してるときはお客重視に邪魔をしない“素っ気ない”スタイルだが、普段は気さくな良い人だ。
「えー、大丈夫ですよ。一応連絡をしたまでですから。それとも“何か”起こったんですか?」
「え?いや、何もないですけど、申し訳なかったなぁと、、」
「いえいえ、こちらこそすいません。」
「で、店長さん、その荷物はどうしたんですか?」
「あー、ちょっと買い出しにね」
「なんか重そうですね。手伝いますよ?」
「大丈夫ですよ。なんか申し訳ないですねえ」
「いえいえ、大丈夫ですよ、手伝いますよ」
僕は店長にそう言っては、重く入った袋を一つ持ち、貸しレンタル店まで持っていった。
「ここで大丈夫ですか?」
「あ、ありがとうございます。助かりました」
重く入った袋をカウンターの上に置いては、手をぶらぶらと力を逃がした。
店長は奥の部屋に荷物を置いてはカウンターの前に姿を表した。
「ありがとうございます。助かりました」
店長は改めて礼を言うと、カウンターの上に置いた袋を後ろの棚に置いては頭をさげてきた。「いえいえ、、、」と店長を見ては、手を前に横に振っては言葉をだした。
「あ、あのー大丈夫ですか?“これ”借りたいんですけど、、、」
「あーはいはい。すいません。こちらですね?」
僕の横から借りる“お客”さんが、顔を覗かせてはDVDを見せてきた。店長は「あっ」と体を反応させては、いつもと同じ“接客”スタイルに戻っていく。僕は邪魔にならないように体をずらし、軽く会釈をしては「では、また」と体を出口へと向かわせた。
「あ、ちょっとちょっと、、、」
帰る僕の姿を見ては店長が身を乗り出して声をかけてきた。僕はその声に反応してはカウンターの方へと体をむけた。振り返る僕を見ては、店長が“お客”さんに手を向けては「この“かた”ですよ」と伝えてきた。僕は「え?」と顔をしては、店長の向ける後ろ姿の“お客”さんに目をずらした。




