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行きます。

どうやら、プロローグは終わらないらしい

の、続きです。そのまま続けて読んで頂けるようになっています。

拙い文章ですが、“お付きあい”下さいませ。

柏田から呼び出された場所に来ては、辺りを見回した。大通りが見える路地の隙間にこじんまりとある小さな公園の前で足を止めた。


「ここで待ってろって何なんだいったい?」


ハットを軽くあげては髪の毛を中に入れかぶり直し、両手をズボンのポケットに入れては、小石を蹴るように右足を動かした。


「聞きたいこと、、か。自宅謹慎中なのに、何してるんだ?」


一週間の謹慎“処分”中にもかかわらず“何か”を調べてるのは少なからず知っている。かずっさんとあずみから聞いた“理由”を合わせると“動いている”事は、確実だった。


「チャチャチャッチャッチャー」

「おっ?柏田か?」


携帯の音が鳴り、ポケットから携帯を取り出しては、そのまま通話ボタンを押して電話にでた。


「はい。柏田か?呼ばれた所まで来たけど、どうすれば、、、」

「あの、、すいません。よし乃ですけど、、、」

「えっ?あ、、、よ、よし乃??」

「はい。よし乃です」


柏田からの電話だと思い込み、少し気だるい声で電話にでた。


「え、いや、あの、、ごめん。どうかしたの?」

「え、あ、はい。休みを取られていたので、少し気になって、、すいません」


女性特有の“勘”なのか、何かを“感じた”かのように電話をかけてきた。僕は驚きのあまり携帯を耳から離し、二度三度と画面を見返した。



「ごめん。いや、その、、別に心配させるようなこと、、、ではないんだけど。。。」


僕はジュリアとジェシーのことについては黙っていた。個人的な内容でもあるし、ましてや自分の中で“不安定”な気持ちのままに話して良いものかと言葉を濁した。


「そうですか、、、もし、もしですけど、何か合ったのなら、話して下さいね。その、、何か“力”になれるなら、、」


僕は一瞬“ジェシー”のことを思い出した。よく僕を“心配”そうに見つめてきていた“気持ち”を、よし乃の言葉に重ね合わせていた。


「うん、ありがとう。大丈夫だよ。心配かけてごめんね」

「いえ、その、、勝手に心配してるだけですから、、すいません」

「うん。。ありがとう。2、3日したらまた出勤するから」

「そうですか、、、わかりました」


携帯を耳から離し通話を切り、焦る心を整えるように深く息を吐いた。


「ふービックリした、よし乃からだとは、、、」


携帯を見ずにでた自分が悪いのだが、余りにも不意な連絡に心が乱れていた。


「チャチャチャッチャッチャー」


「ぅお?!今度は柏田か、」


画面を消した瞬間また携帯が鳴りだした。今度は間違えないよう“名前”を見てから通話ボタンを押した。


「はい」

「おう、今何処いる?」

「あー、呼ばれた場所にいるよ」

「そうか、あと少しで着くから待っててくれ」


そう言うと通話が切れた。


「ふー、まったく、、なんなんだいったい」


誰が悪いでもなく、確認しなかった自分がいけないのにもかかわらず、何とも言えない気持ちになった。


「ふー、さっきは焦ったな。。それにしても、柏田は“何”だ?」


柏田が何を“聞きたい”のか、それとも“確認”をしたいのか、僕の頭の中で色々と“疑問”が沸き上がってくる。


僕は携帯をポケットにしまい、大通りから流れてくる車を目にしながら、公園のベンチに腰を掛けた。ポケットに手を入れながら上体を揺らし空を見上げては軽く息を吐いた。


ジュリアとジェシーとの再開と別れ。その日から2日間休みを取った。かずっさんからは、「仕方がないけどな、、」と渋々了承を得ては、「今後、有給は無しの休日出勤、それと、減給査定だぞ」と、条件つきで言われた。「それは、そうだよな」と納得しては、心を休めようとしたが、柏田からの“連絡”で、そうはいかずにここに来た。よし乃からの連絡には、少し予想外に戸惑ってはいた。


「自分の“時間”と、皆の“時間”は違うからな。。。皆“思う”ことが違うように。。。」


ハットを触っては“今”を見ようと、笑うジェシーの顔を思い出しては、深く目を閉じた。


「パッパーン 」


車のクラクションが耳に突き刺さり、音に反応して体が後ろに倒れそうになった。


「ビックリしたー、なんだ?」


倒れそうになる体を起き上がらせては、音のなる方へと顔を向けた。


「おーい、こっちこい、乗れ」


助手席の窓を開けては、柏田が声をかけてきた。僕は「お、おう」と声をだしては、一瞬躊躇いながら見たことのある車へと歩き出した。


「わりーね、呼び出して」


柏田は、助手席に乗る僕を見ては謝る素振りをしながらハンドルを握り、アクセルを踏んだ。


「う、うん、、別にいいけど、、、この車って、、」

「お?なんだ?この車がどうかしたか?」

「あ、いや、、そのなんだ、この“キューブ”って、、柏田、お前のか?」

「ん?あー、そーだよ、趣味じゃねーってか?」

「いや、そーじゃないけどさ」


柏田が運転する車が、あの日あずみが乗ってきた黄色いキューブと同じだった。


「ん?なんだ?この車がそんなに珍しいか?」


車内を見渡す僕に柏田は顔を見ずに話かけてきた。


「いや、そうじゃないけど、それよりも“聞きたいこと”ってなんだ?」


僕は余り気にしないようにしては、“呼ばれた”事に対して問いかけた。柏田は、一瞬顔を強張らせては笑みを作り、鼻で笑っては車を走らせている。


「なんだよ?可笑しなこと言ったか?」


鼻で笑う柏田に、対抗するように“強く”声に出した。


「いや、別に大したことじゃねーけどよ、お前なんかあったか?」


柏田は、“なんとなく”なんだろうが、微妙な“空気”を感じ取っていた。


「え?、、あー、、ちょっとね、、、」

「そーか?話たくねーなら、それでいーけどよ」


柏田は横目で僕を見ては、また鼻で笑っては首を少し傾げた。

車はビルの間をすり抜けては大通りを走っていく。


「あのさ、、どっかに行くのか?」


車を走らせる柏田に問いかけた。柏田は「いや、そうじゃねーけどよ」と言ってはバックミラー越しに後ろを見ては、前を向いて車を走らせている。


大通りを走り、高速インターを前にしては交差点を右に曲がり、食べ物のような形をしたビルの下を通っては大きい公園の駐車場へと入っていく。


「お前さ、かずっさんから“何か”聞いたか?」

「えっ?“何”って?」

「“山下”についてだよ」

「“山下”?いや何も聞いてない。前に“送った”ことしか聞いてないよ」

「そっか。。」



柏田は“山下”について“何か”を探っているようだった。


「あ、それとよ、、、」


柏田は話を続けながら、駐車場に車を止めエンジンを切った。


「それとよ、、、“山下”のことじゃねえけど、、、お前“吉川”と、どんな関係だ?」

「えっ?“吉川”って、、“よし乃”のこと?」

「そーだよ、他に“誰”がいんだよ」


唐突に柏田から“よし乃”のことを“聞かれる”とは思ってもいなかった。僕は、鳩が豆鉄砲くらったような顔をしては驚きを隠せなかった。


「え?あ、え?関係って?え?」

「そんなに驚くことねーだろ?何をワサワサと動いてんだよ?」


シートベルトをつけたまま両手を胸の前に、サッカーボールを触るように動かしては、しどろもどろと言葉をだした。


「えっ?あ、その、よし乃とは、別に、、関係も何も、、まだ、何も始まってもないし、その、ご、ご飯食べに、、、、って、何で柏田が“そんな”こと聞いてくるんだよ?」

「あ?聞くも何も、お前の部署のやつも、俺の部署のやつも何人かだけど、吉川がお前に“アピール”してることなんて、全部知ってるよ」

「えっ???」

「なんだよそれ?まさか、知らねぇと思ってたのか?」

「あ、いや、その、、知らなかったよ」


柏田から聞くまで“誰”にも知られていないと思っていた。周りからは、“何”も言ってこないし、“誰”からも“からかわれる”ようなことも無かった。


「そーかそーか、悪かったな、知らなかったとはいえ、バラしたみてーで、なんか悪いな。いやーそれにしてもな、、いやー悪い悪い」


柏田は“知られていない”と思いながら行動していた僕を見ては、「本気でか?」と笑うのを我慢しては口元をふるわしている。


「そっか。。、周りには知られていたのか。。。。あっ」


笑いを堪える柏田を見ながら僕は顔を真っ赤にしては、柏田に問いかけた。


「なぁ、もしかして、もしかしてなんだけど、、、」

「ん?、、、もしかしてって、あずみか?」


柏田は僕の聞きたい、言いたいことを直ぐに理解しては聞き返してきた。


「そうだなー、あずみも知ってるかもな。」

「やっぱり。。。だよな。。。」

「同じ部署にいて、“知りません”は、無いだろうな」

「だよな。。。」


僕は、自分でもわからないぐらい心が落ち込んだ。よし乃とのことなのか、あずみのことなのか。何も“始まって”もいない、“落ち着いて”もいない“気持ち”を前に、落胆する自分がいた。


「だよな。。。」

「まー、お前の気持ちもわかるけどよ、わかる、けど、、よ、、」


柏田は、“知らない”状態で“隠してる”ような行動をしていた僕を見ては、笑いを我慢するのに精一杯だった。僕はそんな柏田を見ては「笑えばいいだろー」と真っ赤な顔をして、涙が溢れてきそうだった。


「悪い悪い、そこまで泣くことはないだろー、泣くなよ」


僕は、“隠してる”ことで泣いたんじゃない。“バレた”から泣いたんじゃない。ただ、溜め込んでいた“気持ち”が、この“知られていた”ということがきっかけで、“心”が崩壊した。


「なぁー、泣くなって、泣く、、、、」

「かしわ、だ、、、柏田、、あのさ、、、」


僕は柏田の話す声を遮って、あの“別れ”の話を口にした。“誰”にも言わないで“思い出”として留めようとしていたのに。


何故話したのかわからない。けど、“誰”かに話さないとダメだった。自分の中で“落ち着かせ”ようとしていた“思い”。“誰”かに話して聞いてもらいたかった。けど、“誰”でもよくなかった。“誰”でもいいけど“誰”でもよくなかった。


駐車場に止まる車の中で、“大の大人”が泣きながら話をしていた。それをまた、“大の大人”が聞いていた。それが奇しくも、“大人の女性”が辛い過去を話した同じ“車”の中で。


「そっか。。。そんなことが。。。」


泣きながら話す僕に言葉を詰まらせながら柏田は声をだしてきた。


「“今”は、泣け。泣いて泣いて泣きはらせ。“好き”だった。“愛する”までいった“相手”なら、尚更だ。。。何も考えず“今”は、泣け。。。」


僕の体を叩きながら柏田は言ってきた。僕は「うん、うん、」と頷きながら泣き続けた。柏田は、それから何も言わずそのまま隣りで座って居てくれた。


泣きながらも僕の耳には、柏田が一緒に“泣いて”くれているのがわかった。


「うん、ごめん。ありがとう。話聞いてくれてありがとう」


涙を拭きながら隣で“居てくれる”柏田に“思い”を伝えながら、乱れる、“心”を落ち着かせていった。


「あ?礼なんていらねぇーよ。俺はたた、ここに居るだけだ。お前が、勝手に話しただけだ」


柏田は、格好つけるように言葉を吐いては鼻をすすっている。


「一緒に泣いてくれてありがとう。。」

「バ、、バカかお前は、、俺は泣いてねーよ。。」

「ハハ、、、ありがとう」


柏田に感謝しながら、両手で顔を覆いゆっくりと呼吸をしては、“最後”の涙をながした。


「あー、ありがとう。うん。ありがとう」


僕は顔から両手を離し、気持ちを“切り替える”ように体全体で息をした。


「ごめんな。いきなり“泣いて”。。。それで、柏田?“聞きたい”ことって、“山下”のことだけか?」


僕は呼吸を整えるように息を飲んでは、隣に座る柏田に話をふった。

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