出版への道~キャラデザラフと校正と!
あるドラマで主人公が漫画家としてデビューした時に、
主人公が勝手にライバル視していた学友から声をかけられるシーンがある。
そこで学友は主人公にこんな感じの話をする。
『デビューしても思ったほど嬉しくないだろう? それは、認められたらすぐにプロとしての責任感と、その不安がやってくるからだ』
アマチュアの時に自由気ままに創作してきたのとは違い、
いいものを創らなければいけないという重圧があって、
プロデビューを素直に喜べないという気持ちは、
この頃から少しずつわたしに圧し掛かってきていたのだ。
でも、この時のわたしはそのことにまだはっきりと気がついていなかった。
さて、2か月過ぎた頃に次の返信が来た。
今度の返信はイラストレーターが多忙すぎてやっと仕事が始まったらしいとの知らせだった。
こればかりは待つしかないのだ。
いいものが生まれてくるには時間がかかるということで。
だから待っていた。
そしていよいよキャラデザのラフが送られてきた。
「見て見て見てよぉー!」
わたしはPCを開いてデブを招き寄せた。
「おお、めっちゃかわいいやんけ!」
「でしょ、でしょ!」
いや~、自分のキャラが絵になったものを見るのは本当に感激だった。
自分の中でのキャライメージに関してのメモは、担当編集者さんを通じて渡してあったとはいえ、
随所にわたしの想像していた以上に表現された箇所があり、
さすが本職は違うなぁと感嘆した。
「こんなかわいいんだから、色がついたらたまらないよね」
「表紙はかなり華やかになるやろなぁ」
「挿絵も楽しみだね!」
「そのことなんやけどな」
「なに?」
「わし思うんやけど、表紙はばっちりキャッチ―で、しっかりした絵を描いて欲しいんやけど、挿絵はラフな線画でもええような気がすんねん」
「どういうこと?」
「もともと挿絵は本文のイメージを補うもので、想像力を助けるものやんか。完璧に色や背景が細かく入ったもんよりも、想像の余地を残しときたいっちゅう気がすんねん」
「なんで? どういうことかわかんないんだけど」
「たとえばやな」
そう言ってデブが何やら本をとりだしてページをめくった。
「これは絵コンテっちゅうやっちゃ」
「知ってるよ」
「人にもよるけどな、ラフな感じで状況を絵に描いてあるやん? こういった完成前の線画のものを見て、これに色が入ったら、これが動いたら、どないなるんやろ、って想像するのが楽しないか?」
「あー、なるほど。未完成の絵がきれいになった時のことを想像して楽しみたいってことね?」
「そうやねん。だから挿絵はな……」
「馬鹿じゃないの? 結局完成したのを見たいに決まってるんだから、最初から完成した絵でよくない?」
「あー、ちゃうねん。完成してへんからこそいろいろ思い描くや。雲に隠れた月を想ってうたを詠むような日本古来からの……」
うざい!
このよくわからんこだわりがうっとーしー!
デブのこだわりは置いといて、
なんにせよ、ラフ画であろうと、わたしにとっては宝物をもらったような喜びで、
それからというものは、1日に何度も何度も見ては、ウフウフしてしまっていた。
そして、担当編集者さんに絵の感想と少しの注文を入れて返信し、また次報を待った。
その後、少しの間隔を開けてゲラが送られてきた。
作者チェックして送り返すという奴だ。
送り返す用の封筒と伝票もついてきた。
「ちょっとー!」
「なんやねん?」
「これって、どういう意味?」
「これはやな、こことここを入れ替えるっちゅうことや」
わたしは、校正なぞやったことがなかったので、赤で書いてある独特の記号などが意味が分からなかったのだ。
幸いにして、デブが「昔に依頼原稿の代筆をさせられて、その時に校正やったわ」とのことだったので、すべてデブに分からない記号は教えてもらった。
それにしても、自分の文章の稚拙さを嫌というくらい思い知らされた。
ひどい……。
よくよく見ると言葉の言い回しや、細かい表現など、
何度も自分で読んでいながら、こんなに表現のおかしなところがあったとは。
全く気づかずにいたことも含め……かなり凹んだ。
文章のプロってすごいわ、やっぱ。
って言うか、わたしの原稿がひどかったんだね。
(ちなみに、『俺TUEEE!←これなんですか?』って、書かれてた)
「ま、一回校正済めば次来た時はそんな修正の指示もなくなってるもんやで」
「もう1回来るの?」
「ま、ホンマの最終チェックみたいなもんや」
「それにしても、自分の文章のひどさを目の当たりにして、マジで落ち込むよ……」
「落ち込んでる暇ないで。次の指示も出てんのやろ?」
そうなのだ。
初版特典のSSを書くようにとの依頼があったのだ。
つづく!




