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ひとつの終わりはひとつの始まり。

そう。

現実はやっぱり現実だった。

ドラマの主人公じゃあるまいし、そうそういいことに巡り合うことなんてないのだ。

でも、なにかの終焉は

別のなにかの始まりだったりもする。


「落ちました」

冷凍庫からクッキー&クリームのアイスをとりだしている、同居人男の背中に向かって報告した。

「……だってさ」

「そっか、や、やっぱな。そっかそっか」

そう答える小太り男の表情が、

なんか妙にホッとしている気がするんですけど。

「でもね」

「な、なんや?」

「最終に残ったから担当さんがつくんだって!」

一転してわたしは明るい口調で報告した。

「た、担当がつく?」

わたしは我慢していたが思わず顔がほころんでしまった。

「ねえ、どうしよう、どうしよう!」

わたしは少しウキウキ気分で彼の手を握った。だって、もしかしたら自分の作品が本になるかもしれないんだから!

しかし、なぜか彼はわたしと正反対に浮かない表情をしていた。

「ねえ、どうしたの?」

「なんか……」

「なに?」

「なんか、めんどくさ……」

えぇ?

「めんどくさいってどういうことよ!」

「いや、知らん人とやり取りすんのとかって苦手やし」

あんた、最初は表立ったことは自分がやるってゆったじゃんよ!

「なによそれ! めんどくさいってことでこのチャンスをまさか棒に振るつもりじゃないでしょうね?」

「……」

なんか言えよ! だんまりですか? それ、肯定したってことですか?

ここまで頑張ってきたのはなんだったのよ!

もういい! わたしがやりとりする!

って言うか、最初からあの引きこもり男に期待したのが間違いだったんだ。


その後、しばらくして担当さんが決まったとの電話がきた。

「電話越しでの自己紹介と挨拶と少し雑談の後、一度顔合わせを兼ねて打ち合わせをしに来ませんか、て」

電話の内容を小太り同居人に伝えた時も、彼はアイスを食していた。

「まじ? それってつまり、編集部に来いってことかいな?」

「来いって言うか、遊びに来てくださいって感じだったよ」

「なんか持ってくんか?」

「手ぶらでいいんだって」

「手土産くらい持ってかんかい」

「それは持ってくよ。手土産かぁ……なに持ってけばいいんだろ?」

「それは俺にまかせい。ほな、段取りつけようや」

「なんか意外に乗り気じゃん。知らない人と会うの嫌だって言ってたくせに」

「お前が一緒ならなんとかなりそうやわ」

他力本願だよね、あんたってさ。

「それまでに続編というかあの話の続きを考えてメールで送ってくれって」

「ああ、あの終わり方やったら続きあるやろって思うわな」

「どうする? 続きは同じような感じで話作ってく?」

「いやいや。そんな凡人じみた展開でどないすんねん」

うわぁ、嫌な予感がしてきたよ。

「大きく場面を変更するで! ファンタジーから未来世界に飛ぶんや!」

いきなりSF展開かよ! とびすぎだろ、それ!

「展開が突飛すぎない?」

「そんぐらいのインパクトなかったら読者が離れてまうで!」

いや、離れる前に誰もついてこれないと思うんだが。

「これがサーフィンロックノベルなんやぁ!」

うわぁ、やっぱ出たよ。

あのクソみたいなネーミング……久々に聞いちゃったわ。

つづく!

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