表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/33

二次選考結果とハイ、ハーイ!

追いかけてくる過去は、立ち止まると背中に取りすがってくるけれど、

生きていくためには『今』という前を見つめて歩き続けるしかない。

だからわたしは、過去のことを振りほどいて、前を向いてまた歩き始めた。

そうやって毎日は繰り返されていくんだと思う。


『二次発表が出ている』

ネットの大型掲示板で、応募した出版社の新人賞スレッドを見たら、そういった書き込みが見えた。

たまにデマだったりすることもあるが、これだけ複数のリアルな書き込みがあるということは、本当のようだ。

というか、確かに今日が発表だということは覚えていたが、

こんな早い時刻に出てるの? マジで?

急いで発表のページに飛んだものの、

一瞬心臓が口から出てくるような錯覚を感じて目を逸らした。


前回の落選した時の嫌な気分が込み上げてきたからだ。


ない、ない……ない、なかった! 何度見てもない! あの絶望感!


ああ、今思いだしただけでもお腹痛くなってきた……。

でも、でも! 見たくて見たくてしょうがない! 

怖いもの見たさなのか、なんなのか?

なんか、ちょっとこの独特の緊張感が癖になりそうな気がしていた……。


小太り同居人男がダイニングでホームランバーとかいう白い四角い棒アイスを食べているところに、わたしがノートパソコンの画面を男の方に向けてテーブルに置いた。

「見てよ、二次通過作出たよ」

「もう出たんかい、早いなぁ」

「二次通ったよ!」

彼は一瞬ポカーンとした表情になった。

「ほんまか?」

「嘘じゃないよ、ほらほら!」

わたしはPCの画面を指さした。

「ま、まじやん! わずか23人の中に入ってるやん!」

「やったぁー!」

「やった、やったで~」

小太り同居人男も、一次通過の時とは打って変って大いに喜んでくれた。

わたしも嬉しくて思わず彼に抱きついていた。

どさくさ紛れとはいえ抱きついてみると、でかくて肉が柔らかくて

……クマのぬいぐるみみたいでなんか気持ちがよかった。

「ついにプロの編者を一人騙せたで!」

な、なに?

「い、今何て言ったの?」

「いやいや、わしらの、あの作品のノリと勢いがプロの目に留まってくれた、ちゅうたんや」

そんなこと言ってなかった気がするんですけど。

「さ、今日はうまいもの食いに行くで」

「ホントに?」

「俺がおごったるさかいな。ハイ、ハーイ!」

最後の『ハイ、ハーイ!』はわけわかんないけど、

ま、マジ? 外食ですか? しかもおごり?

い、生きててよかったぁぁぁ!


そう。

後で思い返せば、この時がもしかしたらわたしにとって、

幸せの絶頂だったのかもしれない。

その後の展開など全く予想もしなかったこの時が。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ