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四大陸を渡る旅人(イン・ジュン編)  作者: インジュン
設定編
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魔術設定(第一版)

1.世界

 物質世界と精神世界の二つが存在する。

 物質世界には肉体、精神世界には魂が属している。



2.魔素

 情報伝達粒子。精神世界の事象、つまり"意思"を物質世界に拡張する、あるいは伝達する性質をもった―――いわば、"幻想を現実に具現する"事の出来る粒子。物質世界と精神世界の両方に属するモノで、生命体の【霊門(ゲート)】と呼ばれる、両世界を繋ぐ"扉"から放出されるモノ。

 現実世界に放出されると、非常に微小な粒子として存在するが、精神世界の中では、"感情の海"と呼ばれる"生命体の持つ願望"を構成する(かなめ)となる"繋ぎ"であると思われる。

 魔素は放出されればされる程、持ち主の意思は低下する。一度放出されれる―――宿主の制御下から外れる、もしくは活性化状態で無くなる―――と、宿主に戻る事は無い。

 また、魔素がある一定以上の組成密度を持つ事により、"光を放つ"→"物質としての性質を持つ"、といった変化をする事が知られている。これを「魔素の活性化」という。

 基準値は100ノドで、光エネルギーという形で、魔素単体で物質世界に現れる。ノドとは魔素の結合度合いを示す絶対的指標。物質へと転化するのは約398200ノドとされている。

 一定時間以上、非活性化状態であると、魔素は崩壊し魔力へと変化する。また、無意識に【霊門(ゲート)】から放出されている魔素は非活性化状態の魔素であるので、全て魔力へと変質する。


3.魔力

 未知のエネルギー。魔素が崩壊する際に生じる、"魂の揺らぎ"により放出される、《幼精体》が魔素を変換して生じる、という3つの生成方法が見つかっている。謎の多きエネルギーではあるが、魔法、魔術といった生活に密着した技術の要となっていて、尚且つ大きな問題が生じていない為、何となく使っているという現状である。後述(5.)の理由により、大気中には常に魔力が存在する。


4.《幼精体》

 魔導士が体内に宿している"精霊の元"となる霊的生命体。魔導士は【霊門(ゲート)】から放出される魔素を《幼精体》に捧げ、事象の改変を行う。

 意思を持っているかどうか判らないが、魔法、つまり《幼精体》を使った技術は、使用者のイメージ等が非常に強く反映されており―――抽象的な事象を起こす事に向いている―――、宿主の意思を理解する程度の知能を宿していると思われる。また、上位存在の精霊へと転化した際にも、非常に高い知能を示す事も、この事実を表している。

 《幼精体》には "行いやすい事象改変"が分かれていると思われる。

 一般にこの事象改変の種類を属性として表す。属性は水、火、風、土、氷、雷、といったものに分けられ、これらが魔法の属性となる。また《精霊》へと位階を上げる事により、これらとは全く異なる属性を示す事がある。

 《幼精体》が行える事象改変の度合いは、宿主と《幼精体》とのシンクロ率によって変わってくる。このシンクロ率は上げる事が難しく、生まれた時の値でほぼ決まってくる。

 また、このシンクロ率が100を超えている場合、その者は魔導士では無く、精霊使いと呼ばれる。つまり、100を超えると《幼精体》は精霊へと、その身を変化させる。100を超えた事例が少なく分かっていないが、精霊に成った途端、人の言葉を理解し、あまつさえ話すような存在へと変化する、とされている。

また、《幼精体》は宿主が死ぬと、その身から抜け空間を漂う。

 そして消滅するか、何かに宿るか、のどちらかである。その内の99.999%は消滅する。しかし、稀に何かに宿るものもある。

 《幼精体》には元の宿主の記憶や意思が封入されている事が多く、物に宿った場合、不思議な現象を起こす道具や物質―――幼精具と呼ばれるものが生まれる。胎児に宿った場合、その封入された意思により、その意思にそった特殊な事象改変のみに特化した魔法使いとなるか、記憶が継承されるか、のどちらかである。中には、魂そのものを《幼精体》に宿して、ゴーストと呼ばれる存在になる魔導士も居る。

 

 闇属性の魔法や魔術の中には、こういった事を引き起こす魔法もある。


 魔術師の髪が黒く、魔導士に黒髪が居ない理由が、《幼精体》による影響とされているが、詳細は不明。 


 魔術師は、魔素という情報伝達粒子を使い、《自己領域》内で魔素を活性化し、その後、《自己領域》を通し魔素を周囲の空間に広げ、"術式"というツールを使い、周囲の事象を改変する。

 しかし、魔導士はこの魔術師の一連のステップを全て《幼精体》にさせている。

 その際、《幼精体》は宿主から魔素を受け取り、魔力というエネルギーに変換。

 その一部を魔導士が省略する魔術師のステップに、大半を(←ここ重要)自らの"存在する"エネルギーに使う。


 《幼精体》は空中に存在する魔力、宿主が意識、無意識にかかわらず放出する魔力、宿主が()()()()与える魔素を使い、事象改変と"存在の"エネルギーとして使う―――つまり、無意識の内に放出される魔素は使わないのだ。

(尚、ここから《幼精体》が、"魔素の吸収"→"宿主からの意思の受信"→"魔力の生成"→"うち大半を吸収"→"一部を意思の具現"というステップを踏む役割を担っていると考えられる。)


 獣人、純人、森人(エルフ)土人(ドワーフ)は母体の中に居る間に《幼精体》を体に宿す。大体が、その両親に宿っていた《幼精体》のどちらかから派生した《元精体》を宿す。そして生まれた時、その 《元精体》は空中の魔力を吸い上げ《幼精体》へと変化する。

 しかし中には、この《元精体》を持たずに生まれる者達もいる。

 理由は不明だが、その全てが完全な黒髪を持って生まれる。

 恐らく、この《元精体》により髪の色などが変わっている、と思われる。

 また、派生した《元精体》を宿している為、行える事象改変の種類―――つまり属性は親子で似ている事が多い。



5.魔法使い(魔導士)と魔術師との差異

 魔導士は体内に《幼精体》を宿している。

 その為、《自己領域》―――《幻想領域》の活性化をする技術が拙い。

 というのも、《自己領域》は現実世界に対して、自らのイメージを"具現化"する為に必要な領域であるからだ。

 魔導士はそのステップ全てを《幼精体》に任せているため、《自己領域》を展開する事があまり無い。


 また重要になのは、個人によって放出できる魔素量には限りがある、という事だ。

 【霊門(ゲート)】から連続で魔素を放出し続けると、最終的に放出できなくなる。

 休めば、また再び放出できるという事を鑑みて、体力のような概念が存在されると思われている。

 一度放出された魔素は、持ち主の所へ戻ることは無い。

 空間へ放出された魔素は、その活性化時間が終わると崩壊し、魔力へと変わる。

 全ての者が無意識にでも魔素を漏らしている―――人が動かなくても体力をわずかに使うように、漏れても、【霊門(ゲート)】の疲弊に関係のない量―――為、常に空間に魔力が満ちている。

 魔力自体の性質は謎が多いが、魔導士の中には空中の魔力を《幼精体》に捧げ、自らの魔素を使わない者もいる。


 元の話題に戻ろう。


 魔導士は"燃料切れ"が多いという事だ。魔法を使う為には逐一、魔素を放出しなければならない。無論、魂のうねりを生む事で、魔力を生み出すことも出来るが、その全てが《幼精体》に吸収されるため、魔導士は自らで魔力を生む事をしない。

 魔素はエネルギーに変換されるが、その大半は《幼精体》に吸収されてしまう為、コストパフォーマンスが悪い。


 それに引き換え、魔術師は"自らの意思"―――"魂のうねり"により生まれる魔力を燃料とする。

 《自己領域》内で魔素を活性化し、術式といわれる回路を形成。そこに自らのこうしたい、ああしたいという"意思"を魔力と共に"注ぎ込む"。ここで魔素の消費は無く、術式を発動した後は、《自己領域》さえ保っていれば、その魔素でまた別の術式を組むだけでいい。


 魔術師には《自己領域》の変形という技術がある。また《自己領域》にも"量"と"密度"という概念が存在し、"密度"が高ければ高い程、その領域内での世界に対する干渉力が強くなる。つまりその分、より強力な事象改変が可能になる。"量"は多ければ多いほど広範囲の事象改変が可能になる。

 しかし、"密度"が多ければ多いほど、"量"は少なく、その逆もまたしかり。


 つまり魔術師が広範囲の術式を使うときは、その部分まで《自己領域》でカバーする必要がある。カバーしなければ、発動できない。


 しかしカバーはできても、事象改変には"密度"が足りない場合、魔素の塊を事象改変の起点となる場所に飛ばす、という技術がある。

 これは魔素が"自己の幻想を世界に表す"という性質を応用し、魔素の塊に《自己領域》を付与し、自分とのリンクを作り、自分の領域内にある術式を展開し、その場―――つまり事象改変の起点で発動させる、という非常に高度な技術もある。



 これを見れば、メリットだらけの魔術師であるが、非常に大きなデメリットがある。

 それは、"意思の減退"だ。使えば使うほど魂は疲弊し、《自己領域》の展開に必要な幻想を維持することも難しくなる。【霊門(ゲート)】から魔素を抽出するにも、強い意志の力が必要であるし、術式燃料の魔力は"魂のうねり"を必要とする。―――使いすぎれば、魂は疲弊し、意識を保つことが難しくなる。これは《幼精体》を使い魔力を作る魔導士には無縁の話だ。―――【霊門(ゲート)】が疲弊しても、少し疲れた、と思うだけですむからだ。

 また、これをしたい、あれをしたい、という思いの強さは魔術の―――魔素の世界への干渉に直接かかわってくる。

 その為、熟年の魔術師は非常に強固な意志を持つ反面、頑固モノである事が多い。



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