ゆいこのトライアングルレッスンB ~HAPPY BIRTHDAY ゆいこ! 甘いケーキとクッキーを召し上がれ~
『下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ』のコーナー『ゆいこのトライアングルレッスンB』(BIRTHDAYがテーマ)の投稿した作品です。
ゆいこ・たくみ・ひろしの原案者は巽悠衣子さんです。
お誕生日おめでとうございます!!
月が綺麗。まるでケーキみたい——
塾を出ると、夜空に満月が浮かんでいた。
「よっ!」
「お疲れ様」
塾のOBである二人の登場に黄色い歓声が上がる。
たくみは慣れた笑顔で手を振って応え、ひろしは「おかえり」と言って私の荷物を持ってくれる。
塾を頑張れるのは、二人がいつも迎えにきてくれるから。
「今日はこのまま俺達ん家に直行なっ!」
「えぇ!?」
「大丈夫。おじさんたちから許可もらってる」
「『私たち出張だからゆいこをよろしく〜』ってさ」
「ゆいこの特別な日を、一緒にお祝いさせて?」
☆
「Happy Birthday!! ゆいこ!」
「誕生日おめでとう、乾杯」
「ありがとう!」
最近飲めるようになった微炭酸が爽やかに弾け、華やかなバースデーソングがパーティーを彩る。
「俺様特製『ゆいこ専用甘〜いデコレーションケーキ』! どうぞ召し上がれ」
「わ〜〜!!」
いちごがたっぷりのった黄色のドリップケーキに思わず目がハートになる。
「たくみありがとう!」
「おう!」
ケーキの真ん中には似顔絵クッキーが飾ってある。
「ゆいこ、の……つもり」
ひろしが俯きながら説明してくれる。
「生地……混ぜ過ぎて硬くなった……ごめん」
「ありがとうひろし! どう? 似てる?」
私はクッキーを手に取り、顔の横に並べた。
「……かわいい」
下を向いていたひろしが、私の目をまっすぐ見て言うから、今度は私が下を向いてしまった。
「ケ、ケーキいただきます!!」
ぱくっ。もぐもぐ。……あれ?
「そのままじゃ甘くないよなっ?」
たくみがフォークをとってイタズラっぽい笑みを浮かべ、私の隣に座った。
「はい、あーん♡」
「へ!?」
「『ゆいこ専用』って言っただろ。口開けて?」
「いいよ、自分で——」
「だーめ。このケーキはこれで完成するんだから。あーん?」
「うぅ……あむ」
もー! 満足そうなたくみの笑顔がはちみつみたいに甘い!!
「ゆいこ、俺のも食べて」
私はひろしの腕を掴んで止める。
「こんな恋人にするようなこと……ひろしは好きな人にしかしちゃダメ」
私の手に、ひろしの大きな手のひらが優しく重なる。
「じゃあ、問題ない」
クッキーが触れるくちびるが熱い。
甘い香りに降参した私は、誕生日くらい考えるのをやめた。
お読みいただきありがとうございます!!
お誕生日をお祝いできるのは幸せですね☆彡
放送もアーカイブもはちゃめちゃに楽しかったです!!
(2021年2月26日放送の『下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ』にて、ご自由にとのことでしたので投稿しました。もしも投稿の仕方に問題がありましたら、すぐにお知らせください。よろしくお願いします。)