表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

我らの月計画

作者: 豪陽
掲載日:2025/08/07

月面上に異常な現象が観測された。宇宙計画は急遽変更される事になった。

 空気が乾燥しすぎているようだ。私はオフィスの加湿器のスイッチを入れた。 今日は部内の宇宙計画検討会である。


「分光分析で月表面にアルミニウムの高濃度堆積?地質学的にありえない」

「いや、隕石の落下は?」

「隕石ならもっと滑らかな分布カーブを描くはずなのに、これは孤立したスパイクではないか?」

「あるいは人工物かも?」

「君は休養を取った方が良い。安っぽいSFじゃないんだよ。」


 議論は紛糾した。私はオフィスの一角にある大型水槽の水草が揺れるのを眺めていた。水の流れが、何かを語りかけてくるようだった。


***


 思えば我々の科学は宇宙、特に月への強い興味によって加速された。


 近世の天文学者は、図を描きながら考え込んだ。 月があるのは良い。超小型の月が多数存在するのも良いだろう。小惑星が地球の重力で捕獲されたのかもしれない。しかし、何だこの規則性は。まるで幾何学図形を描いているような正確さではないか。自然とは、こんなにも整然とするものだったか?


***


 我々の歴史は常に未知への憧れに刺激され続けた。それがいかに危険なものであっても。


 こういう伝説がある。 地下深く、安定した地層の中に存在する超古代文明の遺跡。かつて探検隊が派遣されたが、なぞの病気で全滅したという。彼らは、空気の中に何かを見たのかもしれない。 黄色と黒の三角の中に丸を取り囲む3つの扇型の模様が描かれていたと言うが、何が何だかわからない。


***


 我々は常に合理的に文明を発達させ続けた。


 地質探査隊が「奇妙な鉱脈」を発見した。金属が規則的に並んでいる。鉄とニッケルを主成分とするオーステナイト構造が、地球のマントル上部の特殊な環境で生成され、地表に貫入して風化して堆積した鉱脈——それが一般的な説だ。


だが、ある異端の学者は言う。「これは道具だったのではないか。何かを切るための、何かを運ぶための。」奇矯すぎて、まともな学説とは見なされていない。


 しかしその奇妙な鉱床は我々の冶金の技術を飛躍させた。


***


 そして我らは遂に月面有人着陸を成功させた。 特異的金属堆積のすぐ近くに月着陸船が着陸した。100メートルと離れていない。 我らは、まず領有権主張のロープを特有の方法で張り巡らした、 金魚鉢のような宇宙服の中で、若い触腕が揺れていた。我々の長年の夢、月と未知なるものに、我らは触れようとしている。


 ホモ・サピエンス絶滅後5000万年、タコ人類は月にまで到達したのである。タコ人類たちはアポロ17号の月着陸船と呼ばれたかもしれない遺跡の前で記念写真を撮った。


[終わり]

最初は恐竜文明はあり得たかという議論からでした。恐竜文明はあり得る。しかしその痕跡を我々人類が発見し認知し得るか?初期の鉄器文明レベルなら地質変動に飲み込まれて発見されないのではないか?あるいは奇跡的に発掘し得てもそれを人工物と認識しうるか?

この議論から対象を大きく転回して叙述トリックにしたのがこのショートショートです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ