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「…失礼します。」



エマは王妃のベッドの横にある椅子に座る。



「…回路を作る前に一度王妃様の魔力を取り除きます。一時的に良くなる様に見えますが、すぐに意識は戻らないと思います。」



「承知した。」



「…では、始めます。」



エマは王妃の鳩尾あたりに手をかざし、ほとんど聞き取れない声で呪文を唱える。



すると、エマ以外には見えない、真っ白い魔力が王妃の指先から流れ出てきた。すかさずエマは流れ出た魔力を呪文で閉じ込める。




しばらくすると、王妃の呼吸が整ってきた。額の汗も治り、頬に血色が戻ってきた。




「王妃!」国王が王妃の頬をそっと撫でる。




ほとんどの魔力を取り除いたので、エマは回路作成に取り掛かった。



それからおおよそ一時間後、一つ目の回路が出来上がった。



「…一つ目の回路が出来ました。」




「エマ殿。感謝する。朝から急に来ていただき疲れたであろう。一旦休憩を挟もう。昼食を一緒に取ろうではないか。聞きたいことが沢山あるでの。」




「…ありがたいのですが、人と食事をするのが不慣れでございます。」




「よいよい。エマ殿は落ち着いていてしっかりしておる。多少の事は問題無い。食事は気楽に取れるものを用意しよう。」




「…承知しました。ありがとうございます。」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「さあ、席についてくれたまえ。」



「…失礼します。」



上座には国王。テーブルの向かいには王子達。エマの真向かいにはフェリクスがいる。 




目の前には一口サイズのステーキやサンドウィッチ、スープや季節のフルーツなど、盛り沢山の料理が並べられている。



(…何だか落ち着かないな…)

(…でも美味しそうなものばかり!)




「では、食事を始めよう。」




「…いただきます。」




エマは自宅では魔術の研究に没頭し、食事を抜く事がしょっちゅうで、あまり料理をしない。


(…美味しい!)

(…でもフードが外れないから食べにくいな…)





エマの食事の様子を見ていた国王が

「食事はいかがかな?」

「エマ殿はフードで食べにくいのではないか?なぜフードが外れないのか聞いても?」




「…ありがとうございます。食べた事が無いものばかりで…とても美味しいです。」

「…このマントは亡くなった師匠よりいただきました。自宅以外では被っているようにと。なぜ人前で外れないかはわかりません。」




「何か意味があるのであろうか。そこまで目深だと視界が悪いのでは?」




「…内側から透過の術式をかけてますので、視界は良好なのです。」




皆驚く。




第一王子が身を乗り出し

「それはすごいな!一体エマ殿はどのくらいの術式を習得しているのかい?」




「…」

「…生活魔法全般使えます。」

(…透過の事は言わなかった方がよかったのかな…他は黙っておこう…)




「さすがエマ殿だ。」とフェリクスが言う。




「食事が終わったら、気分転換に図書室へ行かないか?案内しよう。」




「…ありがとうございます。とても楽しみです。」

(…やったー!)

エマは少々浮かれて返事をした。




昼食の時間は穏やかに過ぎた。



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