⑦
「失礼した。少々興奮してしまった。」
国王はエマとフェリクスに向かって言った。
そしてフェリクスはエマの手を繋いだ。
「…」
「…あの、さすがにこの部屋では迷子にはなりませんが…」
「あぁ。では私はエマ殿の後ろで見ているとしよう。」
「…時間がかかりますが…」
「大丈夫だ。母上を頼む。」
「…かしこまりました。」
そしてエマは国王と王子達に向かい
「…回路は七つございます。作成にはおおよそ一つにつき一時間必要です。私の魔力量では一日で三つまでしか作ることが出来ません。」
「いかようにも。エマ殿のやりやすい様に。できれば王妃の意識が戻るまで、城に滞在してはいただけぬか?」
「…申し訳ございません。長期の滞在は出来かねます。五日間くらいまででよろしいでしょうか。意識が戻ればそれよりも早く…」
「うーむ。出来れば長期でお願いしたいところではあるが、エマ殿の都合もおありだろう。ひとまず五日間よろしく頼む。早速、客間を用意しよう。」
そこで、すかさずフェリクスが
「では、エマ殿は私の部屋の隣に滞在していただこう。部屋を出る時は私が案内しよう。」
「…そこまでしていただかなくても…お仕事がおありでしょう…」
「エマ殿はすぐ迷子になるから心配だ。それに私は取っていない有給休暇が腐るほどある。団長に普段から休めと言われているから心配ない。五日間は休むつもりだ。」
「…そうですか。」
「それと、母上をみてもらう時間以外は、エマ殿は読書が好きと言ってただろう。好きなだけ本を読むといい。城には図書室がある。私も付き合おう。」
「…ありがとうございます。」
(……図書室!楽しみ!)
第一王子(フェリクス…グイグイ行くタイプだな。)
第二王子(嫌がられなければいいが。)