⑥
国王と王子三人に続いてエマは王妃のいる部屋に入った。王妃を一目見てエマは、、、
(…これは相当酷いかも。)
じっとして動かないエマに国王は
「いかがした?」
「…あの。」
「… 服の上からみさせていただきます。」「…王妃様の掛け布団をお取りいただけますでしょうか?」
「うむ。ばあや、頼む。」
「かしこまりました。」
側で控えていた、ばあやと呼ばれる歳を召した女性が掛け布団をずらす。
王妃は呼吸がままならず、額には汗をかいて熱が出ているが、顔色が青白く相当悪い。エマは鳩尾のあたりを見た。
(…魔力回路が破壊してる…回路を一から作り直せば何とかなるかも…でもちょっと時間がかかりそう。)
「…あの…」
「何かわかったのか?」
「…はい…魔力回路が破壊しています。」
「それはどういう事じゃ?」
「…第三王子様同様、王妃様はとても魔力が多く、魔力を使わないままでいると、体の中に停滞します。魔力が停滞すると体調不良になります。」
「第三王子様は魔力を流す回路の不具合でしたが、王妃様は回路自体が壊れています。」
この国では、昔から人は少しの魔力を持って生活をしていた。だが、魔力に代わる文明が発達してきたため、ほとんど魔力が使われなくなっていった。
稀に多い魔力を持っている者が現れても、使いこなせず、制御出来なくなっているのである。
『東の森に住む魔女』と言われたエマの師匠のベアトリスは、沢山の魔力を持ち、かつ使いこなしていたため、一目置かれていたが、それは未知のものの恐れの意味合いだった。
「何か手立てはないのか?」
「妃がこんなに苦しんでいて、、、私は気が気ではない。代わりたいくらいだ。」
「…少々時間かかりますが、回路を一から作り直してみます。」
「そんな事が出来るのか?!是非頼む!」
国王はエマの手を取った。
「父上!」
フェリクスが国王とエマに割って入ってきた。