4/28
④
街の外れの薬屋から城までは、馬車でおおよそ3時間。その間エマは矢継ぎ早にフェリクスに質問されていた。
エマは親がいない事。
生後3ヶ月の時から東の森で魔女のベアトリスに育てられた事。
ベアトリスは魔法の師匠である事。
3ヶ月前に成人した事。
成人した翌日にベアトリスが亡くなった事。
今は一人で東の森に住んでおり、魔法薬を売って生計を立てている事。
趣味は読書と魔法陣の研究である事。
ベアトリスから貰った黒いマントのフードはなぜか人前では外れない事。
極端な方向音痴である事。
人見知りである事。
特に隠す事でもないので、質問全てに答えた。
「苦労しているんだな。」
「…そうなんですか?」
「そうでもないのか?」
「…はい。衣食住に困っておりませんので。」
「…全ては師匠のおかげです。」
「そうなのか。」
そんな話をしているうちに、城に到着した。
そして早速エマは城内で迷子になった。