表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/28

結局、そのまま一時間ほど四人でお茶をし、お開きとなった。王子妃二人に怒涛の質問攻めをされたエマはくたびれていた。フェリクスも同じくくたびれていた。



「エマ殿、申し訳ない疲れただろう。」



「…少しだけ。」エマは素直に答えた。



「こうなると思って断っていたのだ。貴重なエマ殿との時間が減ってしまったな。」と呟いた。



「さて、こんな時間だ。エマ殿の好きなチョコレートの店に行こう!疲れた時は甘い物が良いぞ。」



レストランからチョコレートの店まではそう遠くないので散歩がてら向かった。




チョコレートの店はカフェも併設している。ショーケースには様々な種類のチョコレートがあり、チョコレートを使ったスイーツもある。エマは初めて見るチョコレート菓子に釘付けになっていた。砂糖漬けのフルーツが乗った丸いトリュフである。



「…美味しそう…」

「…もしかしてこちらのお店もイザベラ様に?」



「ああ。私は詳しくないのでな。先程散々話したから流石にここに来ることはないだろう。」

「さ、こちらで食べていこう。エマ殿が食べたい物を好きなだけ選ぶといい。」



エマは数種類選び、シェアする事にした。



「…美味しいです。」エマが食べているのをフェリクスは微笑みながら見ている。




「…第三…じゃなくて…フェリクス様。フェリクス様はお召し上がりにならないのですか?」




「ああ、いただこう。そのエマ殿が食べているチョコレートが美味しそうだな。」




「…すみません。一人で食べてしまっていて。同じ物を注文しますか?」




「いや、そんなに甘いものは食べられないから少しでいい。そのエマ殿が食べているのを一口もらえないか?」



「…えっと。食べかけですし。」



「構わん。」



エマはチョコレートの乗ったお皿をそっと渡そうとすると、おもむろにフェリクスが口を開けた。



「…えっと…」



「食べさせてくれ。」



「…せめてフォークを新しいものに交換いたします…」




「そのままでよい。」



「…」

「…失礼します。」

おずおずとエマはフェリクスに食べさせる。



「これは美味いな!」



「そちらのチョコレートも食べさせてくれ。」



エマはフォークでトリュフを半分に切って、フェリクスに食べさせた。



「美味い!」満面の笑みで喜んだ。




(…こんなに筋骨隆々なのに口を開けて待っているなんて雛鳥みたい。)

(…王子様を雛鳥に例えるなんて失敬かな…)

(…でも何だかかわいい…)



考え事をしていると、いつのまにかフェリクスがフォークに刺したトリュフの半分をエマの口元に向けていた。


「とても美味しいぞ。さぁ、エマ殿も食べなさい。」



「…失礼します。」パクリとエマが食べた。



(可愛い!)フェリクスは心の中で悶絶した。




(イチャイチャしてるな…)

隣の席ではお茶をしながら、護衛のアレクセイが目を閉じ、心の中でまたツッコミを入れた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ