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昼食後、図書館にて。
「エマ殿、あとは個人練習をするので、明日の指導の時間は外出にあてないか?早めの昼食を取ってから国立図書館に行こう。」と、エマの真横にピッタリとくっついているフェリクスは言った。
「…国立図書館…」
「…是非行きたいです!」
「あと、エマ殿はチョコレートが好きだろう。」
「…なぜそれを?」エマはハッとする。
「食事している様子を見ていればわかるぞ。食後のデザートでは一番喜んでいるように見えたが。」フェリクスにはお見通しだった。
「国立図書館の近くに美味しいチョコレートの店がある。帰りに寄ろう。」
「…えっと…王子様なのに急に気軽に外出が出来るのですか?」
「私は騎士であるし、仕事で見回りもしているから何ともないぞ。そこら辺の悪いやつより余程怖がられているしな。」
「全く一人でというわけにはいかず、護衛は付くが。」
「兄二人はそういうわけにはいかないが、私は三男であるし、気軽なものだ。」
「…そうなのですね。」
「…何かあるといけませんので、早速明日外出の際は、防御魔法をかけてみた方がよろしいかと。」
「そうだな。試してみよう。」
「それと、念の為、私もエマ殿と似たようなマント姿で出かけよう。」
(…黒マント二人って…悪目立ちしそう…)
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夕食を取り、部屋で一息ついていると、慌てた様子でマリーが訪れた。
ノックの音と共に
「エマ様!よろしいですか!」
「…はい。」
エマは扉を開ける。
するとマリーは
「王妃様が目を覚まされました!」
「意識は少々混濁しておられるようですが、混乱はしておりません。見に来ていただけますか?」
「…すぐに参ります。」
隣の部屋から出てきたフェリクスと一緒に王妃の部屋に向かった。
もちろん手を繋いで。