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初めての投稿です。不慣れですがよろしくお願いします。
「…こんにちは」
黒いマントのフードを目深に被った魔法使いのエマは、月1回の魔法薬納品のため、街の外れの薬屋を訪れた。
「いらっしゃい!」
薬屋のおかみさんのサラは、エマの師匠であり育ての親でもあるベアトリスの古くからの知り合いで、エマとは幼少期からの付き合いである。
エマは魔法薬の入った箱を渡し、サラは沢山の物が入った買い物カゴを渡す。
エマは人付き合いが苦手で、極端な方向音痴であり、1人で買い物が出来ない。魔法薬の売り上げで薬屋のサラに買い物を頼んでいるのだ。
なお、薬屋には移転魔法で訪れている。
「…いつもありがとうございます。」
「いいのよ!エマちゃんの事はよく分かってるから!」
「それよりね、ここ2ヶ月程魔法薬を1人のお客さんに買い占められてて、作成者に会いたいって言われてるのよ!断ってるけどね!」
「…そうですか。」
カランコロン。来客を知らせるベルが鳴る。
「いらっしゃいませ!」
タイミング良く、魔法薬を買い占めている客が訪れた。鎧を纏う大柄ではあるが柔和な雰囲気の男性は、黒いフードを目深に被ったエマをじっと見る。
そこへ、さらにもう1人の客が訪れた。こちらは上質な騎士服を来た同じく大柄な男性で、端正な顔立ちをしているものの、目つきが悪く、たった今、人を殺して来たのではないかという凶悪な雰囲気を醸し出している。
鎧の男性がエマに向かい、「こんにちは。もしやそちらの方は魔法薬の作成者ですか?」
「………はい」
「私は、この王国の第一騎士団の団長をしておりますアレクセイと申します。魔法薬についてお聞きしたい事があり、よろしければ、城に来ていただきたいのです。」
「…」
王家から賜ったバッジを見せながら、「怪しい者ではございません。こちらが身分証でございます。」
「…承知しました。」
「おお!ありがとうございます。では早速馬車に乗っていただいてよろしいですか?」
「エマちゃん大丈夫?!」
「…はい。」
「…何だか困っているみたいなので。」
エマは騎士服を着た男性に向かって言った。