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魔甲闘士レジリエンス   作者: 紀之


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第67話 マルス最後の戦い




 マルス・アイディオンの頭上に現れた巨大合成UMAコンリットは体側面上部のムカデの足を艦砲の様に彼らに向ける。


「掴まっていてくださいよ」


コンリットの砲撃タイミングを予測したマルスは猛スピードでガンウルフを発進させ、海上へ飛び出す。


ガンウルフとその左側面についているカノンボアのタイヤが海面に水平になるように変形することで2機はホバークラフトと同様の機能を得る。


あらゆる金属を溶かすコンリットの溶解液が先ほどまでガンウルフのいた場所に降り注ぐとあっという間に床が溶けて船は浸水を始める。


「機能の異常は無し。そっちは掛かっていませんか?」


「大丈夫です。それよりも」


アイディオンは怪物の頭部の一つ目から強力なエナジーが集まるのを見た。間を置かず、凄まじい熱線が照射される。


マルスは2機のホバーを逆噴射させ、急速に後退すると怪物の真下、つまり腹にマルスブラスターとガトリングランス・ガトリングモードを斉射する。


同時にアイディオンも火球を放ち、後方から合流したレジリエンスの放った火球もコンリットに直撃するが3人の攻撃を受けても怪物はどこ吹く風といった所だった。


「全く効いていない。うわっ」


後方から移民船を護衛するハスカール隊の熱線銃や艦砲が3人を襲う。


怪物の真下はその攻撃の死角となっていたが、そのカバーの為にハスカール隊はいるのである。


(俺達をコンリットの射程に押し出す気か)


「一旦後ろに下がりましょう」


「駄目だ。あれは武装しているとはいえ移民船だ。戦いに無関係の人々が大勢いる。彼らを巻き込むわけにはいかない」


レジリエンスはマルスの提案を蹴る。


「そうですね。もはや全力で大陸目指して突っ切るしかないでしょうね」


「…少し決定が遅かったみたいですけど」


アイディオンがマルスの視線を追うと前方から移民船の船団が近づいているのが見えた。


この船団は移民の代わりにハスカールを詰め込んだ軍船の集まりだった。


前方の艦隊から熱線が放たれ、それらはコンリットの体や艦船の一部を焼く。


「仲間割れか?」


「グリュロスさんの言っていた反乱軍が来たのか?なんにせよチャンスだな」


レジリエンスがカノンボアの仮設シートに飛び乗るとマルスは全速力でアトランティス大陸目指してマシンを疾走させる。



「やはり彼らも仕掛けていたか。総員クジラの化け物の熱線に注意しつつ、船を狙え」


新たに現れた艦隊を率いるのはクレアルコス。彼はずっと以前から大陸北部のいくつかの都市をまとめて小さな国と政府を作り上げその代表に収まっていた。


彼は当然突然現れてアトランティス人の代表を『勝手に』名乗り始めたティブロンやアゲシラオス博士が気に入らなかった。


そこで大陸が現世に帰還すると同時に同調する者達を率いて、抵抗活動を始めた。


しかし組織はその抵抗の方法を巡って早々に分裂し、彼に同調しなかった者達は先日の『塩の柱』の犠牲となって倒れたのだった。


クレアルコスにしてみれば邪魔者がいなくなった反面勢力は衰えた為、組織的な抵抗は難しくなっていた。


その矢先に先のティブロンの声明である。


先日グリュロスからの秘密通信で彼は確実に自分達と同調してレジリエンス達が動くと踏んで乾坤一擲の行動を取ったのだった。


彼らは船と装備を奪ったものの、その第一陣はグリュロスを含めてティブロンらの傀儡となってしまっていた。後に判明したハスカールの装備から彼は技術者に命じてハスカールのヘルメット内の思考低減装置を外させた。その為反乱軍のハスカールは正規軍より柔軟に動くことができた。




反乱軍の思わぬ攻撃にアトランティス正規軍の船が次々と航行不能になる中でコンリットは命ぜられた第一の使命、すなわちレジリエンスら3人を葬るべく執拗な攻撃を繰り返していた。


「怪物の熱線が来るぞ。艦隊に退避行動を取らせろ」


クレアルコスの命令に艦隊が散開していく。


そこにコンリットは頭頂部の孔から無数の火炎弾を周囲にばら撒く。


新たに現れた敵諸共にレジリエンスらを消し去る為である。


「しまった!奴にそんな知能があったとは」


隊列を整えようとする船は無防備であり、次々と火炎弾が直撃し炎上する船を見ながらクレアルコスは毒づく。


彼の乗る船は直撃を免れたものの周囲の海面に火炎弾が生み出す巨大な飛沫で横倒しにならぬようにするのが手一杯だった。


クレアルコスらは船の指揮所からコンリットが頭を下げてこちらに突っ込んでくるのが見えた。


「隊長!怪物がこちらに近づいてきます!」


「全力後退!!」


彼らは知らなかったがレジリエンスらを乗せたマシンはコンリットの度重なる攻撃を躱し続けており、それに焦れた怪物は自分からみれば豆粒のような存在に向かって直接体当たりを掛けようとする暴挙に出たのだった。



「2人ともしっかり掴まっていてくださいよ」


マルスはこちら目掛けて突っ込んでくるコンリットにタイミングを合わせてガンウルフの前輪を持ち上げ、後部に接続したパワードペッカーの翼を展開する。


3人を乗せたマシンが海面から飛び立つのと怪物が海面に突っ込むのは殆ど同時だった。


激突と同時に海面に小さな津波が発生し、正規軍・反乱軍問わず船は巻き込まれ一部は沈み、一部は岸に打ち上げられる。


アトランティスの首都に近辺の岸辺にマシンが降り立つと3人は後方を確認する。


「フーッ、間一髪」


「しかし船が」


「いや、生存者がいるぞ」


レジリエンスの視線の先に数名のハスカールがよろめきながらも打ち上げられた船から出てくるのが見えた。


「待て!我々は君達の味方だ」


先頭のクレアルコスはヘルメットを外し、敵意の無い事を示す。


「味方?」


「そうだ。私達はティブロンに反対する者だ。時間がない。私が君達を塔まで案内しよう」


「助かります」


「でも達人さん、これ以上は定員オーバーですよ」


「俺はサンダーバードに掴まって行く」


クレアルコスがレジリエンスの代わりにカノンボアの仮設シートに座ろうとした瞬間熱線がカノンボアを貫通、爆発させた。クレアルコスはレジリエンスのトイコスで辛くも難を逃れたが、海からトゲのついた鞭の様な物が飛び出し、彼を庇ったマルスを締め上げ引き倒した。


「何だ?」


全員が振り返ると海面から3メートル近い人型の怪物が現れた。


巨大な単眼を持った前後に長い頭


両肩に3対のL字状のトゲ


黒い装甲に全身を固め右手に蛇腹剣と左腕にヒレ状の盾を構えている。


「あの巨大な化け物と同じエナジー反応だ」


「あの怪物、人型形態を持っていたとは」


巨大な海獣形態で国家の要諦たる工業・農業を溶解液で破壊し軍隊をそのパワーと熱線で壊滅


その後国の運営に関わる要人を確実に抹殺するために人型形態に移行する。


これが今は亡きアゲシラオス博士の考えだした合成UMAコンリットの運用理念だった。


コンリットはそのパワーで捕らえたマルスをズタズタに引き裂くべく右腕を動かす。


が、蛇腹剣は横から来た高周波ランサーに断ち切られた。


振り向いたコンリットに熱線と冷気の渦が襲い掛かる


それを盾で防ぐコンリット


「俺達を忘れてもらっちゃあ困るぜ」


「我々の次元移動を阻害しないとは舐められたものだな」


海蛇型上級UMAナウエリトと類人猿型上級UMAイエティが現れた。



「3人とも先に行ってください。僕は連中とこの怪物を食い止めます」


「分かった。死ぬなよケイ」


「お気を付けて」


サンダーバードの両脚に掴まったレジリエンスとアイディオンはガッシングラムに背負われたクレアルコスの案内でアトランティスの首都ポセイドニアを目指して飛び立った。


それを妨害するために再生させた蛇腹剣を伸ばすコンリット


「邪魔はさせない」


マルスはブラスターで剣を弾く。


更にベルトのスイッチを入れ装甲をパージ、アルトマルスへ『変身』する。


早期決着を図りパワードスマッシャーへマルスブラスターとパワードペッカーを合体させる。


「これならば」


スマッシャーの翼部分を後ろへ引き反物質砲を放つ準備をする。


だがそれより早くコンリットは全身の装甲から細いビームを発射、マルス、ナウエリトそしてイエティを同時に攻撃する。これを防ぐべくマルスはADプレートを投げ、ナウエリトは自身の単眼からのビームを高周波ランサーで拡散反射、イエティも自身の冷気でビームの凍結させるべく、それぞれに迎え撃つ。

だがADプレートは数秒で蒸発、ビームも冷気もコンリットの熱線の熱量に押し負けバリアーを張った2体のUMAの体に光線が突き刺さる。


「チッ、何だこのでたらめな火力は!?バリアーも貫きやがる」


ナウエリトは全身から白煙を上げながら膝をつき、全身のエナジーバリアで敵の猛攻を受け止めつつ発射体勢を崩さないマルスを見る。


(まだ時間がかかりそうだな・・・・だが耐えられるか?)


アルトマルスの全身から発するバリアは湾曲し崩壊、コンリットの単眼から超高熱線が止めとばかりに放たれる。


「!!ガンウルフ!?」


専用バイクガンウルフが独自判断で行動、完全に無防備になった主を守るべく、その前に立ち塞がる。熱線はガンウルフを貫きながらもアルトマルスを僅かに逸れ、ヘルメットに右側を溶解した。


愛機が火花を散らして横転した直後チャージが完了したのは何の因果か。ケイの雄叫びと共に発射された最大出力の反物質砲の白色光がコンリットを包み込む。


「馬鹿な!!あれを耐えただと!?」


反物質砲の白色光が晴れた先にはコンリットが立っていた。


「野郎、どんだけタフなんだよ!!」


呆然と立ち尽くすアルトマルスとイエティをよそにナウエリトは高周波ランサーを伸ばす。怪物はその防御力を誇示するように微動だにしないが、それが過信だったかランサーが右肩口に深々と刺さる。


コンリットはお返しとばかりに単眼から熱線を放ちランサーを焼き切ると遅れて切りかかってきたイエティへ向けて両肩のトゲから溶解液を噴射する。


「させるかよっ!」


「ナウエリト、お前」


「無事か、イエティ。仲間を守るのは当たり前だぜ」


「だからといってバリアーを張らずに身を晒すとは・・・この馬鹿が」


「ヘッ、だからよ、代わりにカタキ取ってくれや」


イエティを庇って全身に溶解液を浴びたナウエリトはそう言い残すとランサーを残して溶け崩れた。


「ナウエリト・・・」


感慨に浸る間もなく蛇腹剣がイエティを襲う。


イエティは咄嗟に大剣でその攻撃を防ぐがコンリットは蛇腹剣を大剣に巻き付けるとそのまま力任せに振り回す。


怪物はそのまま彼女をアルトマルスへぶつけるつもりだった。


その意図を察したイエティは大剣から手を放し引っ張られた勢いそのままにもう片方の手でコンリットに突き刺さったままのランサーを蹴り込み反転。怪物の右肩に風穴を開ける。


悲鳴を上げて後退するコンリット


「あいつの死を無駄にする訳にはいかない。どいていろ」


その光景を見ていたアルトマルスは自身の最大最後の攻撃の準備に入る。


後ろに引いていたスマッシャーの翼部分を前方へ押し出し、グリップを後ろに倒すと残りのエネルギー全てを解放する。


「パワードスマッシャーブレードモード!!」


イエティが怪物から離れたのを確認するとアルトマルスはベルトのスイッチを操作し自身の出力を最大に引き上げトリガーを引くと白銀のエネルギーで形成された大剣が砲口から顕れコンリットの傷口にその切っ先をねじりこむ。


光は目の傷口から浸透しコンリットの体を内部から崩壊、消滅させた。


「やったか。仇は取ったぞ、ナウエリト」


全ての力を使い果たし機能停止したマルスと風に巻かれる砂を見ながらイエティは呟いた。


(これ以上はもう動かないか。達人さん、エリクシリオさん後はお願いします)


そう呟くとケイは気を失い、どっと地面に倒れ込んだ。

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