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魔甲闘士レジリエンス   作者: 紀之


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第61話 アトランティスからの刺客




 「バカめ。かかったな」


別方向へと向かった2体の怪物は同じ言葉をそれぞれの追跡者に掛ける。


怪物達はそれぞれ攫った子供を投げ捨て、レジリエンスとマルスは攫われた子供を受け止める。


その隙に猿の怪物は超高速で接近してレジリエンスを吹き飛ばし、もう一方の鳥の怪物はマルスへその尻尾から光の矢を連射した。


(今までの敵とは違う!?)


追跡者2人は子供を庇いながら同じ感想をそれぞれの眼前の怪物に抱く。


レジリエンスと対峙する猿に似た姿をした合成UMAヨーウィの能力はサンダーナイトの能力そのものだった。


マルスと対峙するもう一方の鳥型の合成UMAバンイップはワニの体に鳥の翼と足というその異形にも拘わらず、その飛行速度はマルスを上回っている。


『さあやれヨーウィ、お前の力をレジリエンスへ見せてやれ。バンイップよ、貴様の能力をでマルスを倒せ』


怪物2体の頭に創造主たるアゲシラオスの声が響く。


ソフィアを避難させたレジリエンスは再び眼前の怪物が消えたように見えた。


次の瞬間猛烈な衝撃と共に地面に転がっていた。


そして立ち上がる間もなく今度は空中へ打ち上げられる。


(サンダーバード、まだいけるか?)


『30秒なら』


脳内で達人とサンダーバードが会話をしている間にも空中へ跳んだ怪物が腕を振り下ろし、レジリエンスは再び地上に墜落する。


地面へ激突する寸前にサンダーナイトへと合身し、地表ギリギリを滑るように飛んで着地する。


そこに怪物は両腕から火球を放つ。


「あれは、フロギストン?だがッ・・・!」


サンダーナイトは瞬時に最高速で怪物へ迫るが怪物のスピードはそれを上回っていた。


渾身の斬撃を躱され、逆に側頭部へ回し蹴りを食らって、サンダーナイトは地面を3度跳ねて廃屋の壁に激突した。



「ビッグフットとリザードマンの合成UMAヨーウィには最初からサンダーナイトとグランドウォリア―を倒す為2つの形態の特徴を備えかつ、20%性能を上回る様に調整してある。さらに額の第三の目によって魔法さえも使える新世代のUMAだ。尤も性能重視の反動で寿命も短ければ与えられた使命以外思考出来ない、厳密には生物とは言えぬ。とはいえレジリエンスは先日の新形態で各員限界のはず。恐らくスィスモスやノテロスにはなれまい」


「素晴らしい。彼らアトランティス製合成UMAは生物ではなく兵器。理想の奴隷という訳だ。アゲシラオス博士、量産を急いでくれたまえ」


「どうにもその基準に達する人間は少ない。人間狩りにもっと力を入れてくれ、ティブロン」


満足そうに頷くティブロンとアゲシラオスは視点をバンイップへと切り替える。



「こいつ!お前はあいつらと同じだ!母さんの仇だ!」


「…そうか。だけど今はあの怪物を倒す事が先決だ」


マルスは自分の腕の間で手足をばたつかせる少年をバンイップの光の矢から庇い半分水没した住宅地を縫って飛ぶ。


マルスは攻撃が止んだことに気づき、周りをサーチする。


(どこに行った?)


敵がどこにも見当たらない事に訝るがまずは子供の安全の確保を優先し、放棄された水に浸かっていない住宅の2階へ降りていく。


そこへ全身に羽毛が生え、4つのヒレが体の側面にある猛獣が大きな口を開けて横から突如飛び出してきた。


マルスは咄嗟にパワードペッカーを分離させ、飛行メカと自分の間の空間を通り過ぎる怪物を振り返りながら住宅の窓から中へ飛び込んだ。


「あれなんだ!?ブルドック顔の恐竜?」


「もう一体いたのか。だからここに誘いこんだという事か」


そして少年に向き直ると


「確かに僕やハスカールは取り返しのつかない事をした。だから償いは生き残った人達つまり君を守る事でしか出来ない。それでも不満なら全部終わったら君の手で煮るなり焼くなりすればいい」


そう言うとセンサーが敵を感知し、飛び上がりながら再度パワードペッカーと合体する。


1拍遅れてブルドック顔の怪物が床を突き破って出現するとその姿を瞬時に変えワニの頭部を胴体と鳥の頭をした最初の怪物となってマルスを追いかける。


「奴は2つの形態を使い分けるのか!?」


バンイップは瞬く間にマルスを抜き去ると、マルスブラスターの光弾を紙一重に躱しながら両脚の爪でマルスの装甲服を切り裂く。


(かといってさっきの形態で水中に潜られるとマルスの装備では手出しできない。そうなれば空中戦で仕留める以外無いが‥・どうする?)


そう考える間にバンイップは後部から光の矢を連射しながら向きを変え再び爪で襲いかかる。


マルスはパワードペッカーの翼の前縁部に備えられた左右3対、計6問のビーム砲を放って応戦するが、バンイップの体に全て弾かれ、そのまま突っ込んできたバンイップにすれ違い様に飛行メカのスタビライザーを切り裂かれた。



「バンイップは2つの形態変化を0.5秒で行える。さらに飛行形態はマルスのそれを上回る速度と被弾対策として攻撃を最も受けるであろう前面、つまり頭部、翼、脚先の爪に魔法を弾く特殊な素材を使っている。これはマルスの武器にも有効だ」


「パワードペッカーとの合体には2.5秒の時間を要する。分離合体を前提とするマルスでは勝てない道理か。だがアルトマルスの力は未知数だ」


アゲシラオスのバンイップの解説を聞きながらティブロンは懸念を伝える。


「それはそうだ。あの機能が判明する前に作った代物だからな。出力は凄いがアルトマルス単体での戦闘力はそこまでの物でもないだろう」



地上に落下していくマルスに高速で追いついたバンイップがキックを繰り出す。


ブースターを吹かして紙一重で躱したマルスは地面と平行に飛びそのまま急上昇をかける。その影から遠隔操作で移動させていたガンウルフとカノンボアが姿を現す。


マルスは自身の姿で後方にいたカノンボアの姿を隠していたのだった。


だがバンイップはカノンボアの主砲とブラスターの同時攻撃をものともせずに羽毛を光らせ光の矢を発射した。


「実弾対策もしているのか」


左の翼に矢を受け墜落するマルス。


止めを刺すべくバンイップはマルス目掛けて空中で変身し、大口を開けて迫った。


だがその足を予期せぬ高周波ランサーの一撃が切り裂いた。


「馬鹿な!?何故奴が」


バンイップと視界を共有するアゲシラオスから驚きの声が漏れる。


そこにいたのは海蛇型上級UMAナウエリトだった。


「お前もレジリエンスも気に食わないがUMAが人間にヘイコラする世界を作られるのはもっと気に食わん。お前にはUMAの誇りってモンが無いのか」


バンイップがナウエリトの方を見たがその隙を逃すマルスではない。ガンウルフ後部からガトリングランスを取り出すとバンイップの脚の切断面目掛けて槍を突き出す。


だがバンイップの驚異的な再生力は瞬時に体を再生し、その強靭な皮膚は逆にランスを砕いた。


「だったら心臓をブッ刺してやらァ!」

ナウエリトは再び高周波ランサーを伸ばすが飛行形態となったバンイップは急上昇し、その射程外へと逃れる。それはマルスの主要武器の射程外でもあった。その高高度から無数の光の矢が降り注ぐ。


「確か古川さんの解析ではバックルにアルトマルスの変身スイッチがあるんだったな」


ケイはマルスのバックル中央部のスイッチを押し込む。同時にマルスの各種装甲が弾け飛び全身から紫電を纏った青白いエナジーが噴き出す、アルトマルスへと変身する。


「人間を舐めるなよ、アトランティスども!」


アルトマルスは背部ブースターと右足にエナジーを集中させ飛び上がる。超高出力のエナジーを纏った飛び蹴りはマルスを青い閃光と変えて降り注ぐ光の矢を弾き、対エナジー用の特殊装甲を溶解しながらバンイップの五体を粉砕した。


体をバラバラに引き裂かれる直前バンイップは


「我々は忠実な兵器ききいい」


「より悪いじゃねえか」


ナウエリトは侮蔑の言葉を黒い霧をまき散らしながら爆散した怪物へ吐き捨てる。




ヨーウィに吹き飛ばされたサンダーナイトは限界を迎え分離する。


(この分では恐らくグランドウォリア―の対策もされているだろう。ならばいっそ伸るか反るか)


高速で鎧を切られ、吹き飛ばされながらガッシングラムと合身、グランドウォリア―となる。


高速で突っ込んでくるヨーウィに斧を突き出す。


斧はヨーウィの黒い鎧状の皮膚に当たり、高周波の高音が辺りに響く。


ヨーウィの全身に配された黒い皮膚はその防御力もさることながら高周波を感知すると振動し、グランドウォリア―の高周波の斧さえ無力化してしまうのである。


(おい、止められたぞ)


(ガッシングラム、分離だ)


再びレジリエンスに戻ると、間髪入れずに拳を怪物の口に突っ込む。


「フロギストン!」


火球は頭の内部で爆発、粉々に吹き飛ばす。


だが怪物は頭を失っても動きを止めず長い尻尾をレジリエンスに巻き付けると首のあった部分が左右に開きその中から火山を思わせる赤い砲口を備えた巨大な発射孔を覗かせる。ヨーウィの尻尾のコブは本来の頭部が破壊された場合、2つの目と顎の部分にもう1つの目を備えた、つまり本来の頭部を逆さにしたような第二の頭の役割を果たす。


「死ねっ」


首の砲門からの熱を感じながらレジリエンスは尻尾を引きちぎろうと力を込めるが、ヨーウィは尻尾に10万ボルトの電流を流す。


たまらず膝をつくレジリエンスに止めを刺そうとしたヨーウィは第二の頭部目掛けて飛んできた氷塊をレジリエンスごと尾を動かして躱す。


そこにはナウエリト同様、ティブロンらへの復讐に燃えるイエティがいた。


「イエティ、手を出すな」


「勝機があるのか?」


「馬鹿め。この状況で逆転できる訳が!」


再チャージした熱線を首から放つヨーウィは先程の隙でレジリエンスが両肩先端のエレメンタル・アンプリファイアを水のシンボルたる逆三角形に変形させ、両腕に装着した事を見逃していた。発射直後のビームを両腕の『パーゴス』(ギリシア語で氷の意)で押し返し、発射孔へとねじ込む。極端な温度変化に首周辺にヒビが入り、ヨーウィはの悲鳴が空気を震わせる。拘束から解き放たれたレジリエンスは2つのアンプリファイアを炎シンボルたる三角形へと変形合体させ杖に接続すると先端から天を突くほどの長大な炎の剣、フレイム・キャリバーを形成すると真っ向から振り下ろす。


ヨーウィはそのひび割れから全細胞を蒸発させながら赤い光を発して爆散した。


「まさかあんたが助けてくれるとはな」


「勘違いするな。私はガッシングラムを助けたのだ。そして人間に使役される哀れな同胞をもだ」


フン、と顔をそむける冷気の主たる類人猿型上級UMAイエティにレジリエンスは礼を述べる。


その時空に映像が浮かび上がる。


映像には日本の首相が映っていた。


『私は国民の生命を第一に考え、アトランティス帝国と同盟を結ぶ事に致しました。つきましては日本国民の皆様にお願いがあります。目下文明存続委員会の残党とそれに手を貸すレジリエンス一派を見つけ次第通報をお願いします。アトランティスと日本の特殊部隊がこの裏切り者共を排除する。それが皆様の生命を助ける条件として提示されたのです。どうかご協力をお願い申し上げます』


映像にはレジリエンスと達人、マルスとケイそしてナウエリトとイエティの姿が映し出されていた。


「正義の味方からお尋ね者とは忙しいな、お前も」


「そっちもレジリエンス一派になっているみたいだが?」


「それでどうするつもりだ?」


「彼女を送り届けたら仲間と合流する。そっちは?」


レジリエンスは海岸の先に浮かぶレフテリアの町を見やる。


「私もナウエリトと話し合わねばならん。まあ状況的に共闘することになりそうだが」


「そうだな。共通の敵がいる内は、という事になるが」


「あまり期待するなよ。我々は相いれない敵だという事を忘れるな」


互いに別れるとレジリエンスはエリクシリオの住むレフテリアへと向かった。

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