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魔甲闘士レジリエンス   作者: 紀之


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第22話 誇り高き獣王(後編)




  虎型UMAヴァッソコ


E₃の青田義男が変化した姿である。


古代ローマの剣闘士のような風貌はガッシングラムのエナジーの影響だろうか


変身時に放射されたエレメンタル・エナジーが両隣の警官を消滅させると天井を破ってパトカーのボンネットに飛び乗る。


そして運転していた警官を両腕に装備された4本のクロ―で引き裂く。


「許さんぞ。俺を馬鹿にした奴らはすべて皆バラバラにしてやる」


 ヴァッソコは次元移動の穴を作り出すとその中に消えていった。




ライオンの強奪を終えたEスリーの襲撃部隊は港にて檻を船用コンテナに入れる作業をしていた。


「おかしい、D班も隊長も来ないぞ」


そうぼやきつつ作業をしていた隊員に別の隊員が駆け寄ってくる。


「大変だ。ライオンの怪物が出たらしい」


「そんな馬鹿な。まさか」


二人して檻に入ったライオンを見る。


「こいつらの仲間が化けたんじゃ」


「おい」


「まさか隊長も」


「よせ。縁起でもない」


「作戦はどうするんだよ」


「どうって隊長が来るまで待つしかないだろう。作業続行だ」


その言葉が終わると同時にライオン達が一斉に吠え出す。


同時に人間の悲鳴と怒声が港に響き渡った。


ガッシングラムとレジリエンスが港に現れたのだ。


レジリエンスはEスリー隊員の銃撃を弾き返しながら銃を握りつぶし、隊員を殴り飛ばす。


レジリエンスの頭上を飛び越えガッシングラムが船へと迫る。


港に平積みされたコンテナを足場に船上のライオン達の入れられている檻に一気に近づく。


「ゲッ、怪物だ」


「おい、ライオンに当たったらどうする」


「馬鹿野郎。命あっての作戦だろうが」


「そうだな。こんなのはどうだ?」


言い争っていた二人の隊員は第三の声のする方へ首を向ける。


2人のそばにレジリエンスが立っており手刀で両名とも気絶させた。


「こっちは終わったぞ」


「こちらも皆無事だ」


人間とUMAの奇妙なコンビは互いの健闘を称えあう。


「檻を戻そう。手伝ってくれ」




「そういえばさっきの金色の姿は一体なんだ?」


全ての檻を船から港に戻し終えてレジリエンスが尋ねる。


「あれか。儂はもうすぐ精霊となる。あれはその予兆だ」


「精霊というとサンダーバードみたいになるのか。この世界にずっといられなくなるとか」


「奴を知っているのか。あの一族も変わり者よ。我々UMAでなく人間を守るのだからな」


そこでガッシングラムは言葉を切って檻の方を見て続ける。


「そう。守護者の座は別の者に譲られる。暫くはそいつの後見という訳よ」


その言葉に一頭の雄ライオンが吠え声を上げる。


「なんて言ったんだ?」


「『俺が後を継ぐ』とさ。ハハハ、頼もしい限りよ」


レジリエンスの質問に老獅子が答える。


突如ガッシングラムの足元に次元の穴が形成される。


「まずは貴様からだ!!」


そこから飛び出してきたヴァッソコがガッシングラムの脇腹をクロ―で深々と抉る。


「次はお前だ!」


ガッシングラムの体をレジリエンス目掛けて投げ飛ばすと同時にヴァッソゴは大きく跳躍する。


老獅子の体を受け止めたレジリエンスはとっさに背中を向けて彼を庇う。


金属を切る嫌な音と火花が周囲に飛び散る。


「グッヌ」


レジリエンスは呻きながらもヴァッソコの爪の第二撃を杖で押さえつける。


その杖を跳ねのけようともがくヴァッソコは急に体勢を崩す。


レジリエンスが力を抜いた為だ。


よろめいた怪物の顎を杖で突き飛ばし、距離を取る。


レジリエンスは背中で咆哮と共に急速なエレメンタル・エナジーの上昇を検知した。


彼が振り返ろうとした時その体を跳ね飛ばし、新たなガッシングラムがヴァッソコへ向かって行った。


「あいつ、有言実行したのか」


檻の一つが破られていた。


「人間の戦士よ。聞いてくれ」


「あまりしゃべるな、ガッシングラム」


「フ・・・自分の体は自分が良く知っている。あいつはUMAになったばかりでその力に翻弄されておる。出来るなら彼を止めてくれ」



「必ず止める」


「強いぞ、我らは。仮に倒しても正々堂々の戦いなら誰も憎まん。そういう死に方ができなかったのが心残りだ。儂は長く生き過ぎた」


そう言い残し、老獅子は金色の光の粒子となって天に昇っていく。


それを見送ったレジリエンスは約束を果たすべく戦場へと向かった。



新たに生まれた若いガッシングラムはヴァッソコを終始圧倒していた。


この個体は先代と同じ姿と遜色ない力に加えて独自の能力として『超加速』能力を有していた。



目にも止まらぬ速さでヴァッソゴをその爪で切り裂いていく。


その二体のUMAの戦いの音で気絶していた一人のE₃隊員が目を覚ました。


その彼の目の前でライオンの怪物が斧で虎の怪物を両断する。


隊員とライオンの怪物の目が合う。


「ひいいいーた、助けてー」


逃げだした隊員を背中から斬ろうとするガッシングラムの前にレジリエンスが立ち塞がる。


「どけ、こいつらがいなければあの方が死ぬことはなかった」


「逃げる敵を斬るのはお前達の誇りに反する。あの老獅子ならしない」


「お前に何が分かる!」


ガッシングラムは斧を持って突進してくる。


レジリエンスは右腰のスイッチを押して足元に次元移動の穴を開くと同時に体を大きく開く。


その穴にガッシングラムが自ら飛び込む形となりレジリエンスがそれに続く。



異世界へと着いた先は周囲を高い崖に囲まれた森林地帯だった。


「ガアアアッ」全身からエナジーを立ち昇らせてガッシングラムが斧を振るう。


「あの斧は高周波を発している様だな」


躱した斧が周りの木々を音もなく切断する様を見てレジリエンスは呟く。


彼は直後に来た横薙ぎの一撃を飛んで躱し、近くの木立を蹴る。


互いの体が一瞬交錯した


互いの中間に斧が落ちる。


若獅子がその勢いのまま頭上に振り上げた斧の根本をレジリエンスは炎の剣フレイムキャリバーで切り飛ばしていた。


「やるな。だがまだお前に負けたわけじゃない」


「お前は力に呑まれかけている。このままでは自滅だぞ」


「そんな事はこれを止めてから言うのだな!」


瞬間獅子の体が消えたと思うとレジリエンスは遥か後方へ吹きとばされていた。


レジリエンスが巨木に叩きつけられ火花を散らしながら宙に舞い、地面に沈むまでに4度の衝撃を受けた。


背中から倒れこみながらレジリエンスは弱点を探るべく爪痕が走る右手で三角形を描き上方を横薙ぎしながら探知魔法プサクフを唱えようとする。


「魔法は使わせん!」


ガッシングラムの高速攻撃はレジリエンスが右手を動かす間3度彼の体を吹き飛ばした。


レジリエンスは木々の密生している中に身を隠す。


(ここならスピードを出せまい。だが火のエナジー量が心許ない。身体強化無しでは奴に対抗できない。どうする?)


レジリエンスがこう考えている間にガッシングラムが跳躍して爪を振り下ろす。


それを同じく跳躍でかわすが若獅子は恐るべき瞬発力で飛び上がり、レジリエンスを追い越す。


「しまった!?」


猛烈な蹴りがレジリエンスの背中を襲い藍色の鎧は崖にめり込み、落下する。


知らぬ間に両者は森の中の木のない空き地に出ていた。


「先代に何か言われたんだろうが、殺すつもりで来ないとお前が死ぬぞ。お前に恨みはないが新たな守護者として実力を示す必要があるからな」


「そうか。だが約束は守るためにするものだ」


「後ろは崖。逃げ場はない。諦めろ。こんな状況で勝ち目はない」


「方法はある」


レジリエンスが崖に対して垂直に飛ぶ。


「身体能力では俺には勝てん」


続いてガッシングラムも飛ぶ。


両者の体が空中で同じ高さに来た。


「今だ!」レジリエンスが崖を蹴って更に跳躍する。


ガッシングラムの爪が空を切る。


「何ッ」


ガッシングラムの体は崖から離れすぎていて相手と同じ事は出来ない。


異世界の赤黒い太陽がレジリエンスの体に火のエナジーを送り込む。


レジリエンスの両腕がガッシングラムの頭頂部を掴む。


レジリエンスはガッシングラムの頭の上で逆立ちしている状態となる。


「ハアッ!」


「ガハッ」


その状態で反動をつけた蹴りを腹部に叩き込む。


吹き飛ばされ、大地を跳ねるガッシンクラム。


レジリエンスはその体をバックブリーカーの要領で持ち上げた。


「風に当たって頭を冷やせ。その姿と力が何の為にあるのかをな」


そう言いながらガッシングラムの体を揺すって体全体で三角形を描き上面を薙ぐように投げ飛ばす。


「グオオオッ?」


ガッシングラムの体はプノエー(ギリシア語で突風の意)で強化された投げで先程の空き地にガッシングラムを叩きつける。




「効いたぜ。あんたを認めよう」


「リーダーや守護者はもう少し冷静さがいるんじゃないか」


「かもな。何かあったら言ってくれ。今の事先代の事含めて世話になったからな。出来る限りのことはする」


「そんな時が来ない様願いたいな」


「違いない」


2人して笑う。お互いこんなに笑うのは久しぶりだった。




こうしてE₃のS計画は阻止された。実行犯は2名を除いて逮捕された。


しかしこの事件の裏で人とUMAが友情を結んだ事


それを導いた誇り高き獣王がいたことを知る者は少ない。



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