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魔甲闘士レジリエンス   作者: 紀之


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第19話 凶風襲来




 「まさかニンキナンカが破れるとはね」


K県ga市。


f市の隣にあるこの市のある住宅街に人間型UMAヒトガタ「一家」の住む家がある。


その一室のPCに全身銀色の怪物が熱心にキーボードを打ち込みながら呟く。


「あなた、入ってもいいですか」


『妻』のノックと控えめな口調で彼の姿が怪物から日本人男性の姿に変わり、画面を急いで切り替える。


「おはいり」


ヒトガタが十年ほど前s市の駅前で記憶をなくし座り込んでいた彼女とその赤子を引き取ったのは全くの偶然だった。


先日フライング・ヒューマノイドに指摘された通り、他の生物への外見のみの変化という、UMAとしても最底辺かつ、その身体能力も人間並みしかも外見はいかにもな怪物と人間にもなれない自分。


そんな自分でも家族くらいは作れる。


そんな思いもあった。


ただし彼女とその連れ子が自分と同じ種族になるかはわからない。


『時代に取り残された女』


その第一印象に違わず、彼女は万事控えめで家族に献身的だった。


彼女からは自分達を引き取った理由を尋ねられることもなくただ感謝の言葉を聞いただけだった。


そういう人間だったからこそこの2人に親近感とも同情ともとれる物を感じて今に至る。


「渋谷の交差点ですか」


「取引先が近くてね、ま、観光がてらといったところかな」


「お仕事頑張ってくださいね」


コーヒーを置いて影のように去って行く。


「UMAになったら性格も変わるかな?」


本気にはしていないがつい口からそんな独り言を言いながらPCである文章を完成させる。


「新宿の一件でだいぶインパクトは落ちてしまったな。慎重になりすぎた。ここからは派手にいかないとな」


部屋の一角には彼しか見えない金属製の箱が置いてある。


箱には中性的なそれこそ男にも女にも見える人物が描かれている。


風の四元将テベリスの鎧の入った箱はその力で特定の者にしか知覚できないようになっていた。



『ホンジツ12ジニシブヤスクランブルコウサテンニテ、オオクノヒトヲチッソクシサセル。トメラレルモノナラトメテミタマエ。コレガゲンダイニオイテ自由ヲエル、ユイイツノホウホウダトカクシンスル』


ゴールデンウイーク明け直後の警視庁に『自由の風』を名乗る人物からの犯行予告が届いた時誰も相手にしなかった。


その為犯人が予告通り犯行を実行した事は世間から凄まじい非難を浴びた。


建物内ではない。


予告通り交差点で数百人の人間が原因不明の酸欠による窒息死を遂げたのだ。


それは完全なる無差別殺人で年齢・性別・職業を問わず、車両内に居ようと歩いていようとお構いなしだった。


当然マスコミは連日この話題で持ちきりだった。


某国による秘密兵器の実験。


集団催眠による自殺。


いやいや実行犯は特殊能力を持った怪物で手紙の送り主はその飼い主だという説もあった。


日本全国が推理合戦に明け暮れる中それをあざ笑うかのように新たな犯行声明が出された。


二番目は中部地方のn市。


三番目の京都市での多数の外国人を巻き込んだ犯行は日本の安全神話の崩壊における外国人観光客の激減を招く事態となった。


いずれも最初の犯行より犠牲者は少ないが手口は同じものだった。


懸命な捜査にも関わらず警察は何の手掛かりも得られないまま、九州地方のfu市次いで北海道にも同様の事件が起きた。


「日本中パニックだな。先週は北陸のg市、今週は関東のs市だ。大学にも学生や親御さんから休校しないのかという連絡がひっきりなしに来ているよ」


八重島修一郎がげんなりした様子でぼやく。


「学校でもそういう質問があったけどしないって。学年主任の大沢先生が言ってた。クラスの男子が『自由の風』がここに来てくれないか、なんて言って先生に滅茶苦茶怒られてた」


八重島紗良の言葉には不安と呆れが入り混じっていた。


「そうだな。誰か特定の人物を選んでいるわけじゃないからもし来たら全滅だな」


芹沢達人の言葉に紗良は


「他人事だと思って怖い事言わないでよ。屋外だと狙われるからって外使う部活はずっと活動できないし、体育館は連日取り合いでこっちの助っ人稼業も休業中なのよね」


「その分勉強できていいんじゃないのか?」


「あのね、こっちは青春時代の貴重な時間を浪費してるの。フラストレーション溜まってんのよ」


「だからそれを勉強にぶつければいいんじゃないのか」


「さあさ、食事の時くらいは暗い話はやめにしましょう」


子供二人のじゃれあいを制して梓が大皿を持って現れた。


「これだけ、か」修一郎の声は諦めが入っている。


相次ぐ事件の影響で物流はストップしていた。


被害者は交差点にいる人間、つまりトラックや車を運転しているドライバーも含まれていた。


安全の確保ができるまで休業する業者が全国で続出していた。だがそれがいつになるのか誰にも分らなかった。


「仙波さん店をやっていけないからって田舎に帰るそうよ」


梓がそうポツリと漏らす。


仙波さんとは近所で八百屋を営んでいる夫婦だ。


「ごめんなさい。言ったそばから」


「いや、寂しくなるな」修一郎は梓を気遣うのだった。




夕食後


「犯人がこの県に来るだと?」


「可能性は高いってだけだ。犯人は日本全国にある政令指定都市を狙っていて、そろそろ全国を一周する。残りでs市に近く、まだ狙われていない政令指定都市はs市の隣の県にあるt市かこのK県のy市だけだ」


「まだあるな。この県はga市も政令指定都市だ」自分の書斎で達人の推理を聞いていた修一郎は補足するように指摘する。


「確率三分の一か。外れる可能性もあるが。問題はどんな奴でどんな方法で屋外で酸欠状態を作っているかが全く判らない。姿は目撃されていないからどのくらい事件現場に留まっているのかもわからない。こっちが到着しても犯人が逃走済みという事は十分あるというのも厄介なところだ」


達人は椅子に座って考え込む。


「酸素・・・空気・・まさか風の四元将か?」


「天候を操るんじゃなかったのか?異世界のあの人の話では」修一郎は達人の考えを突飛なものではないかと思う。


「八重島さんの言う通りかもしれないし、そうじゃないかもしれない。だが後者ならそいつは鎧の力を熟知している事になる」



翌週狙われたのはt市だった。


行動も以前と同じでその日の朝に犯行声明を出し、正午に実行する。


いかに行動制限を掛けようが生きる為また自分は大丈夫だという根拠のない自信で出歩く者は後を絶たない。


レジリエンスを装着した達人は急行したが到着した時はすでに犯行は終わり、探知魔法プサクフにも何の反応もなかった。



「間に合わなかったか」


流石に鎧も自分も知らない場所に行くのはいかに次元移動とは言え時間がかかるのだ。


どんよりと曇った空を見あげ歯噛みする。


(そう言えば犯行日時はいつもこんな天気だったな。それも関係あるのか?だが晴れていると行動しない。それが犯行日の特定にどう繋がる?)


残るはy市かga市か


八重島家へと戻って来た達人は地図アプリを見ながらga市が先日のニンキナンカの事件そして自分の母親らしき女性が住んでいる場所に含まれているのを知った。


(行ってみるか)


姿無き殺戮者の毎週のように行われる連続大量窒息死事件は日本全国に行動制限措置が政府・自治体から発令される異常事態となった。


要は不要不急の外出を控えろというものだったがそれが個人の判断に任されている、というのが現状だった。


つまりある者にとっては重要でも別の人物にとっては実にくだらない用件に思えるという事がまま起きるのである。


外を歩いている人間に大声とか拡声器まで使って注意という名を借りた非難を浴びせるのが日常の風景になりつつあった。


そんな事は達人にとっては気にも留めない事だったが、さすがに同居人は違った。


「外出するなら、これ買ってきてくれる?」


八重島梓がメモと買い物袋を達人に渡す。


「最近はどこへ行っても品薄でしょう?」


「ええ。だから色々と回ってくる必要があるでしょ?」


こういう梓の気遣いは見習うべきだなと達人は思う。



ga市内には大きな交差点等の人通りの多い場所は以前に狙われた都市程のインパクトは無いように思えた。


それでも人通りは以前降りた時よりも確実に少なかったが、スーパー等の店に並んでいる商品は平日の午前中の早い時間という事を差し引いても少なすぎた。


(ここを狙うとしてもy市の後だな)


達人の足は自然とあの母子がいたあの公園へと向かっていた。


その途中の一軒家から子供が飛び出してきて達人の足にぶつかった。その後ろから困った顔をした母親が駆けてくる。

 

「すみません。急にこの子が」


「いえ。大丈夫かい」


「平気だい」


男の子は顔をクシャクシャにしながらそう言った。


「その、大変ですね」


俺の顔を覚えていますか


喉まで出かかった言葉をようやく飲み込んだ達人に


「ええ。遊びたい盛りだから本当に。あの何か?」


その時どこかの家から『家に入れ』という拡声器の音が木霊した。


女性は子供を家に入れると達人の様子から何かを察してそう尋ねる。


その眼には不安の影があった。


「・・・・芹沢達人という名前に心辺りは?」


「・・・・・いいえ。存じ上げませんわ」


その言葉を聞いた女性の肩がビクリと小さく動いたのを達人は見逃さなかったがこの状況で深く追及することは出来なかった。


「そうですか。失礼しました」


再び住宅地に木霊する耳障りな拡声器の非難を聞きながら達人はga市を後にした。



そのまま八重島家へは帰らず明存続委員会へと足を向けた達人は黒川博士との面談を申し込んだ。


「一体何の用だ。我々は忙しいのだが」


「そちらの持っている風の四元将テベリスの情報が欲しい」


「生憎と名前と類推できる能力くらいしかない。後は行方が分かっていないというくらいだな」


「あんただって今回の事件の実行犯がそいつだと思っているんじゃないのか?」


「何故だね?そういう能力を持つUMAかもしれん」


「人を殺すことが自由につながるだのという発想や表現をする生物が他にいると思うか?」


「いる、と私は思うね。連中の中にはそれこそ気が遠くなるような年月を生きているモノもいる。そういう個体は確実に人間とその社会を知りその弱点を突いてくる。今の日本の状況を見ろ。この状態が続けば遠からず日本の主要都市機能は完全に瓦解する。政令指定都市を一通り巡った後はそれに満たない都市を次々に襲いだすだろう」


「だからこそだ。襲撃地の予想が立てられる最後のチャンスは今しかない。あんたのこの事件に関して考えている事を何でもいい。教えてくれ」


「殊勝だな。だがあくまで憶測でしかない。お前犯行時の天候は気が付いているか?」


「ああ。曇天だった」


「そこからわざわざ屋内ではなく屋外を狙うという点とその被害範囲からそいつは空中で何かしらの方法を使っていると見ていい。つまり晴天だと影で位置だのシルエットがバレる事を恐れていると見るべきだ。ここで問題なのはそうする理由はこの状況でも誰がやったか分かる奴に向けての挑発とみるか、そいつを恐れているかだが」


「恐らく前者だろう。その中には確実に俺が含まれている」


「かもしれん。そして被害者全てに外傷はない。かなり大掛かりな魔法を一瞬の内に使えるという事だ。それについては今分析中だ。おや、今速報で奴は具体的な日時を指定してきたぞ。これは今までに無かったことだ」


博士の目は『勝てるのか』と問いかけていた。


「なんとしても止める」


(刺し違えてもな)





その予告通り翌週K県y市での犯行を予告した犯人と対峙するためレジリエンスは事前に調査していた交差点近くの一番高いビルの屋上に正午数分前に到着した。


読み通り曇天の中行動制限が欠けられているにもかかわらずかなりの人の姿が見えた。


(俺を見ているのか?その上でもやるのか?)


正午と同時に達人は両腕で大きく三角形を描き「アクティノヴォロー」(ギリシア語で照らす、輝くの意)と叫ぶ。


頭上に眩い光が放射され、空中にいる何かの影を浮かび上がらせる。


居場所を悟られたとわかったそれは一種の光学迷彩を解いてついにその姿を現した。


「その姿お前がテベリスか?」


「随分遅かったじゃないか、レジリエンス。現場に来た君を衆人環視の中ギャラリーごと葬るまでが僕の計画だからね」


テベリスの姿はパノプリアと違い完全に人型である。


まず人目を惹くであろう、麦わら帽子とかシルクハットのつば状の部品が目にあたる部分でぐるりと頭の周りを囲っている。このため達人は装着者がどうやって外を見ているのか不思議だった。


羽を模した肩アーマー


戦闘機の機首のような胸甲


腕甲は弓を左右につなげ弦に当たる部分に一枚の板金を渡した形をしている。


足は矢じり状の鋭くとがっていてくるぶしから大腿部は魔法の(ソーサリィメイル)全般に使われているアンディロス鋼製の黒い骨格がむき出しの状態だった。


「なぜこんなことをする」


「決まっているだろう。彼らの自由の為だよ」


「命を奪うことがか?」


「そうとも。人間は様々なものに縛られて生きている。そのせいで本当の自分を解放できない。そんなことをすれば大抵鼻つまみ者さ。君自身も体験したり、見たりしてきたはずだ。仮に戒めをほどいても新たな鎖が生きている限り人間を縛るのさ。だから死とは解放であり慰めなんだよ」


「そんな事を全員が望んだのか。お前の力なら確かめることもできるはずだ」


「僕は生憎最大公約数を尊重する方でね」


「それは傲慢というものだ」


その言葉が終わらない内にレジリエンスの周囲に複数の竜巻が発生する。


(これが奴の力か。だが)


達人もレジリエンスに備えられた元素変換機能を用いる。


するとレジリエンスの周囲に大量の水滴が発生して落下し、レジリエンスの体を濡らす。



『火は凝結して風になり風は液化して水になり、水は固化して土になり、土は昇華して火になる』


この場合は風を液化し水に変えたのだ。


間を置かず杖先から水の銛タイダルキャリバーを発生させ、投げつける。


杖と銛の部分を繋ぐ青い水のエナジーで出来た糸がテベリスに向かって伸びていく。


周囲の水分を最大限活用した、いつも以上に長く巨大なものだ。


(これが通るか?)


建物の周りでは2体の戦いとそれによって生じた異変に気が付いた人々の避難が始まっていた。


他の水魔法は万が一外した時彼らを巻き込みかねない。


火は凝結され、風は同属性。この二つは無効化されるか効き目が薄いとみるべきだ。さらにレジリエンスの使える土魔法ではテベリスへそもそも届かない。


よってこの攻撃方法しかないという訳だった。


「無駄だよ」


空中で棒立ちと言っていいテベリスの周囲に暴風が渦巻き、彼の眼前で銛は弾かれる。


(風のバリヤーか。風の流れから奴の上下はガラ空きだが?)


バリヤーの死角目掛けてレジリエンスも銛を操るが、その風圧はその攻撃に付け入る隙を与えない。



テべリスは遥か高空に飛び上がる。


水の銛は空気中の水分子を糸に変換し追いすがる。



「そんな悠長なことをしていられるかな?」


レジリエンスのいる建物の四方で突如ビルが切断され、ガラガラと残骸が崩れていく。


同時に地上の悲鳴や怒号も大きくなる。


この惨状に気を取られたレジリエンスのいる建物もまた周囲の建物同様真ん中から横一文字に切断された。


突然の息苦しさを感じながらレジリエンスは別の、テベリスの背後にあるビルへ飛び移る。


「答えはそれじゃないよ。さあ真相にたどり着けるかな」


テベリスは現れた時同様空中で『棒立ち』のまま笑う。


真空とそれに伴う旋風の刃


(カマイタチか。しかし奴も指摘した通り犯行で使われたのはこの技ではない。被害者に外傷は全くなかったからな)


そこでふとある事に気が付く。


(おかしい。何故俺の考えている事を奴は言い当てたのだ?ソーサリィメイルは魔法による精神攻撃を防ぐ機能があるはずだが?)


尤も先日邪竜病を受けた達人である。例外はあるとも思う。


(だが奴の様子から人の心を読むほどの集中力を要する魔法を使っているとは思えない)


「さあ、君も自分の信じる事由の為にもっと足掻いて見たまえ」


レジリエンスは今度は杖を風のエナジーによるボウガン・トルネードキャリバーに変化させる。


「馬鹿め。このテベリスからは逃れられん」


風の魔法は情報の伝達や分析を最も得意とする。


故に風を四元将たるテベリスの緑色の装甲は風のエナジーと最も親和性が高くなるように調整されているのだ。


その能力を最も発揮する、頭部に備えた最高峰の精度を誇るエレメンタル・センサーと三百六十度の視界を確保する例のつば状の部品はいわば現代兵器で使われるディスクレドームの役割を果たしている。



よってレジリエンスの移動経路や行動は完全に筒抜けだった


他の鎧や魔法使いはこうはいかない。他のソーサリィメイルは顔や腕、杖そして声で目標や行動を鎧へ指し示す必要がある。


鎧自身とそれが司る属性の特性の相互作用による高い意思伝達能力で指一本動かさず、複数の魔法を駆使する。


これを怠け(テベリス)と言わずなんであろうか。


(次は・・これだ)テベリスは不敵に笑う。


彼の頭の上にはいつの間にか雷雲が形成されていた。


「今度は雷を落とすつもりか。だがその前に撃ち落とす」


現状レジリエンスの持つ武器・技でこのボウガンが最速を誇る。さらに言えば威力もかなりの物がある。



(効きが悪くても装甲の薄い部分を狙えばダメージはあるはずだ。いかに思考を読まれていたとしてもこいつの初速は音速を超える。人間の反射神経では捉えられないはず)



テベリスの死角(と思っている)真後ろのカマイタチで半壊したビルから、テベリス目掛けボウガンを放つ。


「落ちろケラヴノース()!」


勝利を確信したテベリスが叫ぶと閃光と同時に轟音が響く。稲妻がレジリエンスの体を直撃した。



「が、あああッ」レジリエンスは全身から煙を上げ、激しい痛みと高熱でふらつきビルから落下する。


「まだ生きているとは驚きだ。信じ難い程の頑強さだ」


その死を確認すべくレジエンスの間近まで降下したテベリスは素直に称賛の言葉を送る。


テベリスとしては同じ物をもし受ければこちらは確実に死ぬレベルの稲妻を放ったのでこの結果は意外だった。


さらに信じがたい事にはこの男はゆっくりとだが立ち上がったのだ。


「結果は見えている。大人しく死んだ方が君の為だよ。君の人生には何にも良いことなどないじゃないか」


「お前、俺の心を読むのか。しかし」


「もちろん魔法の鎧(ソーサリィメイル)には物理的・精神的な魔法防御が備わっているが例外もある。

あのニンキナンカの邪竜病のようにね。しかし君の鎧の情報伝達を司る風の魔法の源たるその頭部の宝石はこのテベリスの装甲と同じものが使われている。つまり2つを同調させることで君の心を読めるのさ」


「そんなこと、があっ」突如息苦しさに襲われ達人はもがく。


「最後に一連の犯行の答え合わせだ。『大気変換』の魔法で大気組成を一時的に変えたんだ。今君の周りの空気は二酸化炭素のみ。他の被害者と同じように苦しみながら死んでいってくれ」


苦しみながらも達人は右腕をテベリスに向ける。


途端にテベリスも苦しみだす。『大気変換』の魔法を反射魔法で打ち返したのだ。


「ぐぬ、味な真似を。だが流石に2度目の奇跡はないだろう。跡形もなく消滅するがいい!」


変換魔法を解除したテベリスが雷雲を再び呼びだす。


レジリエンスのダメージは大きく、もはや動くことはできない。


「ケラヴノース」


轟音と共に稲妻がレジリエンスに落ちていく。


(ここが死に場所か。だが奴を止めなくては。その為に何か方法はっ)


「往生際の悪い。試作機如きが完成品たる四元将に敵うはずがない」


しかし。


その稲妻はその形を鳥の姿へ変えていく。


空中に霊鳥サンダーバードが姿を現した。


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