プロローグ
20XX年都内某所
ここにある文明存続委員会なる組織の大きな建物の中にあるさな体育館ほどの1室で男が何かの機械を操作していた。
機械はケーブルで部屋の中央の台座とその周りを取り囲む4基の円柱に繋がっている。
その台座に4人の10代後半と思われる少年が立っている。
全員同じようにすり切れたTシャツとジャージ下を身に着けている。
4人の内1人は坊主頭で後の3人は髪の長さと髪形こそ違えど櫛を掛けた様子もないボサボサだった。
「今からお前たちには魔法の鎧を回収してもらう。場所は塔の最上階らしい」
「らしい、とはないかもしれないということか?」
「三島信彦、君の言う通りかもしれないし完全な形で残っていないかもしれない。そこにある可能性が一番高い」
「帰りの方法は?俺達をまとめて処分するつもりじゃないだろうな」4人のうち最もひねくれ者の坊主頭の毛利尊が問う。この男が今日まで生き残って来た事は周囲から不思議がられていた。この髪型も他人を少しでも威圧しようという心づもりなのだが、付き合いの長い他3人はそれが形ばかりであると知っていた。
「お前たちをどうかするならここに連れてくる必要はない。帰還するには鎧の『機能』もしくは時折向こう側にゲートが開く。それを使え」
「そこから例の怪物共が出てくるって事か?それにケイが見当たらないが」と鈴木清司はスポーツ刈りの頭を巡らせて周囲を見る。
「彼は別件を担当してもらっている。よって不参加だ」
血縁者は得だねと尊がぼやく。
「怪物と遭遇する可能性は?」
「もちろんある。その時は全力で逃げろ。勝ち目は万に一つもない。なにせこれが装置の初起動なのでな」
「おい、今生の別れかもしれないぜ。達人、お前もお優しい所長に何か言ったらどうだ?」
「ない。生きて帰ってくる。それだけだ」これはもちろん仲間3人に向けたものである。
「そうあることを祈っている。では始めるぞ」
所長と呼ばれた男、黒川博士は機械のスイッチを入れていく。4つの柱から赤黒い光が発せられ台座の真上に収束する。
それが大きくなったかと思うとリング状になり少年たちの足元に落ちる。
リングの内側は暗い穴となり4人は驚愕の表情を浮かべそこに落ちていく。
それは黒川から見れば彼らは台座に『埋まって』いくように見えた。




