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比較的最近更新した短編のまとめ場所

方向音痴の悪役令嬢はヒロインを虐められない

作者: リィズ・ブランディシュカ



 ノエル・フロイヤー。


 目にまぶしい銀色のまき髪が特徴的な少女。


 その少女は方向音痴だった。


 だから悪役っぽい事をしようとしても、目的地にたどり着かなかった。


「こうなったら、意地でもイベントが起こる場所にたどり着いてやるんだから!」


 ノエルは様々な工夫をすることにしたのだが。


 残念ながら、その工夫は実らない。





 貴族令嬢として乙女ゲームの世界に転生したノエル。


「乙女ゲームの世界に転生。夢みたいな事が現実に起きるなんて!いたたた、ほっぺつねっても目が覚めない。本当に夢じゃないのね」


 彼女は、自分が悪役令嬢に転生した事に歓喜した。


「夢に見た悪役令嬢の転生かぁ。素敵ね!こんなに心が躍る事があるなんて!」


 ツンデレ好きだった彼女は、自分がやっていた乙女ゲームのツンデレ悪役令嬢ノエルに惚れこんでいたため、そのノエルになれて飛び上がるほど嬉んだ。


 しかし、転生したその少女は、ノエルとは違って方向音痴だった。


 そのため、悪事をなす前に目的地に着かないのが問題だった。


「ここはどこ! どうして目的地に着かないのよ! もおおおお! これじゃあ悪役令嬢に転生した事を楽しめないじゃない!」







 問題を解決しようとしたノエルは、性格な方角が分かる魔法のアイテムを手にした。


 喋る磁石を手にしたノエルは、これで悪役っぽい事ができると歓喜したが、なぜかその磁石は壊れていた。


 そのため、序盤のメインイベントに参加できず、ヒロインを虐めそこなってしまった。


「ヒロインに水をばしゃっとかけて高笑いするイベントだったのに! これじゃ何もできないじゃない!」


 ならばとノエルは次の手を打つ。


 空間把握能力に長けた、正確な方角が分かる使用人を雇って、乙女ゲームの舞台である学園につれまわした。


 しかしそこでも問題が発生した。


 なぜか、その使用人が体調不良になってしまったのだ。


「なんでよおおおおお! ヒロインを倉庫に閉じ込めて風邪をひかせたかったのに!」


 そういったわけでノエルは、中盤のエピソードに参加できず、メインヒロインに会う事すらできなかった。


 まだまだとめげなかったノエルは奥の手を使った。


 絶対に迷子にならないように、方角の神様の加護をゲットした。


 その世界には神様の力が特殊な札にこめられて、教会などで売られていたため、ノエルは活用することにしたのだ。


 これで、方向音痴で迷子にならない、と思って終盤のエピソードに臨むノエルだったが、しかしダメだった。


 ノエルはまた、迷子になってしまった。


「神様もそっぽ向く方向音痴っていったいナニ! 私呪われてる!? 呪われてるの!?」


 こうしてほとんどのエピソードで悪役令嬢らしいことができなかったノエルは、しょんぼりして自宅の部屋にこもった。


 ノエルは分からなかった。


 様々な手を打ったのに、なぜ自分は迷子になってしまうのかと。








 俺は転生者だ。


 アスクって名前だよろしくな。


 とりあえず、普通の貴族の男の子。


 とある乙女ゲームの世界に転生したけど、モブとかそういう感じの存在だ。


 前世で知っているゲームの世界に転生したみたいだ。


 だっていうのなら、きっと何らかの役目があるんだろうな。


 そう思った俺は、注意して周囲の人物を観察。


 すると、知り合いである女の子が悪役令嬢であると分かった。


 だからこれはもうやるっきゃないでしょと、思った。


 それはあれだ、悪役になる子の運命を阻止して、ヒロインの恋を成就させるのが俺の役目なんだろう。


 そうに違いない。


 ってわけで俺は、悪役令嬢ノエルの運命を変えるために努力をした。


 ヒロインに悪事を働かないように磁石を壊したり、使用人を説得したり、迷子の神様の加護を使ったり。


 って具合にな。


 かなり疲れけど、なんとか最後まで主要な悪役イベントを阻止できたと思う。


 いやぁ、良い事をやるってのは気持ちのいいもんだ。よかったよかった。


 悪役令嬢であるノエルちゃんも断罪されなくて良かったなあ。


「もおおおお! なんでよ! なんでうまくいかないのよおおお。神様のばかああああ!」


 なんだかものっすごく悔しがっているように見えるけど、気のせいだな。


 うん。



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