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09

しずくとかえでと三人でデートをする事となったカズヤ。

カフェ的な店に到着しテーブルに着こうとするも、しずくとかえでは対面に座った。

カズヤはどちら側に座るか選択に迫られたのだった。


しずくとかえでは無言でこちらに来いと言わんばかりの表情をしている。


(くっくっく。(ぬる)いな。今まで数々の策士とデートしてきた俺にとって(ぬる)過ぎる選択だぜ…)


カズヤは空いている片方の一人掛けの椅子を掴んだ。

二人の内どちからを選択するのでは無く、何方とも選択しない事を選択。

などと意味不明な事を考えながら、一人掛け椅子を二人の側面に配置しようとした。


(ん? あれ? 動かんぞこの椅子)


椅子がビクともしないので、改めて椅子の足元を見ると、しっかりと固定されていた。


(なっ、何いいいぃぃぃぃっ!!! 椅子が固定されている…だと…そんな馬鹿な…これでは一人用椅子の機動力と言う長所が……はっ!)


そこでカズヤはある事に気づいた。


この店を最初に発見したのはかえで。

かえではカズヤの策を看破し、敢えて椅子が移動出来ないこの店に来るよう誘導。

そして、しずくと対面になるよう布陣。


(出来る…まさかこんな身近に伏兵が潜んでいたとは…)


言うまでも無く、カズヤが勝手に妄想しているだけで、かえでは近場の目に付いた店を選んだだけである。


カズヤはその場で立ったまま次の手を考えていると、かえでが手招きをした。


「カズヤさん。宜しければ、こちらに三人で座りませんか?」


かえでは微笑みながら言った。


(馬鹿な…この四人掛けのテーブルと言う戦場において、片方のボックスシートに三人が陣取るだと?…いや、むしろ彼女の戦略を逆手にとって俺が中央に陣取れば…)


カズヤはかえでの策を受け入れ、自分は二人の間に座る事により主導権を握ろうとした。

かえでの言葉により、パニックになっているしずくの手を取り一緒にボックスシートへ向かった。

すると、何を思ったのか、しずくは突然カズヤより先に歩き出し、かえでの隣に座ったのだった。


(なっ、何いいいぃぃぃぃっ!!! 俺より先に中央で布陣を完了しただとーっ!)


カズヤが陣取る予定だった場所は既にしずくにより占拠された為、カズヤは再度立ったまま考える羽目に。

カズヤの隣に座りたかったかえではしずくを説得すると、何とか席を空けてくれてカズヤは二人の間に座る事が出来たのだった。


数分後、カズヤと両サイドの二人との距離関係に変動が。


かえではカズヤと距離を縮め、しずくは逆に距離を開けていた。

二人共カズヤに想いを寄せているので、かえではストレートにカズヤに密着。

それに対してしずくは、恥ずかしさの余り、カズヤと密着する事が出来なかった。


一方、カズヤはと言うと、毎度グイグイと来るかえでの気持ちには何となく気づいてはいるが、辛辣(しんらつ)な態度を取られて続けているしずくに対しては、言うほど嫌われていはいないだろう程度に思っていた。

カズヤ的に二人は恩人の家族であると同時に、自分にとっても家族同様と言う想いがあるので、異性として見る事は出来なかった。

しかし、今回は自分から誘ったデートなので、仕事デートと同様に二人にはドキドキを堪能して貰う気満々だった。


この世界では(みずか)ら男性に対して手を繋ぐ等の接触行為を行う女性は少ないが存在する。

女性は男性に会話や接触行為を求めているものの、貞操観念が異常な程高すぎる男性は女性に対し距離を取っている。

故に男性からのアプローチに免疫が無いこの世界の女性達は男性からの手を繋ぐ等の接触行為だけでドキドキしてしまう。

それはかえでも例外では無かった。


(よし、布陣は整った。ならばこの二人にはたっぷりと堪能してもらうとするか、俺の兵法(へいほう)の数々をっ!)


こうしてカズヤは二人と普通のデートが始まった。


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