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夜まで時間を潰す為ネカフェへ向かうカズヤだったが、道中で再度マスターと遭遇した。


「また会ったわね、さっきは急いでたみたいだったけど、もう用事は済んだのかしら?」


「あ、いえ、それが…」


用事は済んではいないが、ある理由で夜まで暇になった旨をマスターに話した。


「それじゃお店で…」


「行きます!」


カズヤはマスターが話し終える前に食い気味で返事をした。


「ま、まだ言い終えてないのだけど…まあいいわ、それじゃ行きましょう」


数分後、店に到着するとカズヤはキョロキョロを店内を見渡した。


(あっ、三つ子いた。やはり過去か…ならば最悪またここで一からやり直す事も可能か…)


ちなみに三つ子とはカズヤの先輩店員で言葉や行動がよく三人でシンクロしていた事からカズヤは脳内で三つ子と呼んでいた。


店内を歩いていたカズヤは立ち止まり、ある重要な事を思い出した。


「ああああーっ!!」


「ど、どうしたの急に!」


急に大声を上げたカズヤにマスターは戸惑う。


(やり直す…だと…)


カズヤは過去に自分が選択した結果を後悔した事があった。

それはかつてクイーンと呼ばれていたエリカと言う女性に交際を申し込まれたが断ってしまった事。

このままここで働けばいずれエリカが客として来る事になるので、過去に後悔した選択を修正出来るとカズヤは考えた。


(こ、これは神様が与えてくれたチャンスだ! ならば俺は…)


「ちょ、ちょっと。大丈夫?」


(はっ! 考え事に夢中になり過ぎていたか…)


「だ、大丈夫です! ここで働きます!」


「えっ!? まだ何も言ってないけど…でも大丈夫よ、人手は足りてるわ」


(なっ、何いいいぃぃぃぃっ!!! 人手が足りてるだとーっ!! そ、そんな馬鹿な…使えない三つ子しか居ないはずなのに…何故だ…)


カズヤは最初にこの世界へ来た時とは違う行動を取りまくっていたので少しずつこの世界の未来は変化していた。


(ぐぬぬ、今から修正は可能なのか…? とにかくここで働かなければエリカさんと会う以前に今後の生活もままならん…)


カズヤは何とかマスターを説得し、この店で働く許可を得たのだった。

軌道修正が出来た事に喜んでいた矢先、早速マスターはカズヤに仕事を与えた。


(よしよし、ここまでは順調だぜ。最初の客の名前を覚えてたら検証出来たんだが…仕方あるまい)


一人目とのデートが終了してから住む場所をマスターに手配してもらってその日は仕事が終わった。


カズヤが仕事終わりの挨拶をして店を出ようとした時にマスターは大事なアレを返してもらおうと、カズヤを引き留める為に声をかけたがカズヤの耳には届かずそのまま店を出て行ってしまった。

明日にでも返してもらおうと思ったマスターは特に気にする事も無くその日は家に帰ったのだった。


「ふぅやれやれ、一時はどうなる事かと思ったが、ちゃんと進行してるっぽいな。このまま続ければきっと…」


カズヤは何気に公園へ向かい、例のベンチの前に立っていた。


「この糞ベンチのおかげで散々だったが、過去をやり直せるなら今は感謝をしておくか。まあもう二度と座る事は無いだろう…」


カズヤは数秒間目を閉じて思い出に浸りながら一息ついた瞬間、近くを歩いていた酔っぱらいの巨漢おばさんに猛烈に激突され吹っ飛び、ベンチに座る形となった。


「あら?ごめんなさいねー」


巨漢おばさんは何事も無くその場を後にした。


「ぐぬぬ、糞ババアがっ!」


苛立ちを覚えながら立ち上がったカズヤはマスターに手配してもらった部屋へ向かいその日はそのまま布団に入った。


次の日の朝、カズヤは何時も通りの時間に店へ向かった。


(よしっ! エリカさんに会う為に頑張るぞ!)


カズヤは過去をやり直すべく、新たな気持ちで店に入った。

店に入ると、ある人物がカズヤに笑顔で挨拶をしてきたのだった。


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