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カズヤはディアナと会話中、ある作戦を思いついた。


(はっ…! 俺から動けば彼女の策にはまる事は明白、しかし、彼女から仕掛けさせれば…いけるっ!)


自ら接触行為を行うと逆にドキドキさせられてしまうと思い込んでいるカズヤは先程の様にディアナから接触してくるように仕向ければ良いと考えた。

その際に、ディアナが接近する直前、右手を上げてフリーにしてから密着する。そうする事により次の行動に移りやすくなる。

しかし、それには一つ問題点があった。


(そう…どうやって彼女から接触してくるように仕掛ければいいのか…それが問題だ…仕方ない、ここはまず正攻法でいくか…)


有効な方法を思いつかないカズヤは普通に言葉で軽く挑発をする事に。

むしろカズヤ的にはそれ一択しかなかったのであった。


「ディアナさん、もっと密着しても大丈夫ですよ」


当初泣かせるはずだった相手に何度もドキドキさせられた挙句、更に追い打ちを受けてドキドキが加速するディアナ。

このままではカズヤの(とりこ)になってしまうと思ったディアナは一度離席して気持ちを落ち着かせる事にした。


「ちょ、ちょっと要件を思い出したので席を外します」


(くっ…お花摘みを理由にかわされたか…やはり隙が無い…しかし、俺に考える時間を与えるとは…彼女の兵法も存外(ぞんがい)…)


カズヤはディアナがトイレに行くと思い、その間次の策を思案しようとした矢先、立ち上がって歩き出そうとしたディアナはよろけてしまった。

そして、体勢を立て直す事が出来なかったディアナは倒れこむ様に再び椅子に座る形になると同時に勢いでカズヤの肩に頭がもたれる状態となった。


(なっ、何いいいぃぃぃぃっ!!! トイレに行くと見せかけてからの超密着ヘッドリクラインアゲインだとーっ!!)


因みにヘッドリクラインアゲインとは、再び相手の肩に頭をもたれる事。


ディアナから接触してくる様に仕向けるのはカズヤが画策していた事だったが、突然の出来事にカズヤは右腕をフリーにする事は出来ず、再度ディアナと密着状態になってしまった。


(くっ…彼女は俺の策を正確に把握し、更にそれを逆に利用したって事か…フェイクを織り交ぜての奇策…まさに()()って勝つ…彼女は孫子(そんし)の兵法を的確に実践している…やはり強すぎる…)


一方、ディアナはと言うと、目を見開き現在の状況を把握するのに必死だった為、硬直したままだった。


(この俺がまたもやドキドキさせられる事になるとは…んっ? こ、これは…)


ディアナの行動に度肝を抜いたカズヤだったが、ドキドキしつつも、ディアナと椅子の背もたれに隙間がある事に気づく。

カズヤの右腕は相変わらずディアナと密着しているので動かしにくい状況だが、隙間のおかげで多少無理をして動かせばディアナの背後を取る事は可能。


(くっくっく。彼女の奇策には驚いたが詰めが甘いなっ! デート兵法に()いて相手に背後を取らせないのは基本。それを易々(やすやす)と背後を取られるような攻撃を仕掛けて来るとは…いや待て、彼女もそれは承知のはず…誘ってる…だと…

なるほどな…危ない危ない、もう少しで彼女の術中に嵌るとこだったぜ…)


カズヤが仕掛けるには絶好の機会だが、ディアナのありもしない策とやらを警戒するあまり、打って出る事が出来なかった。

当のディアナはドキドキしている自分を認めたくはない気持ちは徐々に薄れ、逆にカズヤの虜になりつつあった。


そして数十秒後。


(はっ! またもや俺は彼女の(ぬく)もりを堪能させられていた! ぐぬぬ…恐るべき誘導術。しかし、俺もそろそろ動かねば…

策を実行中の彼女は現状の体勢維持に努めている。ならばそこが彼女の弱点! 残り時間も迫ってきた…こうなったら一か八かの賭けをするしかあるまい!)


デートの残り時間もあと僅かとなり、焦ったカズヤは賭けに出る事にしたのだった。


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