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ディアナは緊張のあまり無意識のうちにカズヤの肩へもたれ掛かってしまった。


カズヤはその行為に動揺するもディアナは我に返り直様(すぐさま)手を離し態勢を立て直したのだった。


(馬鹿な…このタイミングで自らの優位性を解除した…だと…これならこちらの必殺コンボを仕掛けてくれと言わんばかりではないか…)


男性から距離を縮めてきたり手を握ってきたりと過去経験した事が無い出来事にディアナは驚き、気持ちを落ち着かせる為ドリンクを飲み始めた。

当初強気な態度を取っていたディアナには既にその面影も無く平静さを保つのに必死ですらあった。

しかしカズヤの目には悠々(ゆうゆう)とした表情でドリンクを飲む、(りん)とした姿のディアナが映って見えていた。


(彼女のこの余裕は何だ…はっ! これは…誘っている…敢えて隙を見せ、俺が仕掛けた時にカウンターで更なるスキルを発動する算段か…くっくっく。俺だから看破出来たが他の男子なら発狂案件だぜ。ならばここはこちらから仕掛けず会話で繋ぐのが得策)


カズヤはディアナからの反撃を警戒し、自称必殺コンボとかいう意味不明な行動を止めて日常会話で様子を伺う戦略に切り替えたのだが…



それから数分後。



カズヤは何度か会話を試みたがディアナからの反応は無かった。


(なるほど、そう言う事か…孫子曰(そんしいわ)くデートは(せい)()って(ごう)()()って勝つ…彼女は正攻法で対峙し奇策で勝つ事を狙っている。中々の兵法だが…くっくっく。

だが甘い! 防御が甘納豆位に甘すぎるっ! 彼女が自らホールドハンズを解除した今、俺は彼女に必殺コンボ仕掛け放題ラッシュに突入している! 会話が通用しない以上攻めるしかあるまい…ならばエンブレイスショルダーを仕掛ける好機!)


好機とばかりにカズヤはディアナの隙を突き、さり気なく肩を抱こうとした瞬間、ディアナは多少落ち着きを取り戻し、再度ドリンクを飲みながら椅子の背もたれに身体(からだ)を預けたのだった。


(なっ、何いいいぃぃぃぃっ!!! エンブレイスショルダー封じだとーっ! くっ…早計だったか…やはり俺の策は看破されている…ならばどうすれば…)


カズヤが手をこまねいていると、落ち着きを取り戻したディアナが口を開いた。


「あ、貴方(あなた)も噂ほど(たい)した事はありませんのね」


泣かせる予定だったカズヤに我を失うほどドキドキさせられた事を恥じたディアナは、それを隠すように強気な態度を取った。

一方カズヤはディアナの言葉を額面通りに受け取り焦っていた。


(くっ…(たい)した事ない…だと…この世界にもこんな強キャラが存在していたとは…彼女を攻略するのは無理ゲーなのか…? いや、まだだ…俺はまだ最強コンボを発動してはいない! いくらデートバーサーカーな彼女でもコンボが直撃すれば…ならば揺さぶってみるとするか)


カズヤは(おもむろ)に顔をディアナの耳元に近づけ(ささや)いた。


「ディアナさんを更なるドキドキに(いざな)う為もっと接触してもいいですか?」


これには流石のディアナも動揺しバッグを床に落としてしまった。

それに気づかずカズヤはディアナとの距離を縮めると同時にディアナはバッグを拾う為、座ったまま前かがみになったのでカズヤと少し離れる形となった。


(くっ…やはり防御されるか…体勢を立て直して更なる策を考えねば…)


カズヤは元の位置に戻ろうとしたその瞬間、バッグを回収したディアナはカズヤが近付いていた事を知らずに体を起こしたので二人は密着状態になった。


(なっ、何いいいぃぃぃぃっ!!! 自ら近接戦闘を仕掛けてきただとーっ! 彼女は(はな)からこれを狙っていたのか! つ、強い…強すぎる…)


ディアナから接触してきた形になったのでカズヤは少しドキドキしていた。


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