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只今カズヤはギャルの上位種であるヤマンバのセイラとデート中。

自分からは話し掛けて来ないセイラにギャルが好きそうな話題を振る為、思案中のカズヤ。


(ギャルが好きな話題って何だーっ! そんなの知ってたら今まで苦労なんかしてないわっ!)


カズヤ、早くも挫折。


(過去のギャルとのデートでの会話を思い出せ! 俺は今までどう対応していた……はっ!)


そこでカズヤは重要な事に気づいた。


(俺は今まで相槌(あいづち)しかしてなかったーっ! 不覚…)


今までカズヤがデートしたギャル達は自らマシンガントークを繰り広げてきたのでカズヤから話を振る必要はなかった。

これは会話目的のデートではあるが仕事でもあるので日常的な会話をしつつドキドキを与える作戦を思案。


会話中、時折セイラと目が合ってもセイラは直ぐ様目を逸らし横を向いてしまう。


(くっ…見つめ合う作戦も通用せんか…ならば…)


カズヤはセイラの正面に座っている。

故にカズヤお得意のホールドハンズ(手を握る行為)は使用不能なのでセイラを褒める作戦にシフトしようとしたのだが…


(褒めるポイントが見つからないっ! ぬぅ…特に何かスキル等を発動してる様子も無いのに何故か強い…流石ギャルの上位種…)


カズヤはおっさんなので若い女子のセンスは理解出来ないのであった。

その後もカズヤは世間話の合間にアクセサリーを褒めたりしたがセイラの反応は薄かった。

因みにカズヤだからまだ会話を行っているが、これがこの世界の男子の場合は終始会話が無い地獄の状態が続く事になる。


そしてデートタイム終了。


(なっ、何いいいぃぃぃぃっ!!! 結局何も出来なかっただとーっ! な、ならば帰路(きろ)でアレを仕掛けるしかあるまい…)


帰り道、例によって店に向かうまでの間、カズヤはホールドハンズを仕掛けようとセイラを見るとスマホに夢中になっていた。

カズヤはセイラの手をフリーにするため「歩きスマホは危ないよ」と優しく言うと、セイラは「ごめんなさい」と言い素直にスマホをしまった。


(あれ? おっさんウザッって言われたらどうしようって思ったが…見た目に反して素直な良い子なのかな? まあそれよりも…ホールドハンズ!)


カズヤは早速(さっそく)フリーになったセイラの手を握った。


すると…


「ひゃっ、セ、セクハラ!」


「ええええーっ!!」


(この世界って男子が女子にするセクハラってあったの!?)


その時、偶然近くを通りかかっていた警察官的な女性が声を聴きツカツカとカズヤに近づいて来た。

カズヤは逮捕されるとおもい何か言い訳をしようにも、言葉が思いつかず口籠る。


「こんなダンディーなお兄さんにセクハラするなんて(うらや)ま…こ、これだから若い子は!」


(今、(うらや)ましいって言いかけた! てか、怒られたのは彼女の方だったーっ!)


セイラは全く悪くはないのに警察官的な女性に謝っている。

流石にこれは悪い事をしてしまったと思ったカズヤは直様(すぐさま)助け舟を出す事に。

しかも何故かキザっぽく…


「これは素敵なお嬢さん。どうやら誤解をされているみたいですが僕から手を繋いだんですよ」


カズヤは意味不明なポーズをしながら言った。

そして、そんなカズヤに見とれているセイラ。


「男性から手を繋ぐなんてありえません!」


これがこの世界の常識。

カズヤは警察官的な女性の考えを改めさせるため実演する事にした。


(ならば使うか、あの奥義を!)


カズヤはゆっくり女性に近づくと彼女の手を取り両手で握りしめた。

更に耳元に顔を近づけセクシーな小さな声で一言。


「これでもありえませんか?」


カズヤの自信通り、この世界の女性ならば手を握られ耳元で(ささや)かれると誰もが昇天してしまう。


(くっくっく。この奥義の前に敵はおらん)


「ひゃ、ひゃ、ひゃぃ」


緊張しすぎてまともに話す事が出来ない女性はカズヤが手を離すとフラフラとした足取りでその場を去っていったのだった。


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