聖夜はあなたと共に……前編
12月23日……私は仕事をしていた。現在午後7時。今日も残業確定で残業中。帰りは日付を跨ぐだろう。
「青木先輩まだ帰らないんですか?」
「ええ、ごめんね。仕事手伝わせてしまって……ゆみちゃんは今帰り?」
私の後輩の笹川ゆみ。正直めちゃくちゃ仕事が出来る子。私の仕事も手伝ってくれてこの時間まで残業してくれたんだ。
「いえいえ、気にしないで下さい。先輩の方が私の倍は仕事していますから……でも、もうすぐ雪が降りそうですので先輩も早めに帰って下さいね。」
私は外を見た。もう既に雨がパラパラと落ちてきていた。今日の寒さを考えれば確かに雪が降りそうだ。
「そうね。早めに帰った方がいいわね。明日から土日だからゆっくり休んでね。」
「はい。では、お先に失礼します。」
そうして私はゆみちゃんを見送った。そして20時、21時と時間が過ぎて行き……
「終わったー!今何時?0時5分……クリスマスイブになってしまった……」
私はオフィスの電気を消して帰宅した。街はイルミネーションがそこら中キラキラしていた。
(今年も1人ぼっちのクリスマスかー……)
私は空を見上げた。空からはチラチラと雪が降り始めていた。
「早く帰ろ……」
私はコンビニでお酒を買ってギリギリ終電には間に合って帰れた。時刻は午前2時……みんな寝ているのでとても静かだった。しかし私のアパートの前に誰か立っていたのです。
「ん……?」
「あ、先輩!おかえりなさい。」
「えっ?ゆみちゃん……?なんで……」
「たぶん先輩は終電ギリギリまで仕事してると思ったのできたんですよ。」
「あのね。ゆみちゃん……気持ちは嬉しいけどさ。こんな夜中に1人でこんな人気のない所にいたらダメでしょ?」
「大丈夫ですよ。私、こう見えて柔道初段ですから!」
「いや……だからって……」
「いいからいいから!中に入りましょうよー!寒いですから!」
確かに寒い中待っててくれたのだから中に入れてあげて今日は泊まっていって貰わないといけないだろう。
私はとりあえずゆみちゃんを部屋に上げて暖房を付けた。
「先輩ってやっぱり綺麗好きですよね。デスクの周りも綺麗ですし。」
「何言ってるの、結構散らかってるわよ。」
「これで散らかってるなら私の部屋見たら卒倒しますよ。」
っと言ってるけどゆみちゃんの部屋は一度行った事があるけどめちゃくちゃ綺麗だった。
「寒かったし、うどん作るけど食べる?」
「いいんですか⁉︎食べます!」
ということでうどんを作ります。
「ゆみちゃんはさ、うどんに卵入れる?」
「入れます!」
「じゃあ卵2つ取ってくれる?」
「先輩も入れるタイプなんですね。」
「うん!美味しいからね。」
「一緒だね!」
そうして1つ目の卵を割ると……
「「あっ!」」
黄身がまさかの2つ……2人して声を上げてしまい笑ってしまった。ゆみちゃんはもう1つの卵を冷蔵庫に直してる間に私はうどんをどんぶりに移していた。
「よし、出来た出来た!」
「それじゃあ……」
「「いただきます!」」
ズズズー……ズズズー……
「うん、美味しい。」
「卵だけだけど美味しいですね!」
「そういえばゆみちゃんはどうやってここまで来たの?」
「えっ、一度来た事あったので覚えていました。」
確かに一度来た事あったけど……
「よく覚えていたわね……」
「ふふふ。だって好きな人ですからね……」
ゆみちゃんが笑った所は分かったけど最後は聞き取れなかった。とにかく身体が温まったので良かった。
「お風呂は……明日にしようかな。ごめんね。もう4時だ!早く寝ないとね。」
「は、はい……」
少し頬を赤らめるゆみちゃん。
「ゆみちゃんベッド使って。私は布団を敷くから。」
「えっ?一緒に寝ないの?」
「ん、」
「ん?」
私はベッドを指挿した。どう見ても2人で眠れるスペースがないのだ。
「分かったら早く寝なさい。朝はゆっくりでいいからさ。おやすみなさい。」
「……おやすみなさい……」
ゆみちゃんはなんか残念そうに寝てしまうのでした。
ここまで読んで頂きありがとうございました。こちらは短編で3話に纏める予定です。
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