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怪物と因習 ~急転直下~

「さて……そろそろ寝ますか」


 殺人犯と一緒にリビングでくつろいでいると、カーペットが敷かれた床に座っていた鳴海刑事が立ち上がってそう言った。


「うむ、その方がよさそうですな」

「自分、支度をしてくるでありますっ!」


 私も鳴海刑事の意見に肯定の返事をして、仁科祥子にも寝るように言った。


「……はい」


 彼女は弱々しく返事をして立ち上がった。

 私は彼女を先に行かせて、二階へ上がっていった。

 二階の寝室ではすでに加山巡査が寝る準備を整えており、ふすまの隣で直立不動で立っていた。


「押忍ッ! 準備が整いましたっ!」

「ご苦労っ!……あ……」


 大倉刑事は気まずい表情をして私の方を……正確に言えば仁科祥子の方か……そちらの方を見て、大倉刑事は何事か悩んでいた。


「か、加山……」

「はっ、なんでありましょうか?」

「……この家に、他に寝室はあるか?」

「は、はぁ……隣の部屋は普段は使っておりませんが、布団を持っていけば寝室と使えるであります」

「ふむ、そうか……」


 大倉刑事はそう言うと、近くに敷かれていた布団をガバッと持ち上げて、寝室を出ていった。


「大倉さん? 何をしているんですか?」


 鳴海刑事の質問に、大倉刑事は布団を持ちながら答えた。


「や……女性を男性だらけの寝室で寝かせるのはどうも……」

「ああ……なるほど……」


……まぁ、見張りを立てればそれでいい。

 私は大倉刑事に、隣の寝室に仁科祥子を寝かせるなら、この寝室の襖と隣の部屋の襖は開けておくようにと命令した。


「うむ、分かった」


 そして、大倉刑事は隣の部屋に布団を敷いて仁科祥子を案内し、そのまま見張りをすると言った。


「それでは、お休みなさい」

「うむ、お休み」


 加山巡査に返事をして、大倉刑事は布団に入る仁科祥子の見張りを開始した。

 私は窓際の布団にくるまり、その隣を鳴海刑事、加山巡査の順で寝ている。

 しばらくすると、呼び鈴が鳴った。


「おや?……誰でしょう、こんな時間に……」


 加山巡査は布団から立ち上がって玄関に行こうとする。私も彼に同行することを進言した。


「は、かしこまりました」


 私と加山巡査は寝間着姿のまま、自宅の方の玄関へ向かった。階段を降りて、廊下を曲がって段差を降りて玄関に立つ。

 こちらの方には我々の靴はないので、私は近くに置いてあったサンダルを使わせてもらった。

 加山巡査は静かに玄関の引き戸を開いた。


「あ、迫水さん……」

「……こんばんは」


 私はその名前を聞いて、思わず振り返った。

 そこには、ベージュ色の作業着を着た迫水幸太郎が立っていたのだ。

 私は玄関の近くに行って外の様子を見たが、車は私達が乗ってきた車とパトカーしかない。ということは、迫水幸太郎は歩いて駐在所まで来たのだろうか?

 ここから迫水家の集落までは、それなりに距離があるはずだ……老齢の迫水幸太郎が歩いてたどり着くにはかなりの労力のはずだが、彼は汗一つかいていない。


「刑事さんも……朝の時は済まなかった……少し別件でイラついておってな……」


 私は社交辞令の言葉を並べたて、どのような用事があるのか問いかけた。


「いや、実はな……仮の話なんだが……」


 迫水幸太郎はどもりながらも、言葉を紡いでいく。


「もし……仮にだが……今ここに仁科祥子がいるのなら、我々に引き渡してはもらえんか?」

「えっ!?」


 加山巡査は小さな声で驚愕の声を上げた。

 私は声は出さなかったが、かなり驚いている……迫水幸太郎は念入りに『仮の話』と言っているが、明らかに仁科祥子がここにいると確信している様子だった。

 私は彼に、まだ仁科を逮捕していないと伝えた。


「……本当にそれでいいんだな?」


 瞬間、迫水から凄まじい気迫を感じた。隣に立っていた加山巡査はゴクリと息を飲んで小刻みに震えている。

 私はそんな状態の迫水に対して、再度同じ言葉を投げかけた。


「……ふぅ……分かった、後悔するなよ?」


 そう捨て台詞を吐いて、迫水幸太郎は加山巡査の自宅の玄関から立ち去って行った。


「こ、怖かったぁ……」


 迫水の姿が歩道の奥に消えて見えなくなった瞬間、加山巡査は腰を抜かしてその場に膝をついた。

 私は加山巡査をなんとか奮い立たせ、寝室まで帰っていった。


「大丈夫ですか、二人共……?」

「何があった……?」


 二階へと続く階段を上っていくと、その先の廊下に鳴海刑事と大倉刑事が立っていた。

 私は先程の出来事を二人に話した。


「なんと……そんなことが……」

「それって……僕らが彼女が確保したことを迫水が知っていたということですか?」

「迫水……?」


 ふと、奥の方から女性の声が聞こえた。

 思わず声が聞こえた方を見ると、そこには寝室から半分だけ身体を出してこちらを見る仁科祥子の姿があった。


「に、仁科さん……ダメでありますよ、部屋に戻って頂かないと……」

「でも……娘が……」

「それは……」


 私は彼女の前に立って、寝室に戻るように言った。


「か、神牙……そんな冷たく言わなくても……」


 後ろで大倉刑事が弱々しくそう言うが、仁科祥子の方は黙って寝室へと帰っていった。

 私は彼女が布団に入るのを確認して、三人に早く寝るように言った。

 三人は黙ってそれぞれの場所に戻っていくので、私も自分が寝ていた布団に戻って潜り込む。

……さっきは彼女にあんなことを言ってしまったが……あそこで彼女とまともに話し合う方が私は危険だと思う。

 まだ、彼女がどういった精神状態にあるかは不明なのだ。精神病を装っているのなら対処も出来るだろうが、本当に精神に何らかの異常がある場合、彼女がどのような行動に出るか、まったく予想が出来ない。なんせ彼女は、この村で起きた残虐な連続殺人の犯人だと自供したのだ。

 彼女の言葉を借りれば『生贄に捧げた』というのが正しいが、どのみちむごい死体があることには変わらない。

……そのまま布団の中で就寝しようとするが……静かだ……ここ数日の事件などなかったかのように、夜は私達を静かに包み込む……だが……静かすぎる……これだけ山奥の村にある家なら、森林に住まう木々や昆虫、動物などの鳴き声が聞こえてきてもおかしくはないはずだ。

 私が静寂を少し不気味に感じ始めていると、外から物音が聞こえてきた。今まで無音に近い空間にいたため、その物音がやけに騒がしく聞こえる。


「……なんでしょう……」


 加藤巡査も物音が気になったのか、布団から抜け出して鳴海刑事や私に断りを入れながら窓際まで近づいて外の様子を見る。


「うわぁっ!?」


 突然、加山巡査は大声を上げて体勢を崩した!

……私の頭が彼の下敷きになることを避けられてなによりだ。


「な、なんだっ!?」

「い、いったい何がっ!?」


 大倉刑事も鳴海刑事も、その場であたふたとしている。

 私は大倉刑事に仁科祥子の護衛を命令し、鳴海刑事と加藤巡査には状況の把握を命令した。


「了解っ!」

「おうっ! 任せておけっ!」

「りょ、了解ですっ!」


 三人はそれぞれそう返事をした後、各々の持ち場についた。

 私は近くに置いてあった衣類の中から拳銃を取り出して、尻餅をつく加山巡査に声をかけた。


「た、大変です……」


 加山巡査は体中から汗を拭き出させて、右手で窓際を指差す。

 私は拳銃を下方に構えながら窓際の壁に寄りかかって身を隠し、頭部だけを壁から出して窓の外を見つめた。

……窓の外には、異様な光景が広がっていた。

 満月に近い月が照らすアスファルトの道路の上には、無数の人影が見えた……ここから見る限りでは、人影は駐在所の駐車場から歩道まで溢れているようだ。

 いったい、何が起きているか……とにかく、その理由を考える前に避難を開始した方が良いかもしれない。そう思ったのはこちらが事件の犯人を捕獲しているからであり、ここが現代の常識が通用するかも怪しい、隔絶された集落だからである。

 その事実が、私に嫌な想像を巡らせる……もし仁科がこの集落で起きた殺人事件に関わっているとしたら、村人達の心境は穏やかなものではないだろう。

 まだ確認は取れていないが、もし殺された者達がこの集落の人間だったなら、なおさらだ。

 迫水の言葉と仁科祥子自身の証言によって、仁科祥子はこの集落の人間であることは分かっている……だとすれば、村人達がいわゆる報復殺人を実行しようとしても不思議はない。

 この際、良心は期待できない。話し合いで解決できるような雰囲気は無数の人影からは感じない。皆一様に殺気立っており、ジッとこちらを見据えてくる。その手にはなにやら物騒な得物えものを携えており、私の心を戦慄させる。

 私は小声で鳴海刑事と加山巡査に緊急事態を宣言し、隣にいる部屋へ向かって仁科祥子を見張っていた大倉刑事にも同様の文言を伝えた。


「は、はいっ!」

「りょ、了解でありますっ!」

「な、なんだっ!? いきなりどうしたっ!?」


 そして、私が自分が眠っていた布団の近くに置いてあった衣類や装備類を手早く身に付けると、ガラスが割れる音がした。


「な、なんだ、今のはっ!?」


 大倉刑事は、すでに起き上がっていた仁科祥子の隣でそう言ってうろたえる。鳴海刑事や加山巡査も同様だ。

 私は鳴海刑事達に避難の準備をするように命令し、拳銃を下方に構えて一階の玄関の方まで向かった。

 二階から慌ただしい物音が聞こえるなか、私は玄関へ慎重に近づき、引き戸とは別の出入り口となっているドアの前まで向かった。

 鉄製のドアにはドアスコープが設置されているので、慎重にそこから外の状況を観察しようとする……っ!?……くっ……あ、危なかった……何が起きたかというと、私がドアスコープを覗こうとした瞬間、外からドライバを突き立てられたのだ。

 ドライバーはドアスコープのガラスを貫通して中に入ってきたが、私は間一髪で避けたので目を失うことを避けられた。

 私はドアに鍵が掛けられていることを確認し、脆い作りになっている引き戸の方に移動して拳銃を構えた。

 その時、引き戸が勢いよく開けられようとするが、鍵が掛けられているために引き戸が開くことはない。それでも、ガラス越しに映る人影は構うことなく引き戸を引いたり叩いたりする。

 マズいな……相手が何者かは不明だが、かなりの興奮状態に陥っているようだ。

 私は玄関から離れてその死角に隠れ、携帯端末を取り出して『その者』に連絡をとった。


『緊急事態発生。現在、犯人と共に駐在所にいるが、暴徒に囲まれた。指示を乞う』


 そして、返信が返ってきた。


『暴徒は回避できそうか?』

『いや、駐在所の周囲を囲まれている』

『それなら、こちらから応援を送る』

『いいのか? 組織の秘匿性を危険に晒すのでは?』

『致し方ない。とにかく、その最重要参考人は生きた状態で脱出させてほしい』

『それなら、このまま待機でいいな?』

『ああ、構わない』

『了解。交信終わる』


 そして、私は今『その者』と話した内容を皆に伝えるために二階へと戻った。

 二階ではすでに鳴海刑事達が避難の準備を完了させたようで、鳴海刑事がさっそく口を開いた。


「神牙さん、どうでしたか?」


 私が自分が体験した事と、『その者』と連絡した内容を皆にぼかしながら伝えた。


「それはありがたいが……大丈夫なのか? 外の暴徒共は今にも入ってきそうだが……」


 しきりに叩かれる一階の壁や窓や玄関を二階の窓から見渡しながら、大倉刑事は不安そうに口を開く。

 私は再度、応援が来ることを強調して話を終えると、駐在所の中から使えそうなものが無いか、加山巡査に質問した。


「そ、そうですね……刺す又、警棒……あとは自分の持っている拳銃に警棒……それぐらいですね」

「むぅ……自分らは拳銃など持ってきてはいないし……」

「そうですね……神牙さん、何か武器になるような物は持ってきていませんか?」


 鳴海刑事にそう言われたので、私は持ってきていたコルト社のディフェンダーという隠匿携帯用の拳銃と、コールドスチール社製のフォールディングナイフであるリーコンを取り出した。今回、まさかこのような事態になるとは想定しておらず、いつもよりも軽装備だ。

 だが、鳴海刑事達には見慣れない物だったのか、無言でそれらの装備を見つめている。私が大丈夫かと訊ねても、反応が鈍い。大声を出すとようやく反応が返ってきた。


「あっ!? し、失礼いたしましたっ!」

「……貴様……本当に警官なのだろうな?」

「なんというか……すごいですね……」


 ふ、そんなに褒めないでほしい。

 私は装備を再び装着して、その時を待った。外では相変わらず暴徒達が駐在所兼自宅の壁や窓を叩いている。だが、一向に踏み込んでくる気配がない。私達を弄んでいるのか、あるいは別に目的があるのか……いずれにしても、用心しなければいけない。

 私は加山巡査と鳴海刑事に、駐在所からありったけの使えそうな物品を持ってくるように指示した。


「分かったっ!」

「了解でありますっ!」


 二人は早足で一階へと駆け下りていった。

 私は鳴海刑事に仁科祥子の護衛を命じて、寝室の窓際に寄って外を見た。

……駐在所の外にいる人影は最初に見た時よりもさらに増えており、とても我々だけでは突破できそうにない……いや、私一人なら何とかなりそうな数だが、鳴海刑事達や仁科祥子を連れて突破するとなると、不可能に近いだろう。ここは、『その者』が送り込む応援に期待するしかない。

 そして、しばらくそのまま待機していたら、突然外から銃声が聞こえ、暴徒で溢れかえる歩道の左側に閃光が見えた。


「神牙っ! な、なんだ、今のはっ!?」


 振り返ると、そこには大倉刑事がいた。

 彼は両手に刺す又二本と警棒二本を持っており、目を見開いて私の方を見る。

 私は彼に何が起きたのか分からないとだけ伝えて、もう一度外を見た。

……複数の銃声が連続的に聞こえ、暴徒達が次々と歩道の上に倒れていく。

 仲間割れでなければ、暴徒達に向かって発砲している者達は『その者』が向かわせた応援だろう。

 私は未だに不満を述べる大倉刑事から刺す又と警棒を一本ずつ受け取って、仁科祥子を護衛している鳴海江刑事に渡し、大倉刑事に護衛を代わるように言った。

 仁科祥子は、相変わらず無反応な状態で直立している。

 正直言って、彼女の様子は異常だ。普通の女性なら、銃声を聞いたら何かしらの反応を見せる。だが、彼女にはそのような素振りはない。まったくの無反応だ。まるで、彼女の身体の表面数ミリが別世界であるかのように……。

 とにかく、私は外から聞こえてくる銃声の正体を知るため、再び窓の外を覗き見た。

 銃声と閃光はその距離を徐々に縮め、すでに暴徒達の数は数人となり……やがてほとんどの暴徒達がアスファルトの地面に横たわった。代わりに、数人の人影が歩道の方に見える。

 私がその人影を確認したのとほぼ同時に、私の携帯端末に連絡が入る。


『こちらタケミカヅチ。オモイカネ、応答せよ』

『こちら、オモイカネ』

『オモイカネ、護衛対象は無事か?』


 私はその内容を読み、後ろを振り返った。

 仁科祥子は、大倉刑事の巨体に隠れるようにして立ち尽くしている。


『護衛対象は無事』

『了解。これよりそちらの脱出を援護する』

『ありがたい。ただ、こちらには組織とは無関係の人間が護衛対象を含めて四人いる。できれば、姿を見せずに護衛してもらえるとありがたい』


 それからしばらくして、返信がきた。


『了解。我々はそちらの後方から車両で護衛する』

『助かる。今から脱出を開始する』

『了解した、交信終わる』


 そのように返信が来たので、私は携帯端末をしまって鳴海刑事達の方へ向かった。

 三人は一様に不安の表情を隠さず、私を見つめてくる。

 私は、そんな三人に向かって今から脱出を開始することと、脱出には護衛が付くことを伝えた。


「おお~っ! さすがは警視正殿っ!」

「ええ。それなら、なんとか……」

「よし……さ、行きましょう」


 大倉刑事がそう言って移動を促すと、仁科祥子は抵抗する様子もなく静かに歩き始めた。

 私は四人に向かって出発の合図をして、玄関へ向かった。割れたドアスコープから外の様子を探るが、あまりよく分からない。

 私はゆっくりとドアを開けて外の様子を見る……特に問題はない。

 そのまま外に出てゆっくりと前進する……駐在所の駐車場や歩道には、赤黒い液体を流した人々で溢れかえっていた。

 私は四人に合図して前進を促し、我々が乗ってきた自動車に近づいて拳銃を構えて全員が乗り込むまで周囲を警戒する。

 四人はそれぞれ自動車の席に着くと、私は後部座席の方へ乗り込んだ。

 少し窮屈ではなるが、致し方ない……私は運転席に座る大倉刑事に、出発を指示した。


「分かったっ!」


 そう言って、大倉刑事は車を急発進させて歩道へ出た。

 すると、私達の後方に見える集落へと続く歩道に、無数の光が見えた。


「け、警視正殿っ! あれはっ!?」


 私と仁科祥子を挟んで後部座席に座る加藤巡査は、後部のウィンドウガラスの向こうを凝視しながらそう叫んだ。

 私は加藤巡査に仁科祥子の様子を見るように言って、私の方のウィンドウガラスを開けて身を乗り出し、拳銃を構えた。

 あれは……懐中電灯に、車のヘッドライトか……?

 それに、人の叫び声や車のエンジン音が聞こえる……無数の光は、ユラユラとうごめくものもあれば、激しい動きを見せてこちらに急速に近づいてくるものもある。

 私は激しい動きをして急速に近づいてくる光に拳銃の照準を合わせて引き金を引こうとするが、その光は急に失速して動かなくなる……それと同時に、私から見て左側の斜面から銃声が聞こえたと言う事は、タケミカヅチの援護射撃だろう。

 その後も銃撃は続き、懐中電灯の明かりは宙を舞い、車のヘッドライトの明かりはゆっくりと、あるいは民家の壁にぶつかって停車したりそのまま斜面へ落ちていった。

 私は大倉刑事が運転する車から身を乗り出してしばらく拳銃を構えながら様子を見ていたが、都心へ向かうトンネルに入る頃には我々を追尾する光源はまったく無く、代わりに後方から聞こえてくる車のエンジン音だけとなっていた……。

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