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予知夢 ~警護捜査~

 翌日――篠宮のマンションの警備には『ぜひ自分が!』と意気込んで挙手した大倉刑事に向かってもらった。

 本来ならもう一人メンバーが付いて行ってもいいものだが、昨日預かった証拠品から手掛かりを得るためにも人手が必要なため、私と鳴海刑事、そして鬼島警部は本部に残った。

 まずは手紙から調べてみる。

 どの手紙にも、最初に見せてもらった手紙のように、篠宮の行動が事細かに書かれている。


「どれも同じ文字ですね。小さな文字がびっしりと詰まっているのも同じです」

「ああ。消印も無いし、宛名も日付も書いてねぇな」

「あ、でも、よく見てみると、字がところどころ滲んでますね」

「おう、そうみたいだな。青いインク……たぶん万年筆かなんかで書かれたんだろうな」


 私も二人の会話を聞きながら手紙を調べてみるが、確かにどの手紙にもそのような特徴があった。

 しかし、この特徴のある偏執的な文字でも、書いたのがそういった性格の人間だとは限らない。警察の捜査を見越して、捜査をかく乱するためにわざとこのような字を書いた可能性も否定できない。

 次に写真の方を調べてみるが、写真のサイズはどれも同じだった。

 裏を見てみるが、真っ白で何も書かれていない。写真展などでプリントしたモノであれば、裏面に固有番号が印字されるが、この写真にはそれが見当たらない。私がそのことを指摘すると、間髪入れずに鬼島警部が口を開いた。


「たぶん、デジカメで撮った画像をプリントアウトしたものだろうな。彼女の家にはパソコンもプリンターもあったしよ」


 警部の言葉を聞いて当時の情景を思い出すが、確かに篠宮の部屋の隅に置かれた机には、パソコンもプリンターもあった。

 つまり、扉に血文字が描かれるたびに、篠宮はデジカメでそれを撮影し、それをパソコンに取り込んで警察に見せるためにプリントアウトしたということか。

 写真には様々な嫌がらせの証拠が写されているが、篠宮が言っていた血文字が写っているものはその中で四つがある。

 その毒々しい文字が本当に血で書かれているものか、あるいは赤い塗料か何かで書かれたものかは、写真を見る限りでは判別できない。


『すべてを忘れろ』

『過去の亡霊を目覚めさせるな!』

『いつも見ている』

『夢と違うことをするな!』


 筆跡はどれも同じように見えるが、確かではない。この辺りは、篠宮にもう少し詳しく事情を聞いた方が良いだろう。

 我々がそのまましばらく証拠品と睨めっこしていると、私の携帯に連絡が入った。大倉刑事からだ。


「神牙か? さつきちゃんは今日は仕事があるらしい。応援を頼む」


 私は大倉刑事に了解の返事を出し、二人と共に本部を後にした。


                           ※


 「ご苦労様であります」


 現場に着くなり、大倉刑事が鳴海刑事と鬼島警部に対して敬礼をする……私にはしてくれなかった。

 まぁ、それはいいとして、彼から篠宮の様子について聞く。


「うむ。今日は朝から一度も外出してはおらん。訪問者も無しだ」


 篠宮は、主に私が組織に頼んで出してもらった援助金を元手に生活している。

 最近は芸能界の仕事をちょくちょく再開したらしいが、彼女が言っていたようにそれらの仕事は不定期なため、基本的な生活サイクルとしてはそのようにならざるを得ないだろう。

 大倉刑事はマンションの前でずっと見張っていたらしいが、このマンションの住人らしき者達以外であの集合ポストに近づこうとする不審な人物はいなかったらしい。もっとも、犯人が何か特殊な工具や技術を使わない限り、エントランスへ入るためのあの扉をくぐることさえ出来ないのだから、この辺りは問題ないだろう。

 だが、私はそこでハッとしてしまった……エントランスへ入るためのセキュリティが万全ならば、犯人はどうやって集合ポストに手紙を入れていたのだろうか?

 もし、あのポストに手紙を入れることが出来るとすれば、それは暗証番号を知っている人物ということになる……最低でも、このマンションに住まいがある者でなければならないはずだ。

 もしくは、どこかにエントランスへ続く出入り口以外に別の出入り口があるのか……私がこのマンションにあるセーフハウスを購入しようとした時、そのようなセキュリティ面はちゃんとチェックしたはずなのだが……私はその疑問を、大倉刑事にぶつけてみた。


「いや、ないと思うぞ? 自分はこのマンションについて調べてみたのだが、このマンションは築五年で八階建て。エレベーターは二基で、エントランスへ入った先にある。屋外に非常階段はあるが、外側からは開かない仕組みになっていた」

「つまり、エントランスへ通ったらエレベーターに乗る以外は上階へ行くことは出来ない造りになっているということですね?」

「はい、そうであります」


 大倉刑事から返ってきた答えは、私がこのマンションを事前に調べた時と同じ情報だった。だとしたら、なおさら私の懸念は深まっていく……私は、先程考えていたこと――このマンションの住民も捜査対象に入れることをその場にいるメンバー達に打ち明けた。


「むぅ……確かに、その通りだな。失念していた」

「えぇ、そうしたほうがいいですね」

「だな。意外と、篠宮に繋がる奴が出てくるかもしれねぇしよ」


 私達がこれからの捜査方針を徐々に固めていたその時、エントランスから篠宮が姿を現した。その装いは昨日見た時と同じように清楚な格好で、非常に好感がもてた。


「ごめんなさい。待たせちゃったかしら?」

「いえ! とんでもないでありますっ!」


 篠宮がはにかみながら言うと、大倉刑事はビシッと敬礼して返答する……心なしか、その敬礼は先程よりもキッチリしているような印象を受けた。

 その後、我々は篠宮の案内でマンション近くの駅で電車に乗り、十数分ほど電車に揺らされて下車し、駅のすぐ近くのビルの地下にあるライブハウスに通された。すでに数組のバンドがライブを終えて、ライブハウスの中は熱気に包まれているが、彼女は構うことなく控室で衣装に着替え、ステージ裏で準備を整える。

 私は、その間にライブハウスの警備スタッフを見つけ出して、不審な人間がいても追い出さないようにお願いした。篠宮が言っていた人物をこの目で確認し、可能であれば任意同行させるためだ。


「じゃ、行ってくるわね!」


 準備を終え、自分の出番がやってきた篠宮は二カッと笑みを浮かべる。


「はっ、精一杯応援するでありますっ!」

「ふふ、それもいいけど、ちゃんとあたしのことを守ってよ?」


 そう言って明るくステージへ向かった篠宮の後姿を見ながら、『さつきちゃん……』と気持ち悪い笑みを浮かべながらつぶやく大倉刑事を見て、私は不安な気持ちにさいなまれた。

 しかし一時間後……私の不安を消し飛ばすように順調にライブが行われ、篠宮が最後の一曲を歌い上げた後に握手会と撮影会が行われた。


「おし……篠宮が言うには、ここらでストーカーが姿を見せるはずだ。お前ら、締まってかかれよ」

「はっ!」

「了解です」


 いつの間にか場を仕切り出した鬼島警部を先頭に、我々は客の群れに溶け込んでいった。熱気のこもったライブハウスで不審者を見つけるのは至難の業だったが、やがて客も徐々にはけ、そろそろお開きかと思われたその時、動きがあった。

 篠宮の元に、一人の男が近づいていく。

 男は三十代後半。シワだらけの黒のパーカーにベージュ色のワーカーパンツを着ており、男と話す篠宮の表情から、この男が例の不審な客であることが窺い知れた。

 男性がそのまま篠宮と話し込んでいると、彼女の顔にどんどん困惑の色が広がっていくのが、ハッキリと分かった。

 しかし、ここからでは二人の会話の内容が聞こえないので、私は他のメンバーに身振り手振りで篠宮と男の傍に近づくように促す。

 そして、メンバーがそれぞれ男を囲うように、それでいてあくまで無関係の客を装える絶妙な位置に陣取った後、私はスタッフの振りをして篠宮達の近くのテーブルに置いてあるドリング類を片付けるふりをしながら、彼女達の会話に耳を傾ける。


「だから、プライベートなことは話したくないって言ってるでしょ?」

「じゃあ、昔……小さかった頃の話を聞かせてよ。そうだなぁ……一番悲しかった出来事がいいなぁ。いくら人気者と言っても、楽しかったことばかりじゃないでしょ?」

「なんで見ず知らずの人に、そんな話しなくちゃいけないのよ」

「ひどいなぁ……僕はさつきちゃんのファンだよ? いいから、思い出してよ。大事な人が死んじゃったとか、何かの事件に巻き込まれたとか、そんな話が聞きたいな」


 篠宮がいくら断っても、男の執拗な追及が続いた。そろそろ助け船を出すべきだろう。

 私がそう思って近くにいた鬼島警部に目配せで合図を出し、彼女が男に声を掛けようとしたその時――。


「来るな! あっち行け!」


 突然、男が叫んだ。鬼島警部の存在に気づいたのかと肝を冷やしたが、男の視線は篠宮の背後の空間に向けられていた。


「俺に付きまとうな!」


 その声に、ライブハウスのスタッフ達が一斉に振り返る。


「ちょ、ちょっと、どうしたの?」


 男の突然の変化に、篠宮は驚いたような表情で訴えた。


「あんたには見えないのか、あの子の姿が……いや、あんたなら見えるだろ?」


 そう言って震える手で背後の空間を指し示す男にならって、篠宮も背後の空間の闇を見た。

 私もその場所に目を向けるが、そこには……何もなかった。篠宮も何も見つけられなかったのだろう。首をかしげている。


「どうして俺につきまとうっ!? 俺から離れてくれっ!」


 男が何もない闇に向かって再び叫ぶ――そして、警備のスタッフの制止も聞こえないかのようにライブハウスから立ち去っていった。

 私は男の姿が見えなくなるのを待って、大倉刑事に篠宮の警護を命じ、鳴海刑事と鬼島警部を連れてライブハウスから出ていった男の後を追った。

 もしタクシーや電車を使われたら……と嫌な想像をしてしまったが、男は早足で駅前の外れまでトボトボと歩いて行った。

 やがて一本の路地裏に入り、しばらく進んでいくと、一棟の古ぼけた木造の長屋ながやのようなアパートの、一番突き当りの部屋へと姿を消した。

 おそらく、風呂なしの安アパートだろう。外壁も屋根も見るからに薄っぺらで、台風で吹き飛ばないのが不思議なくらいだった。


「へっ、絵に描いたような安アパートだな。学生時代を思い出すぜ」

「はぁ? あの、名前を確認してきます」


……正直言って、鬼島警部が学生時代にこのような安アパートに住んでいたとしても、違和感はないように思える。実際、彼女は警察官になっても戦前に建てられたボロアパートに住んでいたくらいだ。


「アタシも一緒に行くぜ」


 私はそう言う鬼島警部と鳴海刑事と共に、男が消えていった部屋の前にたどり着く。

 玄関脇には油性ペンによる雑な文字で『石川』と書かれている。ふと下を見ると、玄関の脇に設けられた郵便受けには、溢れんばかりの郵便物が詰め込まれていた。

 私は、足元に落ちている一枚のハガキを拾う……それは消費者金融の催促状だった。そこの債務者のらんにある名前には、『石川和夫いしかわかずお』と書かれていた。

 私はそのハガキを二人に見せ、住所と名前という貴重な情報を得て、その場を後にすることにした。

 石川のアパートを後にしてからすぐ、私の携帯に連絡が入る。相手は大倉刑事だ。

 彼によると、篠宮は石川が帰った後、早々にライブハウスを後にして帰宅するらしい。私は大倉刑事に、引き続き彼女の護衛を頼むように言って電話を切った。


「大倉か?」


 私は後ろで問いかける鬼島警部に肯定の返事をし、彼が伝えてきた情報をそのまま伝えた。

 その後、我々は篠宮の事を大倉刑事に任せ、本部に戻ることにした。


                       ※


 翌日、結局、本部では石川についてそれらしい情報は見つからず、我々は昨日に引き続き、篠宮のマンションの張り込みを続けていた。


「先輩、やはりその石川とかいう男がストーカーでありますよ」

「証拠もなしに取り調べは出来ませんよ」


 このようなやり取りが、大倉刑事の自家用車の前で何度も繰り返されていた。


「君達が刑事かね?」


 背後から何やら人の気配が近づいてくると思ったが、後ろから声を掛けられた。振り向くと、そこには貫禄のある初老の男性が立っていた。

 五十代後半と思われるその人物の眼光は鋭く、相手を値踏みし、威圧するような嫌な目だ。


「失礼ですが、どなたでありますか?」


 大倉刑事が尋ねると、男は不機嫌そうに答えた。


「君たちが付け回している篠宮麻衣の父親だ」

「お、お父様で、ありますか」


……なんてことだ。まさか、父親にまで住所を知られてしまうとは……となると、この後の展開は予測がつく。


「付け回してるなんて人聞きが悪いな。撤回しろよ」

「君も刑事かね? あいにく、私は気の強い女が苦手でね」


 そう言われて鬼島警部の怒りが爆発するのを何とか抑えていると、その男は鳴海刑事と私を指差した。


「君達がいい。ちょっと話がある。ついてこい」


 男がそう言うので、私と鳴海刑事は、鬼島警部と大倉刑事にこの場を任せて、男が表に停めてあった車に乗り込んだ。

 我々を乗せた車は、少し進んだかと思うと、近くのファミレスの駐車場に停まる。


「すぐ済む。ここで待ってろ」


 篠宮の父親は運転手にそう伝えると、周りに目をくれることもなく、我々を連れてファミレスの中に入っていった。席に着くなり、彼は二枚の名刺を我々に向けて放った。

 そこには自己主張するような文字で、『都議会議員 篠宮哲二』と書かれていた。我々の方も名乗り、警察手帳を示すと、篠宮哲二は鼻息交じりにまじまじとそれを眺めた。

 ちなみに、私が篠宮麻衣をセーフハウスにかくまう際には様々な工作を行ったが、その中には両親との離縁も入っている。その際には、専門用語でいえば様々なカットアウトを通じて彼に話をつけたので、直接会うのはこれが初めてだ。


「どうやら、本物の刑事のようだな」


 相変わらず、横柄な態度で彼は話を始める。


「単刀直入に言うが、麻衣の周囲をうろつくのは、今日限りでやめてもらいたい」

「失礼ですが、我々が麻衣さんを警護している理由をお聞きになっていないんですか?」

「その話は、全部島崎から聞いている。だが、それがどうした?」

「島崎さんとお知り合いなんですか?」

「ああ、古くからの友人だ」

「でしたら、なぜ警護をやめろと?」


……正直言って、鳴海刑事がここまで彼に食い下がるとは思わなかった。てっきり、名刺を見るなりへりくだるかと思ったが……とにかく、父親が、娘がストーカー被害に遭っているにも関わらず警護をやめろという理由がに落ちない。ここは鳴海刑事を使って、もう少し相手の意図を探りたいものだ。


「理由なんてどうでもいい。とにかく、警察なんぞに娘の周りをウロウロされては困るんだ」

「娘さんが心配じゃないんですか?」

「君に親子関係をとやかく言われる筋合いはないっ!」


 今まで背もたれに背中をつけ、腕組みをしていた哲二が、突然身を乗り出して大声を上げた。そんなに広くもない店内に、野太い声が響く……客や店員数名がこちらを振り返ったのに気づいて、哲二は咳ばらいをして座り直した。


「明確な理由もなく、一方的に警護をやめろと言われても困ります。それが我々の仕事ですし、何より娘さんの身が危険です」

「ふん! 政治に疎い君には分からないだろうが、いずれ私は、国政に打って出るつもりなんだ。これがどういう意味か分かるかね?」


 なるほど、腹の内が読めてきた。娘の周りを警察がうろついていたんでは、外聞がいぶんが悪いという危惧か……相変わらず、腐った親だ。娘がアイドルだった頃は、政治資金を集める目的で馬車馬のように働かせてきたくせに……。


「仰る意味は分かります。ですが、娘さんをご自分の出世の犠牲にするおつもりですか?」

「なにっ!?」


 よく言ったぞ、鳴海刑事っ!


「君はっ! 若造のくせに口を慎みたまえっ! 娘の事はもちろん心配だっ! だがな、私が出世することは、家族の幸せに繋がるんだ!」

「幸せ?」

「ああ、そうだ。娘が何不自由なく生活出来ているのも、病気がちの妻が安心して入院出来ているのも、すべて私のおかげじゃないかっ! だいたい、娘が未だに芸能界に固執しているだけでも、余計な噂のタネになりかねんのだ。あいつのマネージャーは連続殺人犯だったわけだしなっ!」

「そこまでおっしゃるなら、娘さんを連れ戻されたらどうですか?」

「いや、それは……私の秘書との縁談も持ち上がっとるが、娘がなかなか首を縦に振らんのだ」


 嘘だ。本当は私が彼の弱みを握り、娘から遠ざけさせた。それを忘れて、こうも偉そうにほざくとは、政治家の資質として考えものである。


「そこまでお考えなら、なぜ、無理やりにでも連れて帰らないんですか?」

「それが出来れば、とっくにやっている!」


 いいぞ、鳴海刑事っ!


「出来ない理由が何かおありなんですか?」

「君には関係のないことだ!」


 その意気だ、鳴海刑事っ!


「……分かりました。しかし、娘さんがストーカーの被害を受けているのは事実です」

「そんなことは分かっている! だから今日も島崎に釘を刺してきたんだ!」

「失礼ですが、ご自分の仕事の関係で娘さんが狙われている可能性はないんですか?」

「馬鹿なことを言うなっ! 私はこう見えても、真っ当に生きてきたんだ!」

「誰かに恨みを買うようなことはないと?」

「当たり前だっ!」


 そう言うと、哲二は煙草に火を点けようとしたが、タバコを持つ左手が震えており、右手に持つライターの火がなかなか点かない。あからさまに狼狽ろうばいしているようだった。


「とにかく、娘の警護は必要ないっ! すぐにやめるんだっ!」

「いいえ、それは出来ません」

「そうか、ここまで言っても分からんかっ! なら勝手にしろっ!」


 そう言って乱暴に火のいていないタバコをもみ消すと、哲二は席を立った。


「いいか、これだけは覚えておくんだっ! 私には警察関係の友人も多い。その意味をよく考えておくことだなっ!」


 まるで三流ドラマに出てくる悪徳政治家のような立ち振る舞いで、彼は店を後にした。

 彼の姿が見えなくなると、私は鳴海刑事に形ばかりの謝罪をした。奴の腹の内を探るために、彼を利用したのだ。


「気にすることはありませんよ、神牙さん。たぶんあの人は僕らの事を左遷させることは簡単だって言いたいんでしょうけど、これ以上左遷できる部署なんてありませんもんねっ!」


……あれ、なんだろう? 目から涙が……。


                         ※


 その後、篠宮の方に動きがないこともあって、我々は大倉刑事達と共にオモイカネ機関本部で合流して捜査をしていた。

 鬼島警部は石川について『こうなったらあいつの部屋に突撃かまして――』などと警察官にあるまじきことまで言っている始末である。

 その後も時間は過ぎていき、大倉刑事がいてもたってもいられず篠宮の警護に向かおうとしたその時、本部の電話が鳴った。真っ先に電話に飛びついたのは、大倉刑事だった。


「はい、警視庁捜査五課でありますっ!」


 大倉刑事は、私が普段使っているオモイカネ機関という正式名称が気に入らないのか、別称の捜査五課を用いている……ちょっとショックだ。


「どうしたのでありますかっ!」


 大倉刑事のただならぬ様子に、私や鳴海刑事達にも緊張が走る。


「分かったであります! とにかく、そのまま部屋にいて下さいっ!」


 電話の相手は、どうやら篠宮のようだ。彼女は『怖い』『すぐに来て』の繰り返しで、極度にうろたえているそうだ。我々は、急いで彼女のマンションに向かった。

――慌ててマンションに駆け付けた我々は、ちょうどエレベーターから降りてくるところの管理人である島崎と出くわした。彼の手には、黒いビニール袋が握られている。


「あんた達、いったい何をやってたんだっ! これを見ろっ!」


 そう言って、我々の目の前で島崎は、手に持ったビニール袋の口を開けて見せた。不思議に思いながらも、私はビニール袋の中を覗く――が、咄嗟とっさに大倉刑事には中を見ないように指示した。


「な、なんだ? どうしたんだ?」


 驚く大倉刑事に代わって鳴海刑事と鬼島警部が中身を覗くが、一様に顔をしかめる……ビニール袋の中には、紅く染まった物体が入っていた。


「どうやら、猫の死骸みたいだな……」


 私の隣で、鬼島警部が静かに言った。

 彼女の言う通り、ビニール袋の中には、無残に切り刻まれた猫の死骸が二匹入れられていた。特徴からかろうじて猫だと判別できるほどの、むごたらしい状態だ。


「ね、猫の、し、死骸でありますかっ!?」


 話を聞いた大倉刑事が、さっそく青ざめた。


「島崎さん、それはどこにあったんですか?」

「篠宮さんの部屋の前だっ! とにかく、自分達の目で確かめてきたまえっ!」


 島崎はそう言うと、ビニール袋を持ってゴミ置き場の方へと消えていく。

 我々はただならぬ事態を感じ、急いで篠宮の部屋へ向かうことにした。

 そして、彼女の部屋の前に着いた我々の目に真っ先に飛び込んできたのは、ドアに書かれた血文字だった。


『次はお前だ』


 その文字を見て、大倉刑事は『うおっ!?』と声を上げる。


「せ、先輩! やはり血でありますかっ!?」


 血液かもしれない存在を目の前にして、大倉刑事は自我を失わないようにわざと大声を上げた。彼の声を聞いて、鳴海刑事が血文字に顔を近づける。


「……ええ。おそらく、先程の猫の血で書かれたものでしょう」


 よく見てみれば、ドアの真横の床に近い壁にも、似たような血痕が大量に付着している。おそらく、島崎が処分した猫の死骸は、初めはここに置いてあったのだろう。


「どうやら、ここに猫の死骸を置いて、血文字を書いてから、三十分ぐらい経ってるな」


 血の渇き具合を見た鬼島警部が、神妙な面持ちで言った。


「麻衣ちゃんっ! 大丈夫かいっ!?」


 インターフォンを押しながら、鳴海刑事が叫ぶ。だが、いくらインターフォンを押しても、中から反応はない。

 慌てた大倉刑事がドアノブを回してみると、鍵はかかっておらず、すんなりとドアが開いた。


「さつきちゃん! 大倉でありますっ!」

「……いいわ、入って……」


 玄関から大倉刑事が声をかけると、ささやくような篠宮の声が聞こえてきた。とりあえず、彼女は無事なようなので、我々は彼女の部屋に上がり込む。

 そのまま部屋の中を進むと、突き当りのリビングにある座椅子に座ていた篠宮は、今にも泣きだしそうな表情をしていた。彼女の目の前の机には、封筒が落ちている。


「麻衣ちゃん、大丈夫?」

「……えぇ、なんとかね……」


 やっとの様子で、篠宮はそう呟いた。

 鬼島警部はそんな篠宮の隣に寄り添い、我々も彼女の対面に座って、彼女が落ち着くのを待つ……次第に気分が良くなったのか、篠宮は最後に大きくため息をついた。


「ごめんなさい、もう大丈夫よ」


 篠宮のその言葉を聞いて、隣に寄り添う鬼島警部がさっそく質問を投げかける。


「そうか。それで、この封筒は新しい脅迫状だな?」

「ええ。今回は玄関のポストに入ってたわ」


 我々がいた時刻には、そんなものは届いていなかったし、血文字もなかった。おそらく、その後のわずかな時間で起きた犯行だろう。我々オモイカネ機関のメンバー全員が、一斉にこのマンションからいなくなった、わずかな時間に……。

 私は脅迫状を手に取り、鳴海刑事と大倉刑事と共に、目を通した。そこに書かれている内容は、以前にも増して奇怪なものを感じさせる文章だった。


『昨日の夢……君は真っ赤な血の色に染まっていたね。たくさんの動物の死骸に驚いたあなたの顔は、恐怖とも喜びともつかない顔だったよ?そういえば、子供の頃にあなたが飼っていたペットはまだ元気?また会えるといいな。早くおいで?ずっと待ってるからね』


 私から手紙を受け取った鳴海刑事が、篠宮に視線を向ける。


「また夢の話が書かれてるね。この夢に、何か覚えはある?」

「……昨日の夜に見た夢よ。怖かったけど、皆には話す勇気がなくて……」


 手紙には、まるで夢の中を覗いているような文面が書かれていた。いったい、ストーカーはどのようにしてこのような文章を書くことが出来たのだろうか?


「この飼っていたペットの話は?」

「それは……身に覚えはないわ。アイドルをやってた時に、『ペットを飼いたい』っていろんな人に言った気はするけど、両親はペットを飼うのに大反対で、今も飼ってないの」

「ということは、この部分はあんた自身の話じゃないってことだな?」 

「えぇ、確かにそうね」


 鬼島警部の言葉に、我々は思わず顔を見合わせた。

 今まで正確に篠宮の行動を書いていた犯人が、ここにきて事実と違うことを書いている……これは作為的なものだろうか?

 他の二人も不思議に思っていると、鬼島警部はニヤッと笑った。


「へへっ、どうやら、やっこさんもあせってるらしいな」

「ど、どういうことでありますか、警部殿?」

「ふん、なんてことはないのさ。こいつぁ、インチキ予言者なんかがよく使う手だ」

「つまり、どういうことですか?」

「コールドリーディングっていう話術の一種でな。さも相手の事を本人よりも知っているように見せかけるための技法さ。もう一度手紙を見てみな? そいつには、動物の死骸だの、ペットだの、あやふやなことしか書かれてねぇだろ? それに最後の文面、子供の頃に飼っていたペットっていう話も、多くの人に対してかなり高い確率で当てはまることだ」


 鬼島警部が珍しく饒舌じょうぜつになっていると、これまた珍しく大倉刑事が反論する。


「た、確かに、この手紙だけ見ればそうかもしれませんが、前見た手紙には、女性専用車両でかなり事細かな出来事が書かれていましたよ? 犯人の男が――」

「なんで男なんだ?」

「は?」

「なんで、犯人は男だって決めつけんだよ?」


 鬼島警部に返されて、言葉に詰まりながらも大倉刑事は踏ん張る。


「そ、それは、女性を狙うストーカーは男で――」

「確かに、統計的に言えば、ストーカーはほとんど男だ。だが、女を狙う女のストーカーって奴も、過去に例がなかったわけじゃない。ましてや、麻衣ちゃんは元人気アイドルで、今も徐々に芸能活動を始めてきている。その時に、何らかのストレス要因が重なって、そいつはストーカーになっちまったんじゃねぇか?」

「む、むぅ……」


 大倉刑事が降参代わりの唸り声をあげても、鬼島警部の推論は止まらない。


「ま、夢の話はともかくとして、この手紙から推測するに、犯人は麻衣ちゃんに対して、自分に都合のいい妄想を抱いているようだな」

「はぁ……それなら、なぜこのような脅迫めいたことを?」

「自分の妄想通りにならない麻衣ちゃんにイラついてるんだろうな。アタシ達の介入も、やっこさんにとってはストレス要因になってるだろうし」

「そんなの、勝手過ぎるでありますよっ!」

「それがストーカーって奴さ。アタシ達の理屈なんざ通じねぇ。奴らが信じてるのは、自分達の頭ん中で繰り広げてる妄想の世界だけなのさ」


 静まり返る室内で、鬼島警部の言葉が凄まじい重圧となって私達に襲い掛かってくる……改めて、この一連の事件を引き起こしている犯人の存在に、私は嫌な予感を感じた。

 その時、私は玄関の外で何かの気配がするのに気づいた。リビングを立ち去って玄関のドアを開けると、外にある血だまりを管理人である島崎が掃除しているのが目に入った。

 私と目が合っても、一瞥いちべつしただけで何も言わない……そのまま怒ったようにバケツの水をかけ、すでに固まって取れにくくなってしまった血を左手に持つ雑巾でゴシゴシと強くこすっている。

 私はそこで、島崎に少し待つように言って外に出ると、ドアの外側を見た……まだ、血文字までは消していなかった。助かった。

 私は島崎に、写真を撮るまでの間、この血文字を消さないように頼んだ。


「う~ん、しかし……」


 そのまま私が説得を続けると、島崎はしぶしぶながら承知してくれた。

 済んだらちゃんと消しておくようにと告げると、モップとバケツと雑巾を残し、エレベーターの方へ立ち去っていく。

 そこで私は再び彼を呼び止め、話を聞けないかと頼み込んだ。


「まぁ、下でならいいが……」 


 私は島崎に礼を言うと、すでに玄関に来ていた鳴海刑事と鬼島警部と共に彼についていくことにした。

 その後、私は大倉刑事にデジカメで血文字の写真を撮ることと、その後、血文字を洗い流すことを命令し、二人と共に島崎を追って一階へ下りた。


                       ※


 このマンションの一階にある管理人室の中は、六畳ほどの和室とキッチン、トイレやバスなどの設備があった。我々は島崎の居住区間であろう和室に通された。篠宮の女性らしい部屋とは違って、何もない殺風景な部屋だ。独り暮らしだと聞いている。

 我々が腰を下ろすと間もなく、島崎は口を開いた。


「それで、いったい何の用かね?」

「篠宮さんの話では、これまで何度かドアにあのような文字が書かれていたことがあったそうです。何かご存じないですか?」

「いや、本当に私は何も知らなかったんだ。篠宮さんにあんなことが起きてたなんて……」


 鳴海刑事が、篠宮から借りてきた写真を取り出して机の上に置き、島崎に見せる。


「それでしたら、この字や書かれている内容に、心当たりはありませんか?」


 島崎はジッと写真を見つめていたが、やがて首を横に振った。


「いや、ないな……」


 つまり、篠宮は今までずっと島崎に一連の事件を隠していたということになる。血文字は発見した後にデジカメで撮り、自分で洗い流していたということだろう。

 鳴海刑事は写真を懐にしまい、続けて質問した。


「それでは、今日のいきさつについて話してもらえませんか?」


 鳴海刑事の質問に対して、島崎はしばらく思い出すような素振りをしていたが、やがて重い口を開いた。


「篠宮さん、最近はストーカーに狙われているって言ってただろう? そのことで、彼女の様子を見にちょうど私がエレベーターで上がってきた時に、篠宮さんの悲鳴が聞こえたんだ。

 それで駆け付けてみたら、血文字が書かれたドアの前に彼女が呆然と座り込んでいて……声をかけても反応がなかったから、ひとまず彼女を自宅の部屋の中に戻して、色々と道具を持ってきて猫の死骸を片付けていたところに、あんた達に会ったんんだ」

「なるほど……それで、今日誰か不審な人物を見かけませんでしたか?」

「う~ん、私もずっとここにいるわけじゃないから断言はできんが、そんな人間は見かけなかったな」

「それでしたら、防犯カメラなどはありますか?」

「もちろんあるさ。ただ、私は機械に疎いから良く分からなくて…かなりの旧式みたいだよ」


 そう言うと、島崎は部屋の一角を指差した。その方向に目をやると、何台かのビデオデッキが設置されている。見るからに大きいそのビデオデッキは、島崎の言うように確かに年代物のようだった。


「なるほど……でも、旧式と言っても、壊れているわけじゃないんですよね?」

「壊れちゃいないさ。ただ、録画できるのは二時間だけなんだよ」


 うむ、確かにオンボ――旧式のようだ。おそらく、二時間録画すると、最初に戻って上書きで録画するタイプなのだろう。正直言って、自分が確保していたセーフハウスの防犯体制がこんな状態だったのは、私には衝撃だった。


「あの、これでは何の防犯対策にもなりませんよね?」

「私に言われても困るよ。オーナーにでも言ってくれ」


 我々はビデオデッキに歩み寄ると、鬼島警部が慣れた手つきで操作する。


「よし、今から一時間前の映像だな」


 モニターには篠宮の部屋の前の廊下が映し出されていた。一緒に記録されているタイムカウンターを見ると、確かに今から一時間ほど前だ。

 廊下の端に設置されているであろうカメラの映像は、はっきりと各部屋の前を映している。この時点では、篠宮の部屋の玄関のドアには、まだ血文字は書かれていない。


「どうやら、落書きされる前の映像みたいですね」

「ああ、助かったぜ。ストーカーの正体が分かるかもしれねぇ」


 鳴海刑事と鬼島警部がそのように言っている間も、映像にはそれらしい場面は映らない……しかし、しばらくすると、突然モニターに映った映像が乱れ始め、完全にノイズしか映し出さなくなった。

 ノイズの所々、一瞬だけ映像が映るのだが、それもまた異様だった。血走った眼みたいなものが、こちらを覗き込んでいるように見えるのだ。しまいには、女性が笑うような声まで聞こえた気がして、私は背筋に冷たいものが走った。

 しばらくして映像は元に戻ったが、そこには猫の死骸を片付ける島崎の姿が映し出されている。


「チッ、んだよ、ボロいデッキだな!」


 鬼島警部が悪態をつきながらテープを巻き戻した。


「け、警部、今の……見ました?」


 鳴海刑事は、青ざめた表情で作業を続ける鬼島警部に問いかけるが、彼女は意に介していない様子だった。


「あ? ただのノイズだろ? テープが古いから、前の映像が残ってただけだって」


 その後も、鬼島警部が映像を再生してはもう一度巻き戻して視聴という流れが続いたが、結果は同じだった。同じ場面で映像が乱れ、同じ場面で再生される。何度やっても、この結果は変わらなかった。


「肝心なところは、一切録画されていませんね」

「ああ、これじゃ、使い物にならねぇな」


 鳴海刑事の懸念は、私も共有していた。

 犯行のシーンだけ、まるで編集されたかのように録画されていない。だが、私が観察した限りでは、ビデオに何かしらの細工がされたようには見えなかった。

 とにかく、これ以上ここにいてもしょうがないので、私は二人に声をかけて島崎に礼を言うべく振り返った。


「……」

「……島崎さん? どうかされましたか?」


 鳴海刑事が不思議に思って島崎に声をかける。だが、彼はすでに何も映っていないモニター画面を見つめたまま動かず、汗はびっしょりで顔は真っ青になっていた。

 しかし、我々の視線にハッとした様子で気づくと、何でもない風を装ってぎこちない笑みを浮かべる。


「あ、ああ、すまない。ついびっくりして……何か用かね?」

「いえ、もう結構ですので、我々はもう一度篠宮さんのところに戻ります」

「そ、そうか。分かった。また何かあれば言ってくれ」

「はい、ありがとうございました」


 鳴海刑事がそう言って、我々が管理人室を出ていった後も、島崎はモニター画面をジッと見つめていた。

 管理人室を出た後、我々はもう一度篠宮の部屋の前に来たが、大倉刑事が懸命に洗ってくれたのか、扉の血文字は綺麗に消えていた。床や壁に付着していた猫の血も跡形あとかたもない。


「ちょっと、いいですか?」


 私と鬼島警部が中に入ろうとすると、後ろから鳴海刑事が声をかけてきた。


「ん? どうかしたのか?」

「いえ、ちょっと……おかしなことがあって」

「おかしなこと?」


 鳴海刑事の神妙な顔つきを見て、鬼島警部がドアノブにかけた手をそっと放した。


「ええ、島崎さんの事です。神牙さんがあの時気づいてなかったら、あの血文字なんかは消えてたわけですよね?」

「ああ、そうだな」

「それに、防犯カメラの件にしても、島崎さんは機械に疎いと言ってましたが、本当は彼がなんらかの細工をして、あのような状態を作り出したのかもしれないかなって、思うんですけど……」

「まぁ、確かに、お前の言うことも良く分かる。島崎は、この事件に何かしら関係している、あるいは犯人その者だって言いたいわけだな?」

「ええ、僕が見た限りでは、彼はストーカーほどではないにせよ、篠宮さんになんらかの執着をみせているような素振りでしたし……」

「ああ、結婚だかプライベートだかの話だろ? 確かにおかしくねぇが、それだけだと事情聴取するには弱いな。まぁ、お前が言うように、アタシ達をここに呼んだのはほかならぬ麻衣ちゃんだし、彼女が電話してくれなきゃ、防犯カメラの映像に細工するの同じように、猫の死骸や血文字なんかは島崎が処分してたかもな」

「ええ。だから、彼を当分の間は重要参考人として見張っていたほうがいいのかなって……」


 私は鳴海刑事のその意見に加えて、私達がいなくなった短期間の間にこれだけの仕掛けができる人物が、今のところ彼しかいないこと、このマンションの出入り口は限られていることを告げて、しばらくの間、島崎をマークすることを提案した。


「ま、そうだな。用心に越したことはねぇ。犯行もエスカレートしてるみてぇだしな」

「というと?」

「今までは、脅迫文とか血文字だけだったのに、今回は猫の死骸まで送ってきてる。明らかに犯行がエスカレートしてるじゃねぇか。アタシ達の介入にイラついているのか、あるいは麻衣ちゃんが自分の言う通りに動かないのが気に食わないのか……理由はわからねぇが、気を付けた方が良いだろうな」

「なるほど……そうですね」


 かつて、猫の死骸が置いてあった場所に目を向けて、二人はそのように呟いた。

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