プロローグ
二十一世紀にVR(仮想現実)技術・AR(拡張現実)技術が開発・発展されていき。
二十二世紀には、AR技術の方がより日常生活に活用された。
初めは目的地までの道のりを誘導するナビゲーションシステムや気象情報、災害情報をいち早く知らせる程度だったが。AR技術の普及により、テレビなどの機能が徐々に追加された。
また、技術が進むに連れ、個人情報を登録しての身分証明が容易となり、国が管理する様になる。
個人情報を登録する事に対して国民の反発はあったが、事故や事件に遭った際、情報を詳細に記録する事が出来。凶悪犯罪の減少や消防や警察への通報が自動化され、有事の際の備えとして国民に受け入れられていったのである。
更に会話を録音するだけでなく、他者が接触した際の録画、接触する前に危険を知らせる事が出来。ハラスメント行為を激減させ、女性からの支持を得た。
勿論こういった機能はARと直接関わりないが、追加機能として備わったのはニーズに合わせてだと言えよう。
その結果、二十一世紀に普及したパソコンやスマートフォンといった機器は、その需要を大きく低下させていく――。
だが、そんな世界に合わせてか、新たな犯罪が増加した。
何かが流行り出すと悪用しようとする者が現れるのは、いつの時代も変わりがなく。
二十世紀後半から発生したサイバー事件のように、ARのプライバシーが侵害され、事故や事件が発生し始めたのだ。
警察はARに限らずVRなど新しい技術に関連する犯罪の対策として、専門の組織を結成した。
特に新しい事案に対する対策や、犯罪を未然に防ぎ、国家の治安を守るために専門の組織が秘密裏に活躍していたのである。
そんな組織に、とある事情を抱えた小さな少女が採用され、少女の人生が一変する――