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転移転生排除  作者: 天川 和
5/9

05:排除の開始

 


 魔法を使った3人組の事も気にはなるが、優先するべきはこちらだ。


 動き出したモノは止められない。腹をくくる。


 屋上への出口をそっと開けて様子を窺う。


 『愛沢 麗奈』の後姿が見えた。


(急いできたつもりなんだけどね・・・)


 急ごう。『姫』は怖いからね。


「ご、ごめん、待たせたかな?」


 屋上への出口である扉をしっかりと閉じた。戸締りは大事だ。


(これも戸締りって言ったっけか?)


 まぁ、いいや。




 『姫』は、そのままの姿勢で下校途中の生徒を見下ろしていた。


(あれ?聞こえなかったのかな?)


 『姫』からの返事が無い。


「愛沢さん?」


「まさか……本当に……」


 『姫』の呟きが聞こえた。


「まさか本当に来るとは思ってなかったわ」


 僕も本当ならば、まだ来たくは無かったよ。


「うん、そうだよね?僕も予想外だったよ。愛沢さんから呼び出しがあるなんてね」


 『姫』が振り向く。手には……。


 (何だっけ?確か大層な名称が付いた剣だった。あの剣で既に二桁の転移者を屠っているはず。まぁ、剣の名前なんてどうでもいいか)


「それは、こんなに早く……って意味かしら?それとも、()()()って意味かしら?」


 (あぁ、鋭いな……この()


 瞬間、『愛沢 麗奈』姿が消えた。


 (問答無用ですか。判断力も一流だね)


 僕の首の位置を払う一閃は同時だった。でも、()()()()()


「わわわ、危ないよ。シャレにならないよ?当たったら死んでしまう」




 『姫』が返しの攻撃をせずに距離を取った。剣を構え直す。


「私へのフレンドリーファイアはワザとだったのね?そして今、私の剣を躱した。貴方、何者?」


「知ってるはずだよ?空気(そらき) (そら)。愛沢さんのクラスメイトで冴えないボッチだよ」


「素直に答える気は無いのね?……それならいいわ、私の権限を行使させてもらうからっ!」


「ちょ、ま、待ってよ。僕も色々と言いたい事とかあるんだよ?」


 ……聞く耳も持たないか。


 いずれにしても、この女はここで……退場が決まった。


「相棒の()()() ()()()()()()()()()()()()()()()()()()状態で何の権限を行使出来るのさ?」


「え?」


「それに愛沢さんは()()()()()()()()よね?立っていられないよね?」


『姫』が倒れる。勿論、『姫』には手にしていた武器もない。


「近衛っ!」


 そうそう、本当ならば近衛さんが居るはずだったね。


「だから言ったよ?『近衛 唯』は()()()居ないって」


「……貴方、な、何なの……」


 『姫』の声に怯えの感情が籠った。


「見た目も完璧、実力もトップクラス。勘違いして当然だよね」

 

 普通なら良心が痛む表情を見せる『姫』。だから余計に腹が立つ。そして残念な結末だ。



「僕はね、殺す相手を前にべらべらと喋る様なことはしないからね。あ、でもこれは言わないとね。17年間の人生、お疲れ様。今度はちゃんと成仏してね」


『愛沢 麗奈』の制服はどす黒い赤。内から噴き出した血液で白の制服が一瞬で染まった。


 確認するまでも無く彼女の人生は、今…終わったんだ。


「……あ、しまった。『愛沢 麗奈』が気付けた理由くらいは聴いておくんだった……でも、ペラペラしゃべる奴は大抵逆転されるんだよね」


 しかし、準備段階だったのに行動に移す羽目になった事を想えば、『愛沢 麗奈』は仲間に貢献したと言っても良い。


 さて、その仲間はどう動くかな?


 楽しみだね。


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