表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転移転生排除  作者: 天川 和
2/9

02:楽園・・・じゃなかった。学園


「よ~し、それでは好きな奴とペアを組め」


(それは教師としてどうなのさ……)


 そんなの未来視が無くても見えてしまう未来だ。


 このクラスは総勢31名。ペアを組んだら一人余る。


 空席も目立ち始めたとはいえ、隣の奴と組めなら納得いっただろう。何故なら僕の席は窓側の一番後ろで隣は居ないからだ。


 隣は居ないのだから、僕にペアが出来なくても普通の事だ。なけなしのプライドも保たれる。


 だがしかし、好きな奴と……となると、話は別だ。


「よお、空気(くうき)。一人か?」


 声を掛けたのは……誰だっけ?覚えてないや……。まぁ、いいか、どうせモブだし。


(くうき、じゃなくて「そらき」だよ)と心で反論しておいた。


「う、うん。まぁね」


 僕を誘うために声を掛けたのでは無い事は分かっている。いつもの事だから。


「まぁ、お前だしな。頑張れよ」


 何が『お前だしな』だ。意味が分らないよね、それ日本語?




 そんな彼の背後から視線を感じる。


 視線の主は『愛沢(あいざわ) 麗奈(れいな)』。二年でも五本の指に入る美少女。そして実力でも五本の指に入る。良く『学園のアイドル』なんて表現を聞くけど、それまでの僕は『そんなの現実にはいねぇよ』派だった。


 白一色のドレス風な制服。


 うん、最早一人だけ浮いているし、校則違反もぶっちぎってるよね。初めて目にしたときは、むしろコスプレ衣装かと思ったよ?それ以来僕は『姫』と呼んでいる。


 無論、口には出さないよ?出したらヤバイ。主に僕の命とか命とか命とかだ。


 それでも……教師ですら誰も突っ込まないのは、彼女が『A級フェイカー』だからだ。


 実力があれば何でも許される。何でもだ。この学院の常識であり非常識。


 ソレが特権を与えられたこの学院の生徒達。僕もその一員ではあるのだけど……。


 そんな彼女に睨まれるのも毎度の事だ。思わずお辞儀をしてしまった。


 そんな態度が火に油を注いだようだ。美人が怒ると怖いとは聞くけど、その通りだった。


 『相棒』である『近衛(このえ) (ゆい)』が耳元で何やら囁いているが、僕には聞こえない。


 きっと「相手にする価値も無い」とでも言ってくれたのだろう。『愛沢 麗奈』の怒りが引いた気がする。


 ありがとう……近衛さんが女神に見えるよ。



 まぁ、『愛沢 麗奈』の怒りも分かる。


 それは、僕が常勝無敗とも言える彼女の経歴に土を付けたからだ。言っておくけど勝ったわけでは無い。


 相棒の近衛さんが休んで、お互い組むペアが居なかった時に僕らは共闘することになった。


 アノ『愛沢 麗奈』とだよ?一生の自慢にしようとその時は思ったんだ。


 けれど、結果は僕のフレンドリファイアーによって愛沢さんは戦闘不能。そのすぐ後で僕も死んで敗北。そして僕は『相棒殺し』の異名を得、『姫』には初黒星が付いたのだった・・・。


 『相棒殺し』……二つ名。ヤバイ病気を発症しそうだったので考えるのを止める。


 あ、言い忘れてたけど、シミュレーションでだからね。


 今から行うのはそのシミュレーションなんだよね。


 あぁ……ペアも居ないし気が重い。


 教室を見渡せば、既にペアは出来上がっていた。



「なんだ、空気(くうき)。お前また一人か?どうする一人でやるか?」


 容赦のない教師の声。


 (そらきです)


 貴方には生徒を思いやるとか、それこそ空気を読むとか出来ないのでしょうか?先生!


「ははは……まぁ、一人でいいです」


「そうか、お前だしなっ」


 貴方もですかっ?だから『お前だしな』って何なの?


 だからこう答えてやった。


「まぁ……僕ですからね……」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ