そんなことだから、100年も目覚めそびれるんだっ!
小悪魔は、いきなり王子の頭を押さえつけ、キスさせようとする。
「ひーっ。
やめてーっ、いろんな意味でーっ」
と私は叫んでいた。
そんなキス、ロマンもないしっ。
嬉しくもないっ、と思ったが、小悪魔は、
「そうやって、いろいろこだわってるから、100年も目覚めそびれたんだろうがっ」
と怒鳴り返してくる。
だが、とりあえず、王子の頭を押さえつけるのはやめてくれた。
王子は、
なにが起こったっ!?
という顔で、後頭部に手をやり、周囲を見回している。
「今だから言うが。
俺は3番目の王子も悪くないと思ってた。
こいつよりおとなしそうだし、お前のワガママにも付き合ってくれそうだったし」
いや、何故、今、それを言いますかーっ。
自分が熱心だったくせに、いざ、結婚話が進み始めると、途端に嫁にケチをつけ始める姑のようだ、とか思っている間、王子はひとり、なにやらゴソゴソしていた。
よく見れば、その手には剣がある。
剣を手に王子は呟く。
「……とりあえず、連れて帰ろうかと思ったのに」
寝たままなのにか……。
王子はベッドがイバラで塔に固定されており、更に、そのベッドに私の足がイバラで縛り付けられていることに気づいたようだった。
王子は少し考え、
「この剣でイバラを切ったら、足を傷つけそうだな……」
と呟く。
いや、イバラが巻かれてる時点で、刺さってんじゃないかと思いますけどね、トゲ、と思いながら、小悪魔を見たが、知らんぷりをしていた。
でも、この人やさしいな、と思っていると、
「……ベッドごと運び出すか」
と剣を手に王子は呟いた。
どうやってっ!?
と小悪魔と二人、王子を見る。